0人目 プロローグ
真っ黒な屋根付きベッドの真ん中で一人の小さな少女が鼻歌交じりでお絵描きをしていた。
小さな少女の執事が、小さな少女の近くに居た。
「⋯⋯何をお書きになって?」
「んー? 次の犠牲者かなー? っていっても私のイメージ!」
「犠牲者ですか⋯⋯」
そこには髪の毛が長くモデルみたいにスタイルも良く、どこかの学校の制服を着た女性が描かれていた。
小さな少女の絵はまるで美術学校にでも通っているのかというほど上手く書かれていた。
「ねぇ、執事。この人の人生は面白いんだよー」
「面白い⋯⋯ですか?」
「うん! 普通の人より面白い! だからね⋯⋯」
少女は先程まで書いていた絵をぐちゃぐちゃと黒く塗りつぶした。クレヨンのようなもので女性だとわからないくらいに。
「次の犠牲者にしたの」
小さな少女はニッコリと笑った。
「さようでございますか」
執事もニッコリと笑った。
小さな少女はベットから降りた。
「歩くのめんどくさいなー、執事抱っこ」
「かしこまりました」
執事は小さな少女をお姫様だっこした。
小さな少女と執事は先程の部屋から少し離れている部屋にいた。
その部屋の中心には大きな水晶が置いてあった。
「犠牲者の最終確認をしなきゃね、間違えたら天国にいる奴らに喧嘩を売ることになっちゃうからね」
小さな少女と執事は水晶を覗きこんだ。
そして、小さな少女の顔がパァっと明るくなった。
「やったぞ、執事! 私の書いた絵の通りの人だよ!」
わーい! と小さな少女は喜んだ。
執事もニッコリと笑ってよかったですね、と言った。
そして、小さな少女は笑顔でこう言った。
「また、犠牲者が増えて、私は嬉しい!」