プロローグ
初めまして、wheatと申す者です。
右も左も判らない状態で書き始めた小説ですが、少しでも誰かの目に留まって頂ければ幸い。
所により精神的に嫌悪感を覚える描写があるかもしれません。ご了承くださいませ。
ご意見、ご感想などご自由にどうぞ。
むかしむかし、人間は二つの場所に住んでいました。
一つは地上。
もう一つは地底。
地上に住む人々は、大地を耕し、世界中へ散り散りとなって、大きな文明をつくりあげました。
地底に住む人々は、大地を掘り、皆が離れることなく、小さな文明をつくりあげました。
地上には青空が広がり、太陽が浮かんでいました。
地底には暗闇が広がり、太陽の光は降り注ぎませんでした。
地上の人々は、地底にいる人々のことを、すっかり忘れてしまいました。
長い長い時を経て、地上の人々は争うようになりました。やがて地上の自然は荒れ狂い、人々は世界のあらゆる脅威と向き合わなければなりませんでした。
そしてまた時が過ぎ、人々は地底にすべての脅威から守ってくれる、不思議なものの存在をつきとめました。
その名は、タイタニウム。
でも、地上の人々の誰一人として、タイタニウムを直接見たものはいませんでした。
タイタニウムは、地底の奥深くに眠っているからです。
地上の人々は、何とかして地底からタイタニウムを得ようと躍起になりました。
長い長い時を経て、地底の人々は次第に不思議な力を持つようになりました。身体の一部が、鉱物に変化する力です。やがて人々の容姿は変化し、地底の人の一部は鉱物を自由に操る力を手に入れました。
身体の一部が鉱物に代わることで、彼らは太陽の光もなく、食べ物も殆どない地底でも生き延びられる手段を得ました。
でも、何故彼らの容姿は変わってしまったのでしょうか。
それは、彼らが地底に来た時からずっと守り続けてきたものの恩恵だったのです。
その名は、タイタニウム。
地底の人々は、タイタニウムを畏れ、そして感謝しました。
彼らは決意しました。タイタニウムは、決して悪用しない。誰にも渡さないと。
そうして時は流れ、地上の人々は地底の人々に宣戦布告しました。
タイタニウムを譲らねば、力ずくでも奪い取ると言うのです。
地底の人々は、首を横に振りました。
何故ならこの時、もう、タイタニウムは地底には存在しなかったのです。
一体、タイタニウムはどこへ行ってしまったのでしょう。
これは光と闇を巡る、地上と地下の物語。