消える
ブルーのブーメランパンツを履いて、サングラスをかけた筋肉男は怒りながら僕の方へと歩いてきた。そして、僕の目の間にくると、僕の首を片手で握りそして、僕の体は宙に浮いた。
「君か。僕の大切な兄弟を殺したのは」
僕は、かろうじて意識があったが何を言っているのかは聞き取れなかった。
「私としたことが、弟の下手くそなイタズラにひっかかってしまって到着が遅れてしまった。パンツにイチゴジャムを塗るなどというイタズラにだ。この機に及んで弟は何を考えているのだろうな」
そういうと、サングラスのしたから、涙のようなものが流れた。そして、彼の僕の首を握る力が強くなっていった。
「動くな!」
大きな声で、こちらを威嚇してくる人物が現れた。いや、正確には人物ではなく集団だった。5人ほどの人物がこちらに向かって拳銃のようなものを構えていた。僕は、心の中で「助かった……早くその構えているものを……」と思っていた。
ノリコは、依然として呆然としている。床に膝をついていた。
「動くな、その手を離すんだ」
集団の一人が言った。
「おやおや。これはこれは。宇宙警察の方々がどうしてここに。おやおや、自慢の警備用の乗り物もここでは、一輪車ですか。滑稽ですね」
ブルーのブーメラン筋肉は、高笑いをしていたが、これが彼らの感にさわることとなり、一斉にその拳銃のようなものを発射した。
「うぉおお」
そして、そのブルーの筋肉は床に倒れ込んだ。僕は、その右手から解放されたが、気を失っていた。
一輪車の集団は、キコキコと可愛らしい音を立てながらこちらにやってきた。
「大丈夫か?」
ノリコに聞いてきたが、ノリコは返事をしなかった。
「とにかく、ここは危険だ。我々と来てくれ」
しかし、依然としてノリコは返事をしなかった。
しかたなく一輪車の集団は、僕とノリコを一輪車につながれたリヤカーに載せて、小学校から出ていったのだった。
次に僕が目を覚ましたときには、ノリコは地球にはいなかった。