第2話
「ここがこの街一番の有名なラクソン大聖堂です」
「ほぉー」
「これほどのものが数百年前からあるそうなんですよ」
「ほぉー」
若者は細かく説明するのだがこのように女性はきのない返事を返すだけ。
若者は彼女を色々なところに案内してきたが彼女はほとんどのものに興味を示さず、また興味を示したとしてもまたすぐに興味を無くすのだ。
通りかかった街の広場では傭兵らしき人達が噂話をしていた。
「なあ、お前知ってるか? 最近魔属の国では王権争いが激しくて、人間、魔属と種族を問わずに兵士として雇っているらしいぞ。お前行ってみろよ!」
一人が冗談半分に言う。
「おいおい勘弁しろよ。魔属にどんな目に会わされるか分かったもんじゃない」
もう一人が答えた。
女性はそういう傭兵達の話に耳を傾けていようだ。
「この地までそんな噂が……」
その後、魔属間の争いの噂話を耳にしてから彼女はなにか別の事を考えているみたいだった。ちなみにこの国では魔属は狂暴で残忍と恐れられている。
「次行きますか?」
若者は問いかけた。
「ん、ああ、頼む」
女性は答えた。
若者は反応の薄い女性に困りはてていたが次の場所に案内することにした。
歩いている途中若者は女性の名前も知らない事を思いだし彼女に声をかけてみることにした。
後ろからついてくる女性の方を振り返り声をかける。
「あの……すみません」
「ん、なんだ?」
「今さらですが、貴方の名前を聞いていなかったので……」
「ああそういえばそうだな。私はルネスという名だ。まあそのままルネスと呼んでくれ」
彼女はそう言うと若者の名前を聞いた。
「僕はディルスといいます。皆はディルと呼んでいます」
「そうか、いい名を親につけられたな。ディルスという名は私の国の意味では希望というのだ」
二人は再び歩き出す。
「はい……僕もそう思います。実は僕は先程のラクソン大聖堂の前に捨てられてた所を今の親に拾われて育てられたんです。この名は僕が発見された時に一緒にあった手紙に書いてあったそうです…」
ディルはそううつ向きながら言った。ルネスの目が輝いた。
「お前捨てられていたと親に言われたのか?」
「はい」
それを聞いてルネスの表情が少し変わった。ディルになにかしらの興味をもったようだ。
「お前なにか変異が体に起きたことないか? 突然怪力になった事があるとか」
「いいえ、無いですが……なにか僕が捨てられていた事に関係あるんですか?」
「いや、なにも無いのならいいんだ」
そういって彼女はまた考え込んでしまった。
こうしている間にも二人は次の観光地についてしまった。
「ここが遥か昔、魔属の城があったといわれている遺跡です」
ディルは気をとりなおしてルネスに言った。遺跡は現在は廃れて立ち入り禁止になっているが発見された当時は観光名所として多く人でにぎわっていた。遺跡自体はかなり古くからあるらしくまだ探索されていない所もあるようだ。
「ほう、ここが。初めて来たな。ん? 現在立ち入り禁止となっているではないか?」
「今回は特別僕がいるからいいんですよ」
ディルは笑って言う。
「そうか。貸し切りということか。では行こうか」
ルネスは貸し切りという事に惹かれた様だ。
しばらく外を見回した後、二人は遺跡の中に入った。
その時である。
「ダレカタスケテ―!」
遺跡の中から何かが助けを呼ぶ声が聞こえてきた。
「誰かが助けを呼んでる!」
ディルは門番をやっている正義感からか、そういって走り出した。ディルが走り出すと突如壁だった所に道が出来た。
「こっちか!」
突如出来た道の方へディルは走る。
「おい、待て! 何があるか分からんぞ!」
「誰か助けを呼んでるじゃないか! 放っておくことは出来ないよ!」
ディルは一瞬立ち止まるとそう言い再び走り出した。
「まったく、お人好しが!」
そう言うとルネスもディルを追って走り出した。
そろそろ戦闘シーンを書いてみようかなと……。物語はまだまだ続きます。