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男女比がおかしい世界で秘密結社のボスをしている  作者: かませ犬


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第六話 のっぺらぼう

 世界各地の都市部に存在するダンジョンの大きさは、国によって異なる事が最近の研究で発覚いたしました。


 国土の大きさによってダンジョンの大きさが変わるのか、あるいは人口によってか、様々な議論が繰り広げられていますが、その理由までは明確化されておりません。


 世界一大きいダンジョンと言われているのが、イギリスの首都ロンドンに存在するダンジョン『glory(グローリー)』。栄光をこの手にする、という意味から名付けられたそうです。


 対して世界一小さなダンジョンと言われているのが、インドの首都ニューデリーに存在するダンジョン『आशा(アーシャ)』。ダンジョンの由来は希望という意味だったと記憶しております。ダンジョンの出現よって国が救われた事からそう名付けられたとか。


 ただ、世界最小と言ってもダンジョンを除けば、既存の建造物より遥かに巨大や建築物である事に変わりはありません。世界最小のダンジョン『आशा』ですら3000メートルを超えますからね。天高く聳え立つ塔という表現がよく似合います。


 ちなみに日本のダンジョン『ヤマト』の全長は7248メートルで、世界で28番目に大きいダンジョンとして知られております。


 そんなダンジョンの小話を挟みながら、レヴィ様とダンジョンの探索を行っているのですが……やはりレヴィ様はお強いですね。


 まだ階層が浅く、モンスターが弱いとはいえ瞬く間に鉢合わせたモンスターを仕留めております。背中に背負った銃器はどうやら飾りらしく、一度も使う様子はありませんね。


 虚空から取り出した白銀の槍を一振、二振りすると面白いくらいあっさりとモンスターが倒されていきます。表現としては柔らかく言っておりますが、臓器を撒き散らしながら四散しているので中々にグロテスクな光景ですよ。


 一時的なパーティーを組んでいるので私も最低限の仕事はしたいところですが、私が動く前にレヴィ様が倒してしまうのでどうしたものかと困っております。


「参りました。ここまでやる事がないとは……」


 レヴィ様とダンジョンを探索するのは実は今回が初めてなのですが、良くもまぁあのような着ぐるみで俊敏に動けるものだと感心します。


 しかしまぁ、本当にやる事がない。モンスターが飛び出てきても私より早くレヴィ様が動くものだから、基本的に見ているだけです。


 戦わないでいいので体力の温存にもなりますし、楽でいいのですが何とも申し訳ない気分になります。


「本当ですね!いやぁー流石は英雄様だ!」

「お兄さんですら出る幕がないのよねー。凄いわー」


 私が零した呟きに同調する二つの声。


 その声の持ち主は私の後ろに控えておりました。二人の特徴は一言で言えば『のっぺらぼう』。


 本来ならある筈の目、鼻、口が存在せず凹凸のないつるりとした平らな顔だけがそこにあります。このような化け物とダンジョンで出くわせばモンスターと間違えて攻撃してしまうでしょうね。


 私とレヴィ様の場合はこの『のっぺらぼう』がどのような存在か知っているので、危害を加えるような事はしません。その代わり。


「ほら、二人ともお仕事ですよ」

「「はい!」」


 レヴィ様の倒したモンスターが紫色の光の粒子となって消えていきます。モンスターの亡骸があった場所には掌サイズの小さな石が転がっていました。水晶のように透明感のある紫色の石。これが『魔石』と呼ばれる鉱石です。


 モンスターを倒す事で()()入手ができる代物で、非常に便利なエネルギー物質なため国が高値で買い取ってくれます。


 とはいえ、目の前に転がっている小さな石ころ程度の大きさですとお昼を食べる事も出来ないでしょうね。冒険者として生きていく為にはモンスターを多く倒し、魔石をかき集めるしかありません。


「あの、お兄さん」

「なんですか?」


 のっぺらぼうの片割れはレヴィ様の後を追うようにせっせと魔石を拾っています。残ったもう一人が、近場に落ちている魔石を拾いながら声をかけてきました。


 口もないのにどうやって言葉を喋っているのでしょうか?()()()()()()とはいえ、なんとも不思議な光景です。


「本当に、お兄さんが言うように荷物持ちをしたら()を返してくれるんですか?」


 のっぺらぼうは私の機嫌を伺うように、恐る恐る聞いてきました。彼女とは短い付き合いですからね。私がどのような人物か知りませんので、私の発言を信じていいか迷っているようです。


「安心してください。私はちゃんと約束は守りますよ」

「本当ですか?」

「はい」


 おや、優しく言ったつもりですがのっぺらぼうの声が震えていますね。これはいけない。もっと優しい言葉をかけてあげないと。


「ダンジョンを出たら約束通り()はお返しします。それまで私が大事に保管しておくので安心してください───ピラ美さま」

「……ひぇ……」


 彼女の名前を優しく呼び、懐に仕舞っておいた()を取り出すと引き攣ったような声が漏れました。


 私が手に持つコレ一見何の変哲もない仮面のように見えますが、まるで生きているかのように目や口が動いております。これは目の前ののっぺらぼうに本来あった筈の顔になります。


「さ、手を止めていないで魔石の回収をお願いしますね。その為に……貴女方を殺さずに連れて来たんですから」


 安心させる為に笑みを浮かべたつもりですが、悲鳴を上げて私から離れて行きました。解せません。

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