表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
燈守ノ書 〜 大正怪異譚  作者: NOA
灯影残し(ほかげのこし)
2/29

 その日の夕暮れ時。嶋屋の勝手口にふたりの若者が立っていた。


 端整な顔立ちに前髪を短く下ろした短髪、控えめな袴姿の十九歳。神主の息子で、(りん)とした眼差しをたたえ、町では「若様」と親しまれている──灯神晴臣(とうがみ はるおみ)である。


 もうひとりは灯神玲(とうがみ れい)、十六歳。小柄で華奢(きゃしゃ)、どこか女の子のような顔立ちをしている。寡黙で、おとなしい。晴臣の従弟(いとこ)で霊感が強く、世間では「狐っ子」と噂される。


 ふたりは、今や店を継いだ若旦那・啓太郎の部屋へと案内された。

 「灯神様がお見えになりました」と番頭が取り次ぐ。

 啓太郎は、ふとんの中で顔を覆い、小さく震えていた。

「……俺のせいだ……親父は怒っている……俺が……あんなことを……」

 晴臣は啓太郎の傍に座り、落ち着いた声で言った。

「あまりご心配なされませぬよう……気をしっかりお持ちください」

 啓太郎は、怯えたまま丸まっていたが、わずかにまぶたを上げ、晴臣を見た。

「よろしく……お願いいたします」


 晴臣と玲は番頭の案内で、離れに通された。そこは先代の使っていた部屋で、庭に面して建てられている。

「……こちらが、大旦那様がお使いになっていた部屋でして」

「この庭で亡くなられていたのですね」

 晴臣の問いに、番頭はしばし言い淀み、うなずいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ