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地獄ノ女王  作者: 夜魅
13/35

12人目 小堺 のの



 私の夢は、いつか自分のお店を持つこと!

 そんな中、日々頑張っている。

 私の仕事は、デザイナーだ。

 服やアクセサリーや雑貨、ぬいぐるみなどのデザインをしている。

 女の子の夢の詰まったもののデザインを考えるという、毎日頭を悩まされる日々だが、それなりに楽しくやっている。

 



   ◆ ◆ ◆




 地獄ノ女王ことミヤはパソコンの前で目を輝かせていた。

「執事……」

「どうかなさいましたか?」

「これ……この黒いウサギのぬいぐるみが欲しい!!」

 ミヤは執事にパソコンの画面を見せた。

 パソコンの画面に映っているのは、黒いウサギのぬいぐるみだった。

「これ、普通のウサギのぬいぐるみじゃないんだよ! 生地がフワフワしてるらしいし、着せ替えもできるんだよ! 私と同じような服着せたいな~。ねぇ、執事~」

 ミヤは小さい子のように駄々をこねた。執事は、こうなると絶対に引き下がらないことを知っていた。

「はぁーっ、わかりました。じゃあ、ぬいぐるみと着せ替え用の服を近いうちにお取り寄せしてきますね」

「やったぁー! あ、でもウサギのぬいぐるみは二体取り寄せといて!」

「なぜですか?」

「そのうち、わかるよ」

 ミヤはニヤリと広角が上がった。




   ◆ ◆ ◆




「ののがデザインした、服や雑貨、そしてぬいぐるみが一番売れてるわよ」

「あ、ありがとうございます!」

 出勤した朝から、社長に呼び出しをされたから、少し不安に思っていた。けど、私にとっては嬉しい報告だった、よかった……。

「特に黒いうさぎのぬいぐるみが売れてるらしいわ、着せ替えもたくさんあるからって、ののは本当にすごいは、まだ入社して一年しか経っていないのに、あんなに沢山のデザインができるんですもの」

「もったいない、お言葉ありがとうございます」

 社長直々(じきじき)にこんなに褒められるなんて!

「で、さっそく仕事をお願いしてもいいかしら?」

「はい!」

 次はどんな仕事をもらえるんだろう?とワクワクした。

「ウェディングドレスのデザインよ」

「ウェディングドレスですか?」

「ええ、今度から私たちの会社でもウェディングドレスを出そうと思っているの。それで、ののには、この会社の第一号のウェディングドレスをデザインしてほしいの。」

 ウェディングドレス……。真っ白なドレスを着て、幸せな日を迎える、女の子にとっては一番最高の日に着る服。

「あら? もしかして、ののには荷が重いかしら?」

 社長は、ニヤリッと悪戯そうに笑った。

「い、いえ! むしろ、私には嬉しすぎて……」

「それなら、大丈夫ね。期待してるわよ、のの」

「は、はい!」

 私は社長室を後にした。




   ◆ ◆ ◆




「へぇー。あの人がウサギのぬいぐるみを作った人か」

 ミヤは大きな水晶に映っている、ののの姿を見ていた。

「若い方ですね」

 執事がののの姿を見て感想を述べた。それに対し、ミヤは「若い女の子達のハートを掴むのは、これくらい若い人じゃなきゃ、できないよ」と言った。

 そんな中、大きな水晶の光しか放たれていない部屋に、コンコンっとドアを叩く音が響いた。

「入っていいよ」

 ミヤの言葉と同時にドアが開く。

「地獄ノ女王様、資料を持って参りました。この前の定例会の議題になっていたものです」

 大きな水晶がある部屋に入ってきたのはクロアだった。

「ありがとうございます。お嬢様の代わりに私がお預かりします。」

「では、私はこれで失礼します」

「あ、クロア!」

「なんですか?」

「今度プレゼントあげるね!」

「……は?」

 ミヤはクロアに近づいていく。

「あのね! 人間界でいいものを見つけたから、近いうちにクロアにもあげる!」

「……地獄ノ女王様、またあなたは仕事もせずにそんなことを!!」

「えー? いいじゃーん!」

「よくありません!」

 二人のやりとりに執事は、また始まった、と思いながら見ていた。




   ◆ ◆ ◆




 ウェディングドレスに女の子の好きなものを詰め込んでみる。

 大きなリボン、可愛いフリル、花柄の刺繍(ししゅう)、ハートのティアラ……。

 他にも全部、たくさん詰め込んでみたいが、そしたらデザインが重くなってしまう。

 女性受けがしやすいようなデザイン……。

 ののの頭にはウェディングドレスの事で頭がいっぱいだった。




   ◆ ◆ ◆




「ねぇー、執事。ぬいぐるみは、まだー?」

 ミヤが黒いウサギのぬいぐるみを欲しいと言った日から、結構な月日が流れていた。

「人気な商品ですからね、もう少しお待ちください」

「ちぇ、仕方ないか」

 ミヤは屋根付きのベットの上に寝っ転がり、パソコンで黒いウサギのぬいぐるみの画像を見ていた。

「早く手に入れたいな~♪」




   ◆ ◆ ◆




 ののがデザインした、ウェディングドレスは大好評だった。

 ののは二作目のウェディングドレス……そして、三作目のウェディングドレスも大好評だった。

「ダメ、やり直し!」

 そう、三作目までは。

 四作目のウェディングドレスをデザインしてる最中だった。

 ののはスランプにあっていた。

 たくさんのデザインの仕事を掛け持ちした挙句(あげく)、とうとうののの中のデザインが尽きてしまった。

 四作目のウェディングドレスのデザインをボツにされて、これで五度目だった。

 三作目までは一度もボツなど出したことなかった。



 ──もっと、いいデザインを……! 



 そんなスランプの中で、あるサイトを見つけた。

 そのサイトは素人の人達が、いろんなデザインをして、公開してるサイトだった。

(あ、この、ウェディングドレスのデザインいいかも)

 素人の人が書いたデザイン……つまり、“ほとんどの人が知らないデザイン”。

 ののの手は、いつのまにか、そのウェディングドレスのデザインを写していた。



 次の日、朝一でののは社長に四作目のウェディングドレスのデザインを見せに行った。

「あら、いいわね。昨日のより全然こっちの方がいいわ」

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」

 ののはデザインの了承をもらえて嬉しく思っていた、盗作のだとしても自分が書いたなら、商品化になることは間違えないし、そしたら、これを書いた人達だって自分のデザインが商品化したら嬉しいだろう。ののの頭の中には盗作が悪いものだと思っていなかった。


 それから四作目のウェディングドレスも大好評で、五作目、六作目……と次々とウェディングドレスのデザインをしていった。

 


 全て盗作で。



 ののはもう自分でデザインを考えるのをやめていた。

 そして今日も自宅でののは、机に向かい、パソコンでいろんなサイトを周り、めぼしい作品を見つけようとしてた。

「あ、このデザインいいかも……次はこれでいいかな?」



 ──【盗作はダメだよ?】



 幼い女の子の声が聞こえた。

「お姉さん! 後ろ!」 

 ののが後ろを向くと、幼い女の子が立っていた。

「うわっ! 誰!?」

「私、ミヤ!」

 ミヤという女の子はゴスロリのワンピースを着ていた。

 なるほど、こういうデザインもありだな、とののが考えていると、ミヤが笑顔になり、私に、こう言ってきた。

「ねぇ、お姉さん盗作はダメだよー?」

「盗作……?」

「うん! 人のデザインしたのを無断で使ったりしちゃダメだよ!」

「何を言ってるの?」

「え?」

 ミヤがとぼけた顔をした。小さい子に盗作のメリットを教えなきゃね。

「確かに盗作はダメだよ? けど、素人の人達がデザインした物を私がデザインした事になれば、素人の人達がデザインした物だって商品化されるの。そしたら、私も素人の人達もハッピーじゃない?」

「へぇー」

 ミヤは、また笑顔になった。

「じゃあ、お姉さんの頭の中はお花畑だ!」

「は?」

「だって、自分のデザインを取られたら怒る人だっているよ? 全員が商品化されて嬉しいって思うはずないじゃん、それにお姉さんも馬鹿だよね」

「な、何を言ってるの」

「だって、お姉さんの七作目のウェディングドレスのデザインあるでしょ? 昨日社長さんに了承得たやつ……あれって……“社長さんが若い頃サイトに出してた、ウェディングドレスのデザイン”だよ?」

「……え?」

 


 ──社長が若い頃サイトにあげていたやつ?



 そういえば社長から少し話を聞いたことがある。

 小さい頃からデザイナーになりたくて必死に勉強したって……。若い頃サイトにあげて、みんなからの評価をもらってたって……。じゃあ、私は……私は……。

「社長のデザインを盗作したってこと……?」

 ミヤは人差し指を口に当て、悪戯そうに笑った。

「お姉さん、だから盗作はダメって言ったでしょ? ……でもね、大丈夫だよ? お姉さんには私の犠牲者になってもらうから、この先の生き方なんて考えなくていいんだよ?」

 ののの部屋の中で叫び声が響いた。




   ◆ ◆ ◆




「お嬢様、ウサギのぬいぐるみを買ってきましたよ」

「ありがとう! でもよかった! 少し遅かったら、買えないとこだったね!」

「そうですね、デザインした本人が盗作をしましたからね。そんな人のなんて売れませんよね」

「うん、ネットでも販売中止になって話題になってる」

 ミヤはウサギのぬいぐるみに自分と同じようなゴスロリの服を着させていた。

 鼻歌交じりの中、ミヤの部屋にドアを叩く音が響いた。

「どうぞー♪」

 ミヤの部屋に入ってきたのはクロアだった。

「失礼します、地獄ノ女王様、要件とは?」

「はい! プレゼント! ウサギのぬいぐるみ!」

「………………………は?」

「クロアにあげるー!」

「い、いりませんよ! そんなの!」

「いいから、いいから♪」

 ミヤからは、もらってもらってオーラが漂わせていた。

「……では、仕方なくもらいます。“仕方なく”!」

「もう、わかったよー。」

「では、失礼しますね」

 クロアはその場を後にした。

 そして、ミヤはドアに耳を当て、クロアの足音が遠のくのを聞いていた。

「よし、執事! 行くよ! ついてきて!」

「え?」

 ミヤはニヤニヤしながら、クロアの後を追っていく。それを見ながら、ミヤの後ろを追う執事は、またなんか企んでる、と思いながらミヤとクロアの後を追っていった。


 クロアが仕事室に入ってくのを見た、ミヤと執事はクロアの仕事室のドアの前に立っていた。

「執事、ドアに耳を当ててみてよ」

 ミヤが小声で言ってきた。

「いや、しかし…」

「いいから」

 執事はミヤの言う通り、ドアに耳を当ててみた。

「はぁー、可愛いなー! 名前つけなきゃね、なにがいいー?」

 いつものクロアの声とは違う甘い声が聞こえた。

「びっくりした?」

 執事の驚いてる顔にミヤは少し笑いながら、小声で話しかけてきた。

「びっくりしますよ……」

「クロア可愛いものが好きなんだよ、この前もぬいぐるみに名前つけてるの見たんだ♪」

 小声でミヤは話した。

 そして、もう一度、執事はドアに耳を当ててみた。ミヤも真似をし、執事と一緒にドアに耳を当てた。

「そうだなー! 名前は……ウッサー!」

「「プッ」」

 執事とミヤは思わず、クロアのネーミングセンスのなさに、笑ってしまった。クロアに見つからないように小声で。

「ちなみに、この前のぬいぐるみの名前はなんて付けてたんですか……?」

「この前のはワンコだったから……蕎麦かな?」

「ブッ」

 小声で執事は、また笑ってしまった。

「そろそろ戻ろう、次の犠牲者探さないと」

「そうでございますね」

 ミヤが部屋に戻った。【地獄ノ女王所有物部屋】を横切った際、のプレートが揺れた。

今回はデザイナーの話でした。

スランプになると、作者はどこか焦っちゃいます(^^;

ののはもう人並みの感覚が狂ってしまっていました。←本当はそうする予定ではなかった作者。

まぁ、大雑把に言えば、盗作をしミヤの犠牲者になったってコトですね←



最近、ブクマやアクセス数や感想……そしてポイントが増えてきて作者は嬉しいと同時に、どこか調子に乗ってます←

単純な作者はこの嬉しさをバネにして更新をもう少し早く出来たらいいなーって思ってます。

皆様のおかげで地獄ノ女王もここまで来れています。ありがとうございます┏oペコ

今後とも宜しくお願いします!

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