訪問者②
返り血で汚れたリボルバーを拭くと、アイは小さくため息を吐いた。ルールを破った人間を処分するのに何の抵抗も感じない自分にほとほと嫌気が差して、自嘲気味の笑みが漏れた。
この街の名は『メガロポリス』という。
タイタニウムの存在が確認されてから、人類はエネルギー獲得に向けて、一つの巨大都市を造り上げた。東京、ニューヨーク、ロンドン、モスクワ、ベルリン、北京、パリ、ローマ――様々な国の首都や都市の構造を組み合わせ、独自の法律を持ち、どの国にも属さない人工島に建てられた巨大都市――それが、メガロポリス。
メガロポリスの中心部には、世界各国からの技術者や政府関係者を束ねる機関がある。タイタニウムを地底から取得するため据えられたその機関の名は「アルカディア」といい、メガロポリスの頭脳の役割を果たす。アルカディアから半径39kmの位置には、地底と地上を繋ぐゲートがある。ゲートは「守衛」の監視下にあり、地底人が地上へ出ることのないよう、常に管理されている。そして、アルカディアが敷いたルールに背き、メガロポリスに危険を与えるとされる存在を処分する役割を担うのが、アイが所属する「護衛」であった。
一旦ここまで。後日加筆します。