黒騎士ガイアスは孤独を恐れる
黒騎士ガイアス。
彼は孤独になる事を恐れていた。
不死の命、強靭な肉体。
彼は強い。
ゆえに。
彼の周りにいる者達が大勢死んでも、彼は生き続けてしまう。
とりのこされるという恐怖が、彼に恐れを植え付けていた。
一人になりたくない。
孤独でいたくない。
そんな彼に手を差し伸べたのが、菫色をまとった姫ヴァイオレット。
黒騎士の主人。
気高く優しい姫。
ヴァイオレットは、彼を決して一人にはしないと約束した。
そして、魂を絆で結んで、独自の魔法を編み出した。
対翼の魔法。
比翼連理の魔法。
二人が死なないかぎり、二人は共にあれる。
決して相手を一人にはさせない。
そんな魔法を。
その日からガイアスは、孤独の恐れから解放された。
眠れぬ夜も、やがてくる喪失も怖くなくなった。
黒騎士ガイアス。
そして菫色の姫ヴァイオレット。
二人は命つきるまで、離れず、ずっとそばにい続けた。