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 「あれ?あれ?え〜」嘘でしょ?昨日読んだはずの花の図鑑のページ半分くらい見覚えないんだけど⁈


 「お嬢様!あ、もう起きておられたのですね。クレア様が到着いたしました。急いで朝食を召し上がって向かいましょう」


 「え!もうクレア先生来たの?まだ七時だよ⁈」何が何でも定時になったら帰ってた先生が、こんなに早く来るなんて・・・そんなにやばい状況なんだ、私。



 



     ーーーー



 

 

 この扉を開けた時、それは地獄の始まりだ。

  スゥー『バタン!』

 「クリスティーナ様!ノック3回するの忘れてる!」

 「はい!!すみません!」初っ端からミスったぁ!

 『コン、コン、コン』よしっ『バタン』

 


 

 「お好きな花は何ですか?」


 「え?あ、ツツジです」

 

 「ツツジ・・・王家の庭にツツジはあるかわからないので、できれば王家の庭にある薔薇かポピーかチューリップかデイジー、カーネーショ」「じゃあ薔薇で」


 「・・因みになぜ?」


 「薔薇ってエディブルフラワー?と言って食べられる花なんです。ローズティーとか薔薇ジャムとか?、とにかく美しいのに実用的って凄くないですか⁈」

 おぼろげながら意外と言葉はスラスラ出てくる。あれ、食べ物関係の花は覚えてるのか、意外とやるじゃない私の脳!


 「・・・うーん、まぁこれはこれでアリ?これくらい妥協は必要か」え、クレア先生からも及第点?


 「じゃあ次っ!・・お好きな本は何ですか?」

 

 「『風変わりな生き物図鑑シリーズ』ですね」シリーズといっときながらまだ一巻の半分くらいしか読んてないけど・・。


 「・・・・まーあー?最低限会話が成り立てばいいんですからね、はい。この調子でいくつか質問していくので答えていってください。」

 「はい」



 そんな調子でクレア先生との一問一答は続いき───


 「会話の方はこれくらいで大丈夫かと思います」

 「え?もういいんですか?」まだ2時間もやってないのに?

 「当日は緊張でここまでうまくいかないことを考えても、5歳にしては十分に受け答えできていると思いますよ?」

 ・・・一応、前世と合わせて精神年齢16+5歳だからかな?・・でもそれはそれで5歳児と話が合うのか心配になってきた。




 「次はテーブルマナーを学びましょう」

 「はい」

 マーヤからティーカップが渡され、テーブルの上にスコーンからサンドウィッチ、ケーキタワーみたいなのが置かれた。

 

 そして、そこからが地獄のレッスンの始まりだった────

 


 「ティーカップは、持ち手に指を通さず、つまむように持つのが基本!いいですか?サンドウィッチが大皿になってある時は、きちんと切り分けて食べる!食器をカチャカチャ音立てない!」


 ひぃいい、出来の悪い生徒でごめんなさいぃ。





───はぁはぁ、やっと一区切りついて昼食休憩だ。

 ちょっと一ヶ月経って、私って成長した?とか思ったけどやっぱりいざクレア先生を前にしたら自分の未熟さを突きつけられるわ。


 今日のお昼は何だろなぁ?あ、ローストビーフと卵を挟んだタンパク質重視の・・・サンドウィッチ。チラリとクレア先生を見ると・・先生は仕方なさそうに笑って頷いた。

 昼食休憩くらいはマナー気にしなくていいってことだよね⁈

 『ハむ』ん〜〜素手でサンドウィッチ鷲掴んで口いっぱいに頬張るのって幸せ〜。


 「お嬢様」むしゃむしゃ食べているとマーヤが話しかけてきた。

 「ん?」どうしたの?

 「ちょっとお話しがあるのですが・・」

 「?」

 「食べながらでいいので聞いてください」気づいたらクレア先生は席を外して、部屋にはマーヤと二人っきりになっていた。

 



 「お嬢様は聖哲式の後、恐らくリヒト殿下とのお茶会に誘われます。これがどういうことか、お嬢様、分かりますか?」


 「それって、私がリヒト殿下の婚約者候補になるということで合っている?」 ・・・候補っていうか、他に誰もいなければ実質婚約者か。家柄も申し分ないだろうし。


 「はい、その通りです」

 やっぱりそうかー5歳でもう結婚の話とか、早いなー。


 




 ───前世は魔法なんて存在しなかったから、多くの魔力を有していることがどれ程のことなのかまだ良くわからない。しかし、私はきっと私が思っている以上に有用なのだと思う。

 王家はできれば私を他国に逃したくない、確実に私をこの国に一生縛り付けるための『繋がり』を作りたい。

 そしてその手段といえば・・・

 通例となっているお茶会。その相手は王族、しかも近い年齢の異性であるならば、お茶会とは名ばかり、実際のところは王家の人間と私を結婚させるためのものだと考えるのが自然だ。

 それに──

 「この国には側室制度があるんだっけ?」

 「っ!はい、そこまで・・いつの間に調べられたのですか?」

 

 「今朝ね、調べたの。昨日のマーヤの動揺っぷりからちょっとおかしいなって思って」

 ・・・あとお茶会で無礼働いて打首とか、色々想像したらほんと心配になったんだよね。それで、今まで本棚使うための踏み台要員として使っていた本、『貴族向け!馬鹿でもわかるギョクコウ王国法典大百科事典』を読んだらまさかの側室制度残ってたーー!

 しかも王家だけ!唯一側室を持つことが許されてるんだよね。私は自分の夫が側室の女性に手ぇ出すのを黙って見ていられるほど心広くないし、もし自分が側室になったらそれはもう嫉妬で狂う気がする。

 前世、彼氏できたことのない拗らせ女子の愛の重さ、舐めんなよ!!


 「婚約者になったらそれを解消するのはなかなか大変です。なのですぐ、婚約を結ぶということはないのですが、それでも、お嬢様の将来に大きく関わることなので・・・すでに理解されていたならよかったです」

 


 「マーヤ、ありがとう」

 ・・マーヤは私に対して、どこまでも誠実でいてくれる。


 「・・お嬢様、変わりましたね」

 

 「  うん!当たり前でしょ!子供の成長は早いのよ!」

 「まあ・・・フフッそうですね。失礼しました」


焦ったー・・、最近ちょっと調子に乗りすぎ?前世の記憶のこと知られないように気を引き締めないと・・

 

 

 

 

 

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