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多すぎる後悔

リン……済まない、私が愚かだった。

まさか伏兵が居るなんて。

クソ! 私が焦ったせいで、こんなミスを!


「ビクトール!」

「ふふ、遅かったな」


何とか追いついたと思ったが

馬に乗ってかなり遠くに!

流石にあの距離を詰める速度は無い!

急いでこっちも馬を確保しないと!


「……クソ!」


レングラース家の馬は全て殺されてる。

なら、急いで私達が乗ってきた馬で追わなければ!

焦りの感情をそのまま押し殺しながら

急いでギフティーの外へでる。


「駄目か、動かない!」

「おい! お前達どうしてここに!」


急ぎ、ギフティーの外に出ると

何人かの騎士達が馬を動かそうとしていた。

だが、馬は決して動くことが出来ない状態だ。


「ソールティアス様! すみません、

 エルフがリンちゃんが攫われたと言い

 急いで馬を動かして追いかけようとしたのですが

 馬が全頭動ける状態では無く!」

「……」


わ、私が……私が冷静さを欠いたせいだ!

私があの時、ランバースの警告を無視して!

それが原因で、こんな、こんな事になった。


駄目だ、考えれば考えるほど

私がいかに愚かだったかすぐに理解できた。

あの魔物の襲撃も、実際はエルフ達が迎撃した。


あれが無ければ、あの時、馬を休ませていれば

恐らくあの殲滅戦はエルフ達が対処してくれてた。

その間に合流し、消耗をしなくて済んだはずだ!


消耗が無ければ、

あの時、ビクトールをみすみす逃すことも無く

リンフィアを救出することが出来た筈なんだ!


私の本当の妹かも知れない、あの子を。

いや、まだそんな事を私は思ってるのか。

名前が一緒なだけだ、そうだろう。

あの子は風属性の魔法を使っていたんだ。

それなのに、何故ヒューマンビーストだと思える。


だが、その事はこの際どうでも良いんだ。

あの子を救いたい、救えなかった妹の代わりに

あの子を、私は……それなのに私はまた!

必要な時に力を振るえず、家族を失った!


必死に努力し、力を得たというのに……

なのに、また肝心なところで何も出来ない無能な姉!

クソ、クソ! 私は、私は何で! 私は!


「私は……クソ、私が!」


自分の愚かさに嫌気が差し、騎士達の前だというのに

不甲斐なく涙を流す。

もう、我慢できなかった、この思いが。


ずっと、ずっと辛かったんだ、私はずっと。

復讐したかった、あいつらに。

家族を奪ったあの連中に。

でも、出来なかった……バナージの為に、出来なかった。


「ソールティアス様……すみません」


いつもそうだ、いつも、いつも私は感情的になって

大事なときに、いつも何も出来ない!

あいつらが私の心臓を奪うために襲ってきたときもそうだ

全ての騎士を倒して、ビクトールを殺そうとした時に

リンフィアだけは生き残ったと、そう告げられ。

私は動揺して、隙を晒してしまった。


「私はいつも……いつも感情的になって……

 こうやって、何度も何度も失敗してきた。

 私は……領主失格だ」


私が晒した無能を庇い、グラーズが利手を失って。

そのまま逃げられて……私は! 私は駄目な当主だ!

再びこんな無能を晒して、私は……私は!


私はどうして、どうしてこんなにも無能なんだ!

母が死んだのも、父が死んだのも、

リンフィアを失ったのも、全て私が悪い!


あの時、母の制止を無視して依頼に向わなければ

そうすれば、父も母も殺されることは無かったのに。

私が愚かな正義感に突き動かされたせいで、こんな!


「クソ、クソ……私は」


今まで自分が行なってきた愚行を思い出しながら

私は地面を濡らすことしか出来なかった。


「ソールティアス様!」

「な」


私が愚行を悔み、大地を濡らしていると

不意に大きな蹄の音と私を呼ぶ声が聞えた。

その音が何なのかを確認するために顔を上げると

そこには何人かの騎士が馬に乗ってこちらへ来ていた。

ジージ? 馬鹿な、奴は最後尾に配置していた。


「な、何故」

「え? ランバース殿から指示が来まして。

 えっと、最後尾は少し馬を休ませて来たのですが」


ランバース……あの時、独断で騎士を休ませてたのか。

最後尾の馬を休ませ、何かが起こったときに

足を用意するために……


「ありがとう、恩に着る! その馬を私に!」

「あ、はい、どうぞ」

「残りの騎士も来てくれ! だが、馬は1頭残すんだ!

 恐らくエディーとナナが合流するはずだ!

 1頭は2人の為に準備しておけ!」

「はい!」


ランバースのお陰で馬が手に入った。

いつもそうだ、私はいつも無能を晒す。

その度に、私は誰かに救われた。

今回もそうだし、あの時もそうだ。


本当に……私は1人では何も出来ない。

何度も何度も痛感して、私は私を呪う。

でも、私は人に恵まれた、部下に恵まれた。


「待っててくれ、リンフィア」


隠せてない涙を、少しでも隠そうと涙を拭う。

だが、私の涙は決して止まることは無かった。

私はずっと自分の無能を呪う。


だが、あの子を救えない様な無能にはなりたくない。

妹を2度も失うような、そんな思いはごめんだ。

必ず助ける、必ず、私はリンフィアを救ってみせる!


焦る思いを無理矢理押し殺しながら

私達は僅かに明るくなってきた大地の中を

ひたすらに走る。


今度こそ……今度こそ、私はこの力を振いたい。

必要な時に力を振るえるような当主になりたい。

母のように立派な騎士として戦いたい。

そして、リンフィアに誇れる強い姉になりたい。

きっと、今度こそ……私が、先に進むために!

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