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この星の魔法少女たちは、まだ戦えない! ~アコンプリス イン マジカルガール~ 悪の組織が、戦えるよう魔法少女を育て上げます!  作者: 大恵


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第6話 しかる後のリリカ


 夕陽を浴びて新築の外壁が眩しい病院に、先生としてのディスキプリーナと、その妹としての笛奈(てきな)が見舞いとして訪れていた。


 病室では可愛らしい少女が、髪を解き下ろしてベッドで横たわっている。

 リリカだ。

 ディスキプリーナと笛奈(てきな)は、彼女が髪をアップにしている姿を一度しか見ていない。

 どちらが似合うというわけではないが、痛々しさもあって解いた髪は似合わないように見えてしまった。

 リリカは目に涙を少し浮かべて笑っていた。カーテンの隙間から差し込む夕日が、眩しいせいだろうか?


「あははー。赴任そうそう心配かけてごめんなさい、プリン先生。あと部活動の話ですか? あたしもそりゃ部活には未練はありますけどねー。でもなあ……でも、ちょっと無理かなぁ……って」


 笑ってはいるが、声は震えている。

 涙があるのに、目は渇いている。

 リリカは釣られた足を、見ているようで見ていない。

 そんな様子だ。


 ディスキプリーナは目の泳ぐリリカの顔を、真正面から見据えて告げる。


「うむ……。では退部を視野に入れた休部。だが退院まで要相談のため保留、と調整しておこう」

 

 リリカの怪我は重かった。

 日常生活には問題ないが、激しい運動やジャンプやリフトなどを行うチアリーディングは無理という医師の診断結果だ。

 むろん長いリハビリテーションがあれば、そのような運動を可能となるが、その期間が問題である。

 学生生活が終わったころ、万全となっても青春は終わっている。

 

 彼女の部活動は、昨日の事故をもって終わった。

 車に轢かれそうになった後輩の女子を助けようとして、リリカの青春は大きく転換する。


「リリカよ。まずは治すことを優先せよ。授業の進歩や学校からの連絡は、この妹の笛奈(てきな)に任せる」


 病室に入ってから視線も合わせずに、面倒くさそうにずっと黙っていた笛奈(てきな)が驚いて飛び跳ねた──ようにリリカには見えた。


「なっ! 俺様が? なんでだよ。転校したばかりで、むしろこっちがいろいろなにかとあるぞ……」

 

 不満を言う笛奈(てきな)に飛びつき、頭を押さえてディスキプリーナはヒソヒソと耳打ちする。


「計画は中止ではない。延期じゃ。だからこれは観察と交流を兼ねておる。おぬしの学業より計画を優先するのがあたりまえじゃろう?」

「あ、ああ、そうか。わかったよ」


 一応、理屈は通っているので、笛奈(てきな)はしぶしぶ承諾した。

 中身70歳。計画が終われば学校から離れる笛奈(てきな)は、本当に学業を修める必要はない。すべては計画優先である。

 いきなり頓挫しているが、事故なのでそれは言わない約束である。 


「大丈夫、笛奈(てきな)さん? まだうちの学校に慣れてないのに」

 

 今現在、一番大変な時期にいるのはリリカである。それなのに笛奈(てきな)を本気で気遣った。

 教師が姉という権限をつかい、無理やり弟をこき使う。そう見えたのかもしれない。


「よいのじゃ、よいのじゃ。コイツからの報告を吾輩が貰えば、担任としても助かるからな」


 ディスキプリーナは笛奈(てきな)の背をバンバンと叩いて、リリカの懸念を肯定するかのように答えた。

 だが続く言葉に、リリカは頬を緩ませる。


「それにな、こやつはリリカに連絡通達するため、真面目に授業や連絡事項を聞く必要が出てくる。この愚妹は気を抜くと人の話を聞かぬ癖があってな。誰かのため、と緊張感があればちょうどよいのじゃ」


 勝手に設定を盛るな。と内心、笛奈(てきな)は腹を立てたが、実は本当にその癖があるのでディスキプリーナは本気である。しかし、この一言でリリカの緊張が取れた。

 その様子を確認してから、ディスキプリーナは微笑んだ。


「そっか。お得ですね~」


 リリカも明るく笑った。対抗するようにディスキプリーナも大きく笑う。


「そうじゃ。お得なのじゃ~。わっはっはっはーっ」

「やだ、あはは~」


 二人は不貞腐れ気味の笛奈(てきな)を放置して、楽しげに笑い合う。不幸な怪我と計画頓挫はあったが、二人はそれなりに打ち解けたようである。

 

「女の子同士じゃ。なにかの時はこの笛奈(てきな)を通さず、気軽に相談してくれ」


「ま、女の子って歳じゃねぇんですけどね……お互い」


 つまらなそうにそっぽを向いて、笛奈(てきな)がつぶやく。笛奈(てきな)も実年齢が70歳を超えるが、ディスキプリーナの年齢は、地球において比肩するものがない。

 その高年齢ディスキプリーナなの鋭い眼光が笛奈(てきな)を追う。


「何か言ったか、笛奈(てきな)?」


「いえ、何も」


 奇しくも、それは仲の良い姉妹のじゃれ合いに見えた。


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