11話 仲間
道中多数の襲撃に遭った。
アメリカから派遣された異能者。
異能開発機構直属の異能部隊。
そして、オカマ……
……とにかく、多数の異能者を相手にするため、信号娘や救援に来た異室の仲間たちを残し、俺達は前に進んだ。
「先に行って!……一応、今まで支えてくれたのは感謝してるんだから。」
「以前お話した通りです。似た者同士、私も助力します。」
「光さんがいないと大勇さんが落ち込んじゃうもんね!頑張りますよぉ!!」
声援を貰った。
そして……
「おう、来たな。」
「……巡。」
大塚巡。
異室最強。
俺はこの9ヶ月間で2度だけ彼女の戦いを見たが……
圧倒的、といったところか。
時間を停止する異能。
とはいえ所謂世界が静止し、自分だけが動ける時間停止とは違う。
4秒間対象を停止する異能だ。
それだけ聞けば、少しの間動けなくさせられるだけかと思うだろう。
そうじゃない。
凍りつくんだ。
対象は4秒間分子レベルで停止する。
つまり、物質の運動により発生する熱エネルギーの喪失。
光すら停止したそれは真っ黒になり、4秒後解放された対象は絶対零度に凍りついた状態で解放される。
条件は視認すること。
……つまり既に詰みの距離ってことだ。
「――っ!」
俺は素早く魔法でスモークを焚く。
どれほど有効かわからないが、とにかくアイツを倒して――
「先に行ってくださいっ!!」
「――いや!危険だ!」
「俺の異能なら大塚さんと戦えます!行って!!」
大勇は俺の肩を押す。
それは確かにそうかもしれない……
だが……
「任せてください。今は光さんのヒーローですから。」
大勇があの日の俺と同じ、テンカイジャーのポーズをとる。
「……分かった。死ぬなよ。そんなヒーロー嫌だからな。」
「当然です。最強(大塚巡)は任せてください。」
俺はスモークを濃くすると、フォルトナ達と別の地点へ転移した。
***
俺達は研究所の深くまで来ていた。
目的はこの研究所の破壊。
そのための実際にやっている悪事、その資料を求めていた。
そこは、あの日見せられた場所。
スヴァルの眠るカプセルの近くだ。
改めて来ると大きい。
異室の訓練場も大きかったが、アメリカ様の資金力というやつだろうか。
「随分派手に暴れましたね。」
そこには同じくあの日見た研究者の男。
「あんた、2度目だな。名前は?」
「言うわけないでしょう?だって……貴方世界中にこの映像配信してますよね?」
「……」
そう、俺は常に転移の異能を使い、俺の胸辺りから視界を中継している。
カメラはここから離れ、安全な空間に隠してある。
10ヵ国以上のVPNとあらゆる動画配信サイトでライブしているのだ。
「一般市民相手なら十分揉み消せる。問題は日本の内部混乱を公言したことだ。あらゆる異能組織がこの国を破壊するでしょうね。」
「そうはならないさ。俺達がいる。」
「は?」
「俺が危機に陥れるかもしれない。でも俺は救いたいものは全部救うし、全部守ることにしたんだ。」
「感情でなんとかなるものじゃない。」
「ああ。俺、いや俺達は世界中の異能組織程度でなんとかなるものじゃないってことだ。」
「……ただの馬鹿だったか。」
パァン。
音が響く。
フォルトナが倒れる。
パァン、パァン。
エトナとバルトロメオが倒れる。
パァン。
俺にも衝撃が走る。
……恐らく、麻酔弾。
「対異能を想定した部隊です。異能は射程に制限があるものが多い。ここはこの研究所で最も広いですから、狙撃させてもらいました。」
意識が薄れる。
「それに神代くんの血液から面白いものが作れたんです。試験段階ですが……異能を無効化する弾丸ですよ。」
追い打ちをかけるように何度か射撃が続く。
俺ではない。
フォルトナたちは殺しても良いいということだろう……
俺の防護魔法を抜けたのはそういうカラクリか……
……だが。
「悪いが、それでは死なないぞ。」
「!?」
「アンタがあえて出てきたことは陽動。それに俺の魔法のことをスヴァルから聞いてるんだろう?」
「――撃て!!」
男が無線を繋ぎ、指示を出す。
すぐに俺達の体を弾丸が貫く。
それでも俺達は血を流しながら立ち上がった。
「何故!?」
「単純だ。フォルトナは回復魔法が得意でな。毒や傷はすぐに直してくれている。」
「当然よ。死なせたりしない!」
「そして俺は俺以外の全員をすぐに治癒している。」
「クッソいてぇ!」
「でも痛いだけね。」
ダメージは受ける。
だが、俺を研究対象にするために即死させないなら……
「索敵魔法と昏倒魔法を使った。アンタの部隊……もう寝てるよ。」
「ば……かな……。」
俺は男を置き去りにして先を急いだ。




