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降り続ける災禍

エルフ達が参戦して、1時間程度で戦いが終わる。

エルフ達の圧倒的な弾幕と完璧な魔法。

後半は殆どエルフ達が殲滅したと言える。


「終わりましたね」

「そうだな、ではピンカー、話を聞かせてくれ。

 何故、ギフティーを襲撃した!」


怒りの感情を剥き出しにしたソールティアスさんが

ピンカーさんの胸ぐらを掴む。


まさかここまで怒られるとは思って無かったのか

ピンカーさんはかなり焦った様子を見せる。


「ま、待ってください! わ、私達はあなた達

 バナージに敵対心などはありません!」

「私達に敵対心が無かろうとも関係無い!

 貴様らがここを襲撃したのは事実だ!」

「我々は最初、話し合いをするつもりだったんです!」

「話し合い?」


その言葉を聞いて、ソールティアスさんが

ピンカーさんを離した。

ピンかーさんは軽く咳き込みながら

衣服を整えてソールティアスさんを見る。


「は、はい、最初、我々はギフティーに対して

 レングラース家の当主を呼ぶようにお願いしました。

 勿論、殺意などはありましたが

 我々としても、都市の襲撃はしたくは無い。

 攻撃を仕掛けてきた騎士は倒したりはしましたが

 2ヶ月位はお話しをするために呼びかけてたのです」


その間、ピンカーさんは私達に魔法を教えてた。

多分、あの間だテレパシーで情報共有してたんだ。


「ですが、レングラース家は我々の呼びかけを無視。

 あげく、大量の騎士を投入して攻撃してきたのです。

 我々は最低限の防衛はしてましたが

 決してギフティーの人達を攻撃はしてませんでしたし

 大規模な魔法で門を破壊したりもしてなかった。

 しかし、その攻撃を受けたあげく

 レングラース家の当主がこう言い放ったのです。

 貴様らの姫は私の奴隷だ、決して渡さないと」

「……?」


どう言う事? 貴様らの姫は私の奴隷。

ナナちゃんの事を、エルフ達は伝えたの?

いやそれより、決して渡さないってどう言う。

だって、ナナちゃんは既にギフティーに居ない。

レングラース家は当然だけど

私とナナちゃんは既に死んでると思ってる筈だ。

騎士達は私達が逃げ出した奴隷だと気付いて無いはず。

バナージの騎士達が全力で隠してくれてたんだ。

気付かれたような様子はないのに。


「それにより、我々の怒りは限界を迎え攻撃を始めた。

 門を吹き飛ばし、騎士達との戦闘をしてました。

 流石に騎士を殺すのも忍びなかったので

 命を奪わないように慎重に」

「待て待て、おかしくない? ねぇ、それ。

 だって、ナナちゃんが奴隷だって。

 そりゃ、元奴隷なのはそうだ。

 でも、レングラース家はナナちゃんとリンちゃんは

 もう死んでるって、そう思ってるんじゃ無いのか?」

「い、言われてみれば確かに……

 しかし、私も確かに聞いたのです。

 あの男が、私達の姫は自分の奴隷だと侮辱したのを!」

「……襲撃を始めたのはいつだ?」

「そうですね、1日前です」


速い、流石に伝令が来るのが早すぎる気がする。

いや、全力で馬を走らせればギフティーから

バナージは1日で行ける。


でも、バナージが騎士を編成して出発したのは

伝令が来てから1日経った後だ。

そして移動で1日、つまり伝令を送ったのは

戦いを始める直前だったという形。

いやまって、でもそうなら、ビレッジの騎士は?


「ビレッジの騎士が居たが」

「ビレッジの騎士は最初から居ましたが」

「え?」

「はい、交渉を始めた時には既に居たそうです」


ビレッジの騎士は2ヶ月前から既に居た?

どうして? 魔物の襲撃がほぼ無い都市なのに。


「……何を考えてたんだ?

 いや、分からないか。

 とにかくレングラースに話を聞きに行く

 あまり大人数で行くと警戒されるかも知れないし

 この場所を放置も良くない。

 この場に居る騎士の8割は防衛で残るんだ」

「だ、大丈夫ですか?」

「あぁ、エルフ達も居るだろうからね。

 それに、ここが手薄だと次の襲撃があったとき

 この場を守る物が居なくなって

 攻め込まれる危険もある。

 あの規模の大群が来てたんだ、油断は出来ない」


うん、これは当然の判断だと言えるよね。

あの数だ、確かに目に見える範囲は殲滅できたけど

まだ来る可能性だって当然あるだろう。

それなのにこのこじ開けられた門を放置は危険すぎる。


「では、エルフを20人ほど待機させます」

「何故?」

「オールドドラゴンの大群が再び来たら

 魔法が扱えないと危険ですからね」

「あぁ、確かにそうだな」


レングラース家が

何を狙ってるのか分からないと感じながらも

今はとりあえずエルフを信じる事にした。

少なくとも私たちにはエルフの姫様が居る。

エルフ達は全員、ナナちゃんを慕ってる。

エルフがナナちゃんを裏切ることはきっとない。

今、信じるべきはエルフだろう。


「あぁ、お会いできて光栄です、ナナ様」

「え、えっと……そ、そんなお辞儀しなくても」

「あなた様が最後の王家なのです。

 我々はあなた様に忠誠を誓います!」

「そ、そんな事言われても、わ、私よく分からなくて」

「今は急ぎたいんだ」

「承知しました、ソールティアス殿。

 挨拶は後でしましょう、今は急ぎます」

「はい! ピンキー殿!」


ピンキーさんもエルフ達の中だとかなり偉いんだろう。

でも、今は急いでレングラース家の元に。


「え!?」


レングラース家の中に入ると同時に異様な光景が見えた。

それは、血を流してる沢山のエルフ達の姿だ。


「な!」


あり得ない! エルフ達の強さを目の当たりにした私達には

レングラース家の騎士がエルフ達を倒せるとは思えない!

下手すればバナージと全面戦争となっても

バナージがやられるかも知れないと感じるレベルだ!


「な! そんな、そんな馬鹿な事が!」

「どうしたの!?」


そして、明らかに違和感のある反応だ。

倒れたエルフ達を見て、少しして改めて何かに驚いた。

それは、ピンキー含めたエルフ全員だった。


「ふふ、まさかエルフが攻めてくるとはな。

 だが、流石に抵抗は出来ないだろう?」


扉が開いてある男が姿を見せる。

その男は女性にナイフを突き付けてる。


「レングラース!」

「ほぅ、ソールティアス家の、来てくれたんだな

 やはり貴様らは甘い、愚かな一族よ」


騎士達が私達を庇うように前に出た。


「あなた、あなたが今、何をしてるのか分かって!」

「あぁ、貴様らの姫を人質にしてるまで。

 死体だろうと、効果があるのは驚いたが」


憎きレングラース、その手元にはエルフの女性。

突き付けられてるナイフの刃先から

彼女の血が僅かに滴り落ちている。


「リージェル様!」

「え?」


リージェル、あの動かないエルフの人が……

ナナちゃんの、お母さん。


「祈りの宝石とやらを手にして、

 この美しいエルフを蘇らせるつもりだった。

 この俺を魅了する美貌を

 全ての男を魅了する美しい娘を。

 今度は俺だけの性奴隷とする為に。

 だが、宝石の発見は失敗したと、そう思ってたが

 面白い情報をビクトールから聞いたんだ。

 オルフィア、貴様の元に

 面白い剣を持ったガキが居るそうだな」

「むぐ!?」


その言葉と同時に、不意に何かに掴まった。

口元を布か何かで塞がれて!


「むー、むぅ!」

「リンちゃん!」

「な!」


これはハンカチ? 

変な匂いを嗅がされたせいか

力が抜けて、い、意識も……


「オルフィア、久しいな」

「ビクトール・バジルラード!」


バジルラード、び、ビレッジの……


「随分とこの小娘にご執心じゃ無いか、お前は」

「なん!」

「弱き者を救う正義の領主として君臨してる貴様が

 小さな子供を騎士として採用してるだけで妙だ。

 そして、この剣。祈りの剣と言ってたそうだな。

 明らかに普通の武器では無い」

「リンちゃんを離せぇ!」

「リン……あぁ、その姿、何処かで見たと思ったが

 あの奴隷か、そして、この女が生んだ娘。

 くく、随分と可愛くなったな。

 成長したら、この女の様に

 俺の性奴隷とする予定だったが

 予備でしか無かったが


 だが、良い仕事をしてくれたな

 貴様らがこの場に居る訳だ、ほぼ確定だろう」

「リンを離せ! さもなくば殺す!」

「いや、もう遅い」


大きな音が聞え、屋敷の屋根が崩落した。

ジリジリと下がってたのはこれが狙い……

か、完全に分断された。


「何だと!?」

「人の屋敷を破壊しやがって!

 おいビクトール! そのガキの剣!

 俺に渡せ! 約束通りな!」

「ふん、貴様の騎士に預けてやる。後で受け取れ」

「貴様! 貴様貴様! ふざけるな! ふざけるな!

 私から母と父!

 そしてリンフィアを奪っておきながら!

 また、私から大事な妹を奪うつもりかぁ!」

「リンフィアって、リンちゃんの名前だよ!?

 リンちゃん、まだ誰にも教えてないのに!」

「な! り、リンフィアは私の妹の名前だぞ!?」

「いや、リンちゃんの本当の名前はリンフィアなの!

 私達は皆、リンちゃんって呼んでたけど

 本当の名前はリンフィア!

 でも、大事な名前だからって

 まだ、バナージの誰にも伝えてないの!

 今日朝礼で皆に教える予定だったけど

 朝礼が無くなったから

 まだ誰にも教えてないのに!」

「ほぅ、それは良いことを聞いた。

 つまり、この娘は貴様の妹だと」


リンフィア……そ、それが、ソールティアスさんの

妹さんの名前……わ、私の名前と同じだし

今の状況は、あ、あの時の記憶と似てる。

お母さんが私の為に心臓を刺そうとしたとき……


「ッ!? ビクトール! 私の、私の妹を返せ!」

「それは貴様次第だ、オルフィア。

 黒夢の洞窟へ来い、そこで話をしよう」


駄目だ、い、意識が……逃げられない、わ、私……

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