国で一番偉い人
!!注意!!
今後に関するネタばれ及びトラブル防止のため、何か気付いたとしても固有名詞は出さないようお願いします!
こっそりほくそ笑んでいってね!!
「お父さん!ほらもう、そろそろちゃんと動いて!時間無くなるわよ」
「やだー、仕事したくないでござるう、おんもなんて行きたくないー」
「駄目だわこのダメ親」
「2回も駄目出しされた!?」
「あたりまえでしょうが!」
ヒドイって泣いてるふりしても、しらんぷり。
まったく、毎度毎度同じ事やってるんだから、いいかげん放置する事の1つも覚えるってものよ。
温かく穏やかな日差し溢れる春の月も、もう後半。
夏の月に近づくにつれて、爽やかな風が吹き抜ける日が多くなった。
後5~6週間もすれば気温も上がり始め、間もなく本格的な夏がやってくる。
ま、学生の自分としては、その前に学期末試験が待っているのだけどね。
あー、考えたくない。
で、そんな風にじわじわと首回りが占められているような錯覚に陥りそうな日々の中、今日は父の仕事の兼ね合いで国会議事堂まで出向く事になっていた。
月に1度の魔法院会議の日。
その日は、父が塔の代表として会議に出席するのだ。
そして私は、その付き添い兼助手。
学生だって忙しいっていうのに、このオヤジは……。
しかも行きたくないとか面倒とか……。
なんでこんな人が女子学生にモテなきゃいけないのか、小一時間ほど問い詰めたいわ!
そう、モッテモテなのよ、この人。
セイラの件なんかなくっても、他の女子からキャーキャー言われちゃうくらい人気なのよ!
みんな外面に騙されてるんだわ!目を覚ませって、こっちが言いたいくらいよ!
「ほら、いい加減しゃんとして!書類持った?ハンカチは?忘れ物がないのなら、とりあえず洗面台行ってもう1度髪にクシ通して!」
「ヘイヘイ……しっかりした娘さんですことー」
「どの口が言うのか……。そうね!きっと親御さんの教育がよっぽど行き届いているんでしょうね!」
「ぐっ」
……まったく。
言葉に詰まるくらいなら、最初からちゃんとしてればいいのに。
だいたい、行きたくないなんて嘘。
めったに会えない友達だっているんでしょう?
知ってるんだから。
「お父さん、じかーん!」
「わーったって!……ったーく、オマエはどこの母親だっつーのか」
「聞こえてるわよ!」
「!?」
お父さん、私耳いいの、すっかり忘れてたでしょ。
まったく、はこちらのセリフよ、まったく。
塔の転送陣から、王宮までは直行で行ける。
転送陣無しで行くと魔法鉄道の特急でも3時間はかかる距離だから、お父さんがぐだぐだしてても間に合うこの状況は、何気にありがたいのかも。
塔の代表として足首まで覆い隠す長い灰色ローブをステルス機能オフのまま頭から被り、隠し事はしないという証明と防犯の為にジンを召喚し、お父さんとともに王宮の長い廊下を目的地まで歩いていると、前方から見知った人物がやってきていきなり両腕を大きく広げ、大仰な挨拶をかましてきた。
「おお、メフィ!我が『愛すべからざる銀の輝き』!久しいな!息災であったかね?」
「そこにいるのは我が友サンジェルマン!お前こそどうだ?家族は元気でやっているか?」
お父さんも灰色ローブを翼のように広げ、がしっと抱きしめ返す。
「うむ、息子も嫁も孫も病気ひとつせなんだ。もしや阿呆の類かと、皆で笑っておったところよ!」
「そこは笑いどころではなかろうに。いやしかし、無事で何よりだ!」
「いやはや、まったくよの!」
2人してわっはっは、と大声で笑いあう。
……毎回1度はやるのよね、これ。最初は何の皮肉かと思ったものだけど。
まあ、お父さんが嬉しそうなので止めないから、存分にやってちょうだい。
と、その前に私も……。
「ご無沙汰しています、サンジェルマン卿」
「む?おお、これはこれは小さなお嬢さん。挨拶が遅れてしまってすまないね」
「いえ、お気になさらず。むしろこちらの方こそ遮ってしまってすみません」
「相変わらずしっかりした娘さんだ。どこぞの魔法バカの面倒を見させるのはもったいない。どうだー?わしの孫の嫁に来ないか?」
「だが断る」
「お前さんには聞いておらんわい。相ッ変わらず狭量な男じゃのう」
2人の渋い顔に、思わずふふっと笑いがこぼれる。
サン“おじさま”は魔法士管理局の局長さんで、お父さん同様議会に参加する為に来ていた。
見た目は向こうの方が年上で、年の離れた友人同士に見えるけど、お父さんが年を取らないせいでいつの間にか逆転してしまったんだ、といつだったか愚痴られたことがある。
つまりは、それくらい前からの付き合いなのだろう。
しかもそれほど長く親しい付き合いだというのに、肝心の父の出不精のせいで、お互い親友だという割には直接会う場がここくらいしかないのだそう。
会う度に「もっと外に出るよう言ってくれ」と頼まれるけど、言って聞くならここに来るまで苦労しないですんでるわよ!
大人げない大人たちがさらに何か言いかけた時、ふとジンの顔が後ろを向いた。
「あ」
「どうしたね?」
「あ?……げっ」
振り向いたその先には、何とアルフレア様以下、ビッグ5の面々とセイラ、ルーエ、クルエラ嬢という、いつもの女子友グループがいた。
なんだって彼らがこんなとこに。
「おおそういえば、本日は学園のご学友と王城見学をなさるとおっしゃっていたな」
「おいおい、許可を出したのか?王宮は」
正気か?とでもいいたそうね、お父さん。
でも、残念ながら本気だったみたいよ。
「うむ。なんでもシャリラン殿下たっての願いだそうだぞ。アルフレア殿下も是非にと仰っていたそうだ。議場には近づかないという約束でギャラリーと応接室、それに殿下方の私室を巡って中庭でお茶になさるとの事だ」
「……一般見学コースに毛が生えたようなもんか……それにしても私室って、よく警備が許可を出したな」
「まあ、案内するのがご本人様方だからなあ。それにー、ほれ、何かあったとしても、それくらいは自力で対処できんと。もう子供ではないのだから」
「……相変わらず妙なところで手厳しい。まったく、ここの王室は」
話し込み始めた父とおじさまをよそに、私はそのまま彼らを見続けていた。
この偶然に、心当たりがあったから。
アルフレア殿下とシャリラン皇太子殿下。
両王子様方のイベントで、セントラール王宮を訪問する話があった気がした。
確かあれは、時期としては春の終わりに起こる魔法学科の期末実技試験イベントと対になっているもので、どちらもアルフレア殿下やシャリラン殿下をパートナーとして選ぶ選択式のイベントだったはず。
両方のイベントで同じ人を選択してもいいし、あえて別の人を選ぶ事もできるけれど、そもそも起こすに当然ながら2人の好感度を他の誰よりも高くしておかなければならず、その為2人の高貴な方々の攻略難易度は他と比べても高かった印象が残ってる。
今回は……そうね、先頭がシャリラン様のようだから、シャリラン様イベントなのかしら。
まあ、ゲームだったらという前提ではあるけれど。
それに本来のシナリオと違ってお供が多いから、おじさまの言うとおり多分普通にお友達の招待なのね、きっと。
……あ、今ヴィクトールがこっち見て、しかも目が合ったわ。
……バレないわよね、ローブで分からないだろうし。
あっ、ジン!
……ま、まあ、ヴィクトールが見たのは大きい方のジンだったし……。
今は小さいから大丈夫。大丈夫……多分。
「しかしだな、いくら警備が許可を出したとはいえ、やはり私室というのはいささか問題では?」
他のメンバーが気付かなかったせいか、ヴィクトールはそのまま顔を前へと向け、にぎやかに話しながら移動するみんなと共に行ってしまった。
……ちょっとだけ、ホッ。
「微笑ましい事ではないか、ご学友を自分の部屋にご招待したいなぞ。子供ならー、ほれ、一度は体験しておくべきイベントであろ?それに我らが王家は、昨今流行りの『ゆるふわ王室』なのだからして、今さら今さら」
「ええい、自慢げに胸を張るところではないわ!というか、流行ってたまるかそんな王室!開かれすぎた王室よりよほどタチが悪いぞ。だいたい仮にも王位継承者と継承候補者がいるのに、誰が責任をとるというんだ誰が。しかもついさっき『子供じゃない』とか言っておきながら、舌の根乾かぬうちにもう子供扱いとは。……まあもっとも、ここの王室は現王陛下からして―――」
「僕の話かい?」
思わず、全員がそのままの姿勢で凍った。
ああもう、ここの王家はどれだけ私たちをびっくりさせれば気が済むのよ!
「これは」
「失礼いたしました――――――陛下」
3人とも占拠していた廊下の端へと寄り、その方を迎える。
頭を下げたその先には、この国で一番偉い人―――国王陛下が、護衛魔獣のグリフォンを従えお立ちになっていた。
「構わない、そのまま話を続けてくれたまえ」
「ハッ、ありがたく」
とはいえ、1度途切れた会話は戻らない。
なぜなら、そのまま陛下は『私』に話しかけてきたからだ。
「―――レディちゃん、久しぶりだね」
「はい、陛下も。お元気そうでなによりです」
「うん、おかげさまでね」
親しげにかけられた穏やかで優しい声は、まるでよく本に出てくるような、近所のお兄さんのイメージ。
年齢的にはオジサンといってもいいくらいなんだろうけど、不思議と歳を感じさせない不思議な方。
国王という肩書の割に黒のシャープなコート風装束なのは、陛下自身、日常での派手さを嫌っての事とか。
赤と茶と黒の混じったような色をした髪は緩く波打ち肩にかかっていて、私はこの方を見る度に何故か“サングラス”が似合いそうだな、と思ってしまう。
「話は聞いているよ」
何の、とは言われなかったけど、それでもこの方が何を言いたいのか分かってしまって、少し体が強張った。
「本来ならば、もっと厳しい態度で臨むべきなんだろうね。学園の罰則強化も、やむを得ないのかもしれない。……もっとも、君たちには自由な発想で進化していって欲しいから、あまりきつく鎖で縛りつけるような事はしたくないんだが……」
その言葉だけでも十分に、私たちこの国の子供らについて考えて下さっている事が分かる。
少しだけ考えるそぶりをした後、陛下の口になさった話題は、先ほどとは微妙に変わったものだった。
「あの子“たち”は、とても真っ直ぐな子に育ったようだ。いささか“すぎる”くらいに」
たち?
ヴィクトールの事だけじゃなくて、ですか?
「僕なんかに言わせれば、もうちょっと肩の力を抜いて自然体のままでいいと思うんだけどね」
肩をすくめた陛下。
殿下方の学園での様子も、陛下から見れば『まだまだ』って事らしい。
「思い込みも熱さも真っ直ぐさも、失敗も後悔も諦観も、そしてそこから這い上がって再び未来や光を取り戻す事さえも、若い内に1度は経験しておくべき事柄だと、僕は思っている」
自ら体験した持論だがね、と再び肩をすくめる陛下。
「全てを肯定するわけではないよ、僕は神ではないのだから。だが、それを含めての勉強だとも思っている。人と繋がる事、自分のなりたい配役と立ち位置。国の行く末を見届ける者として、彼らは自分たちだけの世界に生きていてはいけない。――――――安全な世界の扉を開き、壁の向こうにあるものを掴み取る知恵と勇気も必要だ」
つまり、私はその為の『彼らにとっての生きた教材』というわけですか?陛下。
「恐らくは近い内に事態は動く。だがきっと、君は――――――」
陛下?
何を言いたいのか分かりかねて、少し首をかしげてしまう。
「いや、これ以上は会議の方で話そう―――すまない」
考えている内に、陛下の方の気が変わってしまったようだ。
それにしても『すまない』って?
ものすごく小さく……多分私だけに聞かせたかったんだろうと思うほど小さくつぶやかれた謝罪に、心当たりのない私は首を傾げるしかない。
ヴィクトールの事とか?
でも、別に、陛下と直接関係なんて……。
何だろう?雇用関係的な事なのかしら?
分からない私は頭に疑問符を乗っけたまま、移動を始めたお父さんとおじさま、それに陛下の後を、さっきまで陛下の護衛魔獣の子とスリスリ頭をこすりつけ合い挨拶し合っていたジンと共についていった。
大会議場で行われたのは、この先の魔力供給量についてだとか、塔の最新研究結果報告(この為に毎度出る羽目になる)、それに魔法犯罪者の検挙の増減やその手口についての考察など、いくつかの事柄について。
いつも通りの会議内容だけれど、今回は1つだけ違う報告が混じった。
「魔法の森学園についてだが」
陛下がそう述べた時、議場はざわりとひとつ、大きく波打った。
「すでにいくつかの報告を受けている。だが“わたし”から何かをするといったような事はない」
ざわざわと議場がざわめく。
「介入を」
けれどそれは、突然割り込んで発言したお父さんによって静められてしまった。
「『時計台の主』は介入を望まない。――――――このまま何処まで“突き進む”のか見定める為に」
時計台の主?
時計台って、それってもしかして塔の上の?
主?
主なんていたの?お父さん。
「ならびに」
お父さんの発言に続けるように、陛下がまた言を紡ぎだす。
「この一件を、アルフレア王子の『王位継承試練』とする」
「これは『時計台の主』ひいては『塔』の総意である」
お父さんが刺したとどめに、議場は今度こそ、ざわ、で済まなかった。
「それでは」とか「これからどうなる」とか「この国はいったい」とか、そんな言葉も聞こえてくるけど、いかんせん量が多すぎて個人で何を言っているのか聞き分けられない!
ただ、その言葉の雰囲気として、どことなく不安が漂っている気はした。
その雰囲気に当てられたのか、私自身どこか胸騒ぎがするような気がしてくる。
アルフレア王子殿下の継承試験。
それが良い事なのか悪い事なのか、雰囲気としては良くなさそうだけど、まだ何がどうなると決まったわけじゃないのに、とも思う。
だって殿下は凄い人だって、頑張ってるし才能あるって噂で……。
だから大丈夫なんじゃないの?そんなに試練というのは難しいのかしら?
それに、それに、アルフレア王子の上にはお兄上さまがいて、もうその方は試練を終えられていると聞くわ。
どこに問題があるのか分からなくて混乱する。
『塔の総意』って何。私そんなの知らない。他の皆は知ってる事なの?
落ち着かない空気の中、凛とした声が響いた。
「静まりたまえ、諸君」
その一言だけで、しん、となる議場。
「何も『神』に対して全面的に従うという事ではないのだ」
え、神?
神って、“あの”?
あの『創造と破壊の唯一神』?
混乱する私を置いて、陛下の演説は続く。
「だがわたしは、これを好機と捉えた。恐らくは過酷な試練となるだろう。しかし彼は、“彼ら”ならば!必ずやきっとこの試練を乗り越え、立派なひとかどの人物となり、この国を支え導いてくれると信じる!」
……出た。国王陛下の試練好き。
陛下は苦難も悲劇も、乗り越えるべき障害として肯定なさるから……。
むろん、福祉や緊急時における救助的なものとは関係無しにだけど。
「子に甘い親馬鹿な発言である事は重々承知している。だが、それでも子らには成長してもらいたいのだ。またこの試練を無事乗り越えられた暁には、彼らだけでなく我々の前にも新たなる未来が開けるだろう。―――かつての大戦で、我らの先祖がそうであったように」
その言葉を聞いて、大人たちの目が輝きだしたのがわかった。
……思うんだけど、どんだけ大戦の偉人リスペクトなんだろう……。
大好きすぎでしょう、おじさんたち。
さっきまでの謎のお通夜ムードが一変して、俄然やる気出したおじさん達による前向きに頑張ろうムードになっちゃってるわ。
……よく、わからないけど。
「『塔』からの報告は以上です」
治まらない熱気の中、お父さんが宣言した事でこの議題は終了となったようだった。
アルフレア殿下の事、『時計台の主』に『神』。
聞きたい事は山ほどあったけど、その前に最後の議題がまだ残っていた。
最後の議題、それは……。
「さて、本題のコンサートの件だが」
秋の月最後の4週に渡って行われる予定の『大感謝祭』。
そこで行われる国王陛下“の”コンサートについてだった。
野外の立ち見だからむしろフェスやライブに近いんだけど、そこツッコんだらダメかしら?
始まりは『大戦』直前にまでさかのぼる。
かつて異世界からやってきたという『訪問者』は当時禁じられていた魔法を復活させ、その使用を世界中に認めさせる為、このセントラール(旧セントラーダ)王城に魔法をかけた。
どんな攻撃をもはね返す、鉄壁の結界。
それは大戦が終わり、魔法をかけた本人―――訪問者でありながら時の大公妃となった彼女が亡くなった後も、ずっと存在し続けていた。
しかし時代が下るにつれ、結界の効力は薄れていく。
そこで後代の王は、同じような魔法を使って補強する事にした。
つまり『歌に魔力を乗せてかける魔法』の再現である。
かつては、歌自体に効果があった訳ではないという。
集中の都合とか、呪文を唱える事により発動する魔法の特定を防ぐとか、逆に特定してもらう為だとか、そういう技術面から『歌う』という方法がとられたとも。
けれど研究が進むにつれてその役割もまた変わって行き、今では歌う事で魔力を集中あるいは拡散し、強力な魔法を一気に展開する為に用いられる事が多いとか。
そこまでやる魔法も魔法士も、最近トンと話を聞かないけどね。
で、それを積極的に、そして徹底的に観覧事業として転用しようとしたのが、何を隠そう今代の陛下。
民に何かしら還元したいとの思いから実現した最初のコンサートは予想以上に大盛況に終わり、王家にとって……陛下曰く『年に一度の超大事な仕事』として位置付けられた。
もともとは陛下ではなく力ある魔法士が歌姫として選ばれ行われていたけど、陛下自身の『紅』の『壁』という属性もあり、いつしかご本人が中心となって魔法をかけるようになっていったそう。
有事の際にはこの城を避難所として我々民草に開放し、侵入しようとする敵は『炎の壁』でもって焼き尽くし、遠距離からの砲撃には全自動カウンター『紅蓮の矢』でもって迎撃、とか。
これってかなり強力よね。
今代の陛下は本来王位を継ぐべき方ではなかったらしいけれど、それでも継ぐからには、といつも努力なさっていて、常に全力、今できる精一杯の事をしてくださっているのがよくわかるから、私たちはこの方が大好きで仕方ない。
たまに買い物に出る街も、いつだって陛下の話で持ちきりだ。
ちょっと舞台上でトチって歌詞忘れてしまったり、内股気味でたまに転んでしまったり足がつってしまったり、挙句の果てに借りたマイクを忘れたりとどうもドジっ子の印象があるけど、そういうところも含めて愛おしい。
半年後には私もまた王城でコンサートのお手伝いなんでしょうけど、特等席で見られるんだし、やっぱりとっても楽しみだわ!
不安要素に関しては、この際少しだけでも忘れちゃって、いいわよ……ね?
国王陛下の武者修行時代に築いた伝説の数々。
その1
自国の都市スラムに存在した邪教団体を壊滅させる。その際孤児を多数救出。
後に特殊訓練を受けていた元孤児たちによる特戦部隊『白鴉』設立。
その2
『銀の馬車』事件の解決に尽力。
奇病をもたらす魔法ウィルスが発見され、流行を抑える為に奔走。
意図的に流したとして関連する暗殺組織を1つ壊滅させる。
その3
サザンバークロイツに単身乗り込み、放浪。その際謎の老人と出会う。
伝説のランプを手に入れるように言われ、さまざまな経緯を経て封じられていた魔人を解放した。
その4
国を震撼させた13人連続殺人事件を追う内に、かつて大戦時に『幸福な王子』が所蔵していたという呪われた赤き宝玉『ミシェルージュ』の存在を知る。
宝玉にまつわる一連の事件の捜査中、謎の男『冬』と出会い共闘。
様々な事件を解決に導き、背後で暗躍していた『仮面の男』を討伐。
その5
実は『冬』はノースヴィズダム王国の『冬将軍』であり、お互いの真実を知って同盟を結ぶ事に。
現在でも将軍と陛下は個人的に親しく、お互い盟友同士と言いあう間柄。
その6
世界各地に点在する小国へと単身旅へ出る。
現地で語り継がれていた伝説を収集して回り、後にそれについて纏めた本を出版。
その7
突然変異による魔物の巨大化事件発生。
専門の対策機関『鎖騎兵団』を設立。
特戦部隊と共にこれの鎮圧にあたる。
その8
墓場から死者がよみがえる事件が多発。
生前抱えていた心に巣くう闇を晴らす為に死者たちが暴走を始め、その鎮圧に乗り出す。
最終的に、かつて大戦の英雄の1人であった『死者の王』までよみがえる騒ぎに。
文献をあたり尽くした末、同じく眠りについていた英雄『聖女』を呼び覚ます事に成功。
事情を説明し、共にこれを静めた。
他多数……。