3話 邂逅
20260327修正
「どう思った?」
「え?何が?」
「聞きなさいよ。」
あれから4年経った。
俺は長い間森で過ごした。
幸い食うだけなら困らなかった。
弓や罠での狩りは覚えていたし、畑の管理も問題ない。
作業量は増えたが、没頭している間は紛れた。
辛いのは夜だ。
酷使した体と薄い布団が孤独を訴えるから。
「だから、魔法ってのは精霊によって引き起こされていると考えられているの。」
「精霊なんて見えないだろ?」
「でも魔法が使用可能なのは一定の湿度と気温が必要なの。それって生物だからだと考えられない?」
「……んー、そうかも?」
「だから私たち魔法学者は精霊と接触するのが目的で狩人になることが多いのよ。」
「じゃあエトナも?」
「……そ、そうよ!」
「なんだよその間は……」
2年ほど引きこもって、孤独に駆り立てられた俺は街へ飛び出す。
そこにあったのは建物の瓦礫と、焼かれた家屋。
街は滅んでいた。
ここはノストに近い街だった。
長年敵対国であるノストとは互いに辺境の街を攻める小競り合いがある。
また国同士のいがみ合いなんかで俺は繋がりを失ったらしかった。
その後俺は王都で狩人をすることにした。
狩人とは、食肉を狩る狩猟と害のある魔物の駆除の両方を受け持つ仕事だ。
俺はこの異世界に来てから、妙な光線を手から撃てた。
使うべきではないと思ったが、人を守るため……魔物を倒すためなら使ってもかまわないと思った。
正直この力のせいで身を滅ぼしてもいいかと、自棄になっていたのもある。
だからこの光線と合わせて、剣と盾を持って戦うことにした。
幸い、狩人には剣と盾を持つ者は多く、不審には思われなかった。
まあそれらはサブウェポンのようなもので、基本は皆魔法だったが。
「おい、もう十分だろ。休憩中にお勉強の話なんてするなよ。疲れる。」
「馬鹿には意味ないと思ってコウにしたのよ。」
「てっめ!」
「何よ!」
「はいはい、行こう。やっとクレセント・グリズリーを倒したんだ。家で話そう。」
俺は2人を置いて荷物を担ぎ立ち上がる。
しばらく経って、俺は狩人として生きていけるようになった。
王都近辺は平和なため、いちいち遠出しなければならないのが面倒だが。
彼女が言っていたように、王都は賑やかで、何でもある。
……
「ちょっと!置いていこうとしないで!」
エトナは魔法学者で知的な会話を好むが我が強い。
狩人は好きでやっているわけじゃないらしい。
でも魔法学者と認められるための試験は難しく、多くは15歳から18歳ごろまで学院で勉強するらしい。
彼女は今17歳、多分本当は魔法学者志望なんじゃないかな?
言わないけど……
「おいおいクール気取ってんなら俺と娼館に行った時のこと話しちまうぜ?」
バルトロメオは豪商の息子らしい。
金の勉強や腹黒い取引が嫌で、弟に跡継ぎを任せて狩人になったとか。
馬鹿だが、確かに目端がきいたり、妙な作法を知っているから説得力がある。
20歳だから俺達の中では年長……のはずだ。
馬鹿だけど。
「は!?行ったの?嘘でしょコウ!?」
「おい、その話はやめてくれ。」
「おーやっぱ言えねーよな?」
「ね、ねぇ?本当に?不潔!最低!」
「黙秘だ。」
「別に珍しくねーだろ、男の子は大変なんだよ。」
俺達3人は高い依頼達成率で一躍有名パーティとして知られるようになった。
パーティ名を「微睡みの手杖」
この世界にある転ばぬ先の杖と同じような言葉だ。
行き当たりばったりな俺達のために、「失敗しないように準備しよう!」という意味で付けたのだが……
残念ながら活かされていない。
騒がしい、でもそれが良かった。
ここは孤独じゃない。
我ながら自分勝手だな……
一人になりたいとか、誰かといたいとか。
王都の門が見える。
魔物がいるだけあって門は高く頑丈そうな石造りだ。
「ねぇ、コウ?コウ……なんでしょ?」
俺は門を見上げていた顔を下ろす。
そこには死んだと思っていたフォルトナが立っていた。




