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魔法都市の広場  作者: 三日月 帆立


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1/3

旅路

「それじゃあ村を頼んだよ」

 ラビ族の彼の妻であり、副村長は一礼する。

「村長、旅の道中はお気をつけて」

 カランカランと音を立て、発車のベルが鳴り響き馬車が出発した。村民は手を振って村長を見送る。しばしの別れを、惜しむ。と、いうのも村を再興して以来、彼が世話になった大陸のキト族の王国、あそこが戦火に吞まれたという報を受けた。


 その頃は復興後間もなく、使いを出すのが精いっぱいで、その地に赴く事は叶わなかった。しかし再興し地盤の固まった今、恩返しをするチャンスだと思った。馬車は各村々を周り、乗客を集めていく。3台の馬車が合流し、キャラバンが完成した。道中、イノシシと遭遇したが、ラビ族の村長、ワールが昔貰った短刀で首元に剣を突き立て討伐し、拍手が起こる。


 ワールは照れ笑いをしながら馬車に戻った。すると、相乗りしていたドク族のパピヨン種に話しかけられる。

「あんな大きなイノシシさんを倒すなんて凄いですわ!」

 明らかにお嬢様に見えるアサガオの花染めドレスを着て、麦わら帽子をかぶっている。ワールは綺麗な冒険着で返り血一つ付いてないのを確認し、話を返す。

「実は昔冒険で遭遇したことがあってね」

「まぁ冒険家さんでしたの! じいや聞きましたか?!」

「はい、お嬢様。そちらのラビ族の御方、お嬢様はめったに他人に興味をお示しにならないのです。よろしかったら話に付き合ってもらえませんか?」

 ワールは帽子をかぶりなおして快諾する。


 パピヨン種とセントバーナード種の二人は途中の大国で降りて行った。どうやらその国の爵位を持った令嬢らしく、お礼にとわざわざ馬車を待たせ銘菓のクッキーを箱でくれた。しばらくはご飯に困ることはなさそうだ。そのまま大陸を挟む大洋に面した町、”ポートレントス”へ着いた。村を復興する書籍を探しに大陸を渡った時も、この港から船に乗った。キト族の住む大陸へのチケットは、1200トレー。昔より300トレー値上がりしている。戦争と、経済的な理由だそうだ。


 大陸はそう遠くないが、戦争により難民となったものが海賊化しているため航路が大幅に最速からそれていた。帆と水蒸気で動くこの船は海流に乗って一度”ポートセントラル”へ燃料補給に寄り、キト大陸を目指した。


 客室は村民がお金を出し合って、Aクラスの部屋を用意した。知っていれば拒否したが、それを知ったのは出発の前夜に妻から聞かされた。すでに100%返金期間は過ぎていたため、妻に私用口座から全員に返金するように言って、船室はそのまま乗ることにした。隙あらば恩返しだと何か金品ではなく、間接的に復興祝いを渡そうとしてくる。有り難いが、自分はドライアドに祈って復興しただけだ。実力ではない。


 Aクラスは食事もついていて、部屋にいるだけで全てが完結した。船旅は3日かかったが苦労することは何もなく、キト大陸の玄関口、”ポートキトセントラル”に停泊した。港町なだけあり、魚が特産品となっており、キト族の好物で古代キト族は川や海沿いによく集落を作っていたという。パピヨン種のカラン嬢にもらったクッキーを食べながら馬車を見つける。


「すいません、魔法図書館前まで」

「あん? 随分古い停留所の名前を知ってるんだな客人よ」

 ホク族の運転手は今はその停留所は無く、王国の少し前までしか行かないようになってしまったらしい。

「村の復興に忙しくて知らなくて…そこまでいくらで乗車できますか?」

「もちろん、320トレーだ。片道2日だから食料は買いこんどくのが吉だよ」

「その点は抜かりないですよ。これでも元冒険者なので」

「そうかい、じゃああと30分で動くから乗ってな」


 馬車は定刻にベルを鳴らし2台が出発する。2日かかると言われた旅路は予想より早く、1日と半分で到着した。

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