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ソールティアス家

そのまま騎士さん達に連れられて

安全に都市って所に来られた。


「人が一杯……」

「ここは色々な人が過ごしてる場所でね。

 とても裕福な土地なんだよ。

 何てったって、ソールティアス様のお膝元。

 ユーランス王国で1番治安が良いんだ」

「ユーランス王国」

「あぁ、俺達が過ごしてる国の名前だよ」


私は国の事は良く分からない。

前はギフティーだったと思うけど

そこは別の都市って事なのかも?


「きっと勉強をする事になるだろうから

 ひとまず教えておくとだね。

 ユーランス国には色々な都市があるんだけど

 それぞれ、統治してる貴族が居るんだ。

 今、貴族が統治してる都市は5つだけど

 一家だけで統治してる都市は3つだけでね

 まずはここ、バナージ。

 ソールティアス様が統治を任されてる」

「王様は?」

「全ての都市の管理をしてるからね。

 王様はとっても多忙なんだ」


だから、ここはソールティアスって人が

仕事をしてるって事なのかな?


「そして、ギフティーではレングラーズ家が

 統治のような事をしてるらしいが、治安が悪い」

「知ってる」

「あ……まさか」

「私達はその人の奴隷だったから」


嫌な思い出しかない場所だ。

あの場所には近付かない。


「そ、そうか、悪い事を言ったね」

「気にしないで」


この人達だって、悪気があったわけじゃ無いんだ。

だから、怒らない。この人達は悪くないから。


「おい、これ以上この話は

 止めた方が良いんじゃないか?」

「いや、もうひとつも気になる」

「う、うん、じゃあ話そう。

 もうひとつはビレッジ、ここはバジルラード家が

 統治をしてるらしいんだけど、このバジルラート家は

 宗教の様な方法で都市を統治してるらしいんだ。

 だから、出来れば行かない方が良いと思う」

「……ここ以外、治安悪いんじゃ?」

「う、うん、ソールティアス様は統治能力が高くてね。

 8年前の反乱で当主が死んでしまった事で

 1度没落した家なのに、ソールティアス様が

 1人でここまで家を建て直して来たんだ。

 だから、本当に能力が高いんだよ。ソールティアス様は」

「……ソールティアスは名字? 名前は?」

「ソールティアス様は自分の名前を隠してるんだよ。

 失った妹を見つけるまで、自分の名前は封印するって。

 不甲斐ない自分に対する、罰だそうだ。

 我々騎士もソールティアス様の

 意志を尊重してるんだ」

「ふーん」


凄い人らしいけど、後悔してる事があるみたい。

私は全く分からない感情だ。

何かを後悔する余裕は無かったから……


「我々も捜索してるんだけど、見付からなくてね」

「その妹さんを探してるの?」

「あぁ、ソールティアス様はヒューマンビーストだから

 妹様もヒューマンビーストで確定なんだが」

「ヒューマンビーストってなんなの?」

「耳と尻尾が生えてる特殊な種族だよ。

 本当に数は少ないんだけど、その種族は総じて

 とんでもなく強くてね、冒険者達の頂点は

 殆どがヒューマンビーストで

 力ある騎士の殆ども同じなんだ」

「凄いんだね! ヒューマンビーストって!」


とても強い耳と尻尾が生えてる人。

今まで見たことは無い。

それもそうか、数が少ないっていってたもん。


「あぁ、まさに選ばれた種族と言えるだろうね。

 ソールティアス様はそのヒューマンビーストの中でも

 1番と言っても良いくらいの実力者なんだ。

 でも本人は、必要な時に力を振るえなかったと

 ずっと後悔してるんだ」

「大変だね、その人」

「あぁ、だが後悔に苛まれても

 しっかりと治安を維持してる。

 俺達は一生、あの人に付いていきたいと思ってるよ」


この騎士さん達からしてみれば本当に大事な人なんだね。


「まぁこの話はこれで良いかな。

 ひとまずこのバナージは治安がしっかりしてるから

 君達も安心して生活することが出来ると思う」

「でも、お金が無い……」

「そこで、どうだろう。見習い騎士として

 ソールティアス様に仕えてみるのは」

「……」

「君の実力なら、ソールティアス家に仕えたとしても

 十分能力を発揮できると思うんだ。

 幼いのにその強さだからね」


大人と一緒に何かをするのは嫌だけど

お金を貰うにはそうするしか無いのかも……


「当然、ソールティアス様に進言して

 部屋を用意して貰うよ。

 料理も俺達が手伝ってあげる」

「料理は出来る」

「凄いね、それは……いや」

「洞窟から抜け出した後に練習しただけ。

 多分、剣の効果だから気にしないで」

「そ、そうか」


私達は料理じゃ無くて掃除をやってた。

殴られたりのストレス発散にも使われてた。

思い出したくは無いけど、記憶には残る。


「ナナちゃんはどうする?」

「うん、リンちゃんと一緒に居るよ!」

「……分かった」

「じゃあ、見習いの騎士として」

「ん、頑張ってみる」


私の言葉を聞いた騎士さん達が

少し嬉しそうな笑顔を見せてくれた。


「じゃ、案内しよう」

「ん」

「お願いします!」


そのまま私達は騎士さん達に案内されて

ソールティアス家って言う場所に案内して貰った。

そこは周りの家と比べてとても大きな館だった。


「ここがソールティアス様の館だよ」

「ソールティアスって人に会いに行くの?」

「あぁ、まずは挨拶をしないとね」


そのまま私達は騎士さんの案内に従って

大きなお部屋の前にまで連れてきて貰った。

館の中に居る騎士さん達も私達を見て

驚いてたけど、案内してくれてた騎士さん達が

事情を説明してくれたら、私達を歓迎してくれた。


「ソールティアス様、今、お時間よろしいでしょうか!」

「構わない、入れ」

「は!」


扉の向こうから声が聞えた後に

騎士さん達が扉を開けた。

そして、広い広い部屋の奥に女の人が居る。

比較的若そうに見える、多分20歳位だ。


「ん? その2人の子供は?」

「はい、此度のデュラハン討伐の任にて

 偶然遭遇した、元奴隷の少女達です」

「奴隷……にしては、随分と良い服を着てるな。

 君達が彼女達に買い与えた衣服なのか?」

「は! 流石に奴隷としての衣服のままの

 彼女達をそのままというのは」

「それもそうだね、では料金を伝えてくれ。

 その分を君達に渡そう」

「いえ、その必要はございません。

 これは、我々が自ら望んだことですので」

「そうか」


騎士さん達の返事を聞いた女の人が笑顔を見せ

ゆっくりと席を立ってこちらにやって来た。


「……」

「あ、よろしく、リン」

「わ、私はナナって言います」


ソールティアスさんがこっちに近付いてきて

少しだけ沈黙したからちょっと驚いたけど。


「あ、この剣は拾った剣で

 騎士さん達から貰った剣じゃ……

 そ、それと、私の剣だから……」

「いや、剣の事では無いんだけど

 うん、とにかく君達、無事で良かった」

「あ、うん……」

「それで? 彼女達を私に会わせようとした理由は?」

「は、実はですね」


騎士さん達が私達を見習い騎士として

ソールティアス家に仕えさせたいと言う事を伝えた。

その際に、私がデュラハンを倒したことも話してた。


「この齢でデュラハンを討伐するとは……

 なる程、確かに将来有望な少女だな。

 しかし、私としては出来れば幼い子には

 戦って欲しくないと思うのだが……


 しかしだ、この齢で出来る仕事と言えば

 もはや冒険者しか無いのも事実。

 その危険な仕事を任せるよりは良いか。

 里親を探すのも、また抵抗もある」

「確かに里親を探すという選択もありましたね」

「だが、幼い子を2人も養える人は少ないだろう。

 なら、私の元で騎士の見習いとして鍛える方が

 将来の為にもなるとも言えるか」


ソールティアスさんが私達の方を再び見る。

ちょっと目があって、圧を感じたからなのか

少しだけ視線を逸らしてしまった。


「よし、ならば君達の案を受入れよう。

 彼女達を騎士見習いとして歓迎しようと思う」

「ありがとうございます!」

「……彼女達の世話は同じ女性である方が良いだろう。

 エディーに任せる方が良いと思う」

「え!? あ、エディーですか……」

「む? どうした? 何か問題が?」

「いえ、何でもありません。

 了解です。きっとエディーも喜ぶでしょう」

「エディー?」

「私の家に仕えてくれてる騎士の1人だ。

 女性騎士の中で1番実力がある。

 一人っ子で妹が欲しいとも言っていたし

 丁度良いだろうと思ってね」

「ん、分かった」

「では、精進するように」

「は! 失礼します!」


最後にソールティアスさんが私達の方を向いた。

よっぽど気になってるみたいだ。


「す、凄い見られてたね……」

「あぁ、ソールティアス様の妹様が生きていれば

 君達位の年齢だろうからね」

「そうなんだ……」


私達にその妹さんの面影を見たのかも知れないね。

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