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5.十一話から十五話

 十一話目。

「すごくたくさん食べるのが好きな人間が居ました。夏だったので冷たいものを食べようと思って、氷菓子を食べました。大きなバケツのような入れ物に入っている氷菓子です。

 時間をかけて食べたのですが、あんまり食べ過ぎたせいで、お腹の底から冷えてしまって、十リットルくらい食べた所で、寒さで死んでしまいました。

 氷菓子は、十リットル食べるものではないのです」


 十二話目。

「ヒトノホシの、猫又博士の故郷には、河童と言う妖怪が居ますが。それは落ち武者と言う人が居た時代には、実在したそうです。頭の天辺をツルツルに沿って、周りの髪の毛を短くした様子は、まさに河童です」


 十三話目。

「ある所に人間の小学生の男の子が居ました。男の子は、毎日家に帰る時に、見知らぬ人間の老婆に『要らんかね』と声をかけられるのです。

 何かの物売りだと思った男の子はずっと無視していましたが、ある日、とうとう面倒くさくなって、『要らないよ!』と、老婆に声を張り上げました。

 そうしたら、男の子の胸に草を刈る鎌が突き立てられました。男の子は命を奪われました。そして、老婆は『要らんかね』と言いながら、別の子供が通る場所に歩を進めていきました。

 どうにも、老婆は復讐を企てる殺人鬼だったらしいのです。自分の孫をいじめ殺した子供達を狙って、方々(ほうぼう)に現れているようでした。

 そしてどの子供にも『要らんかね』と声をかけて、『要らない』と答えた子供達を命を奪っていたのです」


 十四話目。

「ヒトノホシに居た家族のお話です。その猫達はとても仲が良くて、一つの箱の中に団子のようになって眠り、食べ物だって仲良く分けて食べていました。ですが、ある日、その家の母猫が居なくなりました。

 みんなで一生懸命探しましたが、とうとう母猫は見つかりませんでした。何年も経って、子猫達が立派な成猫に成ってから、母親は変わり果てた姿で発見されました。

 その猫の家族を養っていた家の主人が、買って来たのです。母猫そっくりの猫の皮で作らた、立派な三味線を」


 十五話目。

「ある所に牛と豚と鶏とソーセージが仲良く暮らしていました。ある日、ご飯の係をしていたソーセージが居なくなりました。そして仕事から帰って来た牛と豚と鶏は、ソーセージ入りのポトフを食べました。

 次の日は、鶏が居なくなりました。そして牛と豚はローストチキンを食べました。次の日には豚が居なくなりました。その日、牛はポークソテーと手作りのソーセージを用意しました。

 手作りのソーセージ達は、毎日ご飯の係をしていましたが、一名一名と居なくなって行きました。そして最後の日。残っていたソーセージ達は牛のステーキを食べました。

 そしてそのおうちは誰も居なくなりました」


 真面目に話している数名の中には、必ず聞きかじった短い話をする者が居るなぁと、猫又博士は少しだけ不服に思っていました。

 ですが、夫々の話が終わる度にテープレコーダーを停めてから、「ろ・一」から「ろ・五」までの学生の名前の横にレ点を打つと、拡声器で呼びかけました。

 一番最初の時のように、「面白いショートショートだった」のような冗談を言いません。

 何せ、白衣に隠れた猫又博士の背中の毛は逆立っており、ぞわぞわ言う何かの気配で戦々恐々としていたからです。

 それが現れる前は、気温が低くなるらしいと言う事を知っていたので、猫又博士は拡声器を置く机に隠れる場所に気温計を貼り付けてありました。

 現在、夜の体育館は、二十六℃です。昼間より少し過ごしやすいくらいの気温です。

 これは、成功の予感がすると、学生達が話す間、猫又博士は生唾を飲みました。

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