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「そんなことがあったんだ……」


 椙子の不思議な体験に驚きながらも、呂嗚流は嬉しそうに頷いた。


「愛、平和、未来。素晴らしい答えを見つけたね」


 腕枕に頭を乗せた椙子の髪を撫でながら、頬にキスをした。

 椙子は幸せ過ぎて失神しそうになった。


「あなたのお陰よ。あなたが導いてくれたの」


 椙子は感謝の塊になった。


「そんなことないよ。内面と真摯に向き合い続けたから、そして、諦めなかったから、君を導く神が現れてくれたんだよ」


 呂嗚流の優しさに気絶しそうだった。

 もう一時も離れたくない、

 ずっと一緒にいたい、

 と椙子は強く願った。


 そんな気持ちを察したかのように、呂嗚流が優しく囁いた。


「君と僕とで作った曲をスタジオで録音しようか」


「えっ、本当?」


「本当だとも。モルディブにプライベートなレコーディングスタジオを持っているから、休暇を兼ねて行こうと思うんだけど、どうかな」


 椙子に異論があるはずがなかった。


「ハネムーンみたい……」


「そうだね。そこで結婚式を挙げようか」


 えっ! 

 け・っ・こ・ん・し・き、


 余りの驚きに息を吸い込むことを忘れそうになった。


 慌てて吸い込んだが、大変なことに気がついた。

 まだ両親に紹介していないのだ。

 今は地中海クルーズを楽しんでいるはずで、陸に戻ってくるのは1か月以上先になる。


 どうしよう……、


 * *


 椙子の顔に戸惑いが現れた瞬間、

 いきなり場面が変わって、

 一女と一犬が映し出された。

 心配そうな女の声が聞こえてきた。



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