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 「お嬢様、お見せしたいものがあるます」どこかソワソワしているマーヤ・・・なぜだろう嫌な予感がする。

 

 マーヤから手渡された黒いスーツっぽい服。これって、まさか・・・

 「あの、マーヤ?これってまさか昨日マーヤが着てた・・」

 「はい、昨日の長距離走で着たトレーニングスーツです。この布はシルクとウールをある割合でブレンドしたものに加えなんと魔力を宿した糸を織り込み、また、何といってもこの服の1番の特徴は着用時の締め付け具合、つまり圧力にあり、体に適度な圧を・・」「その話はもう聞いたから!・・大丈夫だよ」

 「はい、失礼しました」


 少しマーヤにキツイ物言いをしちゃったけど私はそれどころじゃなかった。

 え?あのピッチピッチの服本当にきなくちゃいけないの?

 

 「お嬢様!きっと似合いますよ」・・・こんな純粋な瞳に見つめられたら断れないよお!って

 

 「え?」


 「お嬢様?どうかされましたか?もしかしてお気に召しませんでしたか?」

 「いや、何でもないよ。私もこの服すごくいいなと思ってて、わざわざ用意してくれてありがとう」

 「いえいえ、それならよかったです!」


 危ない。叫び出すところだった。落ち着いてもう一度確認してみる。

 やっぱり・・外からはあまり見えないけど、確かに書かれている。トレーニングスーツをそっと裏返すと内側にびっしり

      


 「羊」と──・・・

 












 ひつじ?だ、よね。そういえばマーヤがこれはウールでできているって・・以前「子」という文字を見た時も感じたいたけれど、もしかして、この世界にも日本語が、あるの?


 「ねぇ、この内側に書かれているのってもしかして何かの文字だったりする?」震える声を抑えて、何とか自然に尋ねる。

 

 「?いいえ。これはカルネイロ家の家紋ですね。ほら、ミュースラット家にもありますでしょう、その家を表す、いわば記号みたいなものですね」

 そう言ってマーヤは空中に私の前世の記憶のトリガーとなった文字「子」を描いた。・・・


 「家紋・・何か他に意味とかはないの?」

 「他の意味、ですか、」

 うーん意味かぁ、と呟きながら考え込むマーヤを見て、私は何だか泣きたくなってきた。



 ・・そっか、結局「子」も「羊」もただの模様だったんだ。「子」だけでなく「羊」っていう文字を見て一瞬この世界にも日本が存在するのかもと期待したのに。



 だって、だって私、本当に・・・日本が・・・

 

 



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