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燈守ノ書 〜 大正怪異譚  作者: NOA
灯影残し(ほかげのこし)
8/47

 数日後、啓太郎のもとに宗右衛門が現れた。

 額を地につけて詫び、証文通りの金を持参した。

 啓太郎はただ黙ってそれを受け取り、何も言わなかった。

 それでよかった。父が望んだのはきっと、騒ぎ立てることではない。真実が明らかになり、誠実に償われることだったのだ。


 その晩、啓太郎は夢を見た。

 静かな雨の音のなか、庭に立つ父の姿があった。

 もう怒っていなかった。厳しかった目も、今はやさしさに満ちている。

「おまえとは……よう喧嘩もしたな」

 柔らかい目だった。

「わしは、和傘を守ることしか知らなかった。おまえが何を見ていたのか……どんな思いで言ったのか……気づいてやれなんだ」

 啓太郎は、胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。

「だが、おまえには――おまえの道がある。もう、わしの時代ではない。……好きにやれ。おまえの思うように、恥じぬように、堂々と歩け」


 父の姿が、風と共に薄れていく。

「啓太郎……すまんかった……頼んだぞ」

 言葉とともに、啓太郎の頬に風が吹き抜けた。



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