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襲撃者

何で立て続けにこんな事が起こるの?

今まで平和だったのに、

いや、連鎖したって言うのが正しいんだ。


あの襲撃で、ナナちゃんとエルフが出会い

エルフがナナちゃんの扱いを知って怒り

エルフ達がギフティーを襲撃した。


ナナちゃんを姫として慕ってった様子から

エルフ達に取っても、リンリース家は

本当に大事な主だったのは間違いない。


そのリンリース家の血を引くナナちゃんが

不当な扱いを受けたと聞けば動くのはそうだ。

これは、バナージの騎士で例えても分かるだろう。


もしソールティアスさんの妹さんが

何処かで奴隷扱いを受けてたと聞けば

きっとバナージの騎士達だって怒りのあまり

その都市をを襲撃してもおかしくは無い。


慕われてる人の家族を痛めつけられた。

そんな話を聞けば、誰だって怒る。

でも、バナージの騎士達であれば

奴隷扱いしてた家を滅ぼすだけだろう。

でも、エルフの場合は違う。


エルフ達は既に、人々に裏切られた記憶がある。

当然、その怒りも上乗せされるのは明確だ。

そうなれば、ギフティーに住んでるだけの

何の罪のない人達まで巻き込まれるかも知れない!


「エルフ達の差別意識もあり、この襲撃は非常に不味い。

 民衆達にまで影響がある可能性が大いに高い。

 クソ、レングラースが滅ぶだけなら放置も出来るが」


あくまでソールティアスさんが怨んでるのは

レングラース家だけなんだ。

だから、ギフティーの人達が辛い思いをするのを

見過ごすことが出来ない。


それは、バナージの騎士達だってそうだろう。

レングラース家に怨みはあるし

滅ぼしたいと、そう思ってるかも知れない。

でも、それはレングラース家のみへの敵意であり

ギフティーの住民への敵意では無いんだ。


「前回の教訓もある、休まず進むぞ!」

「はい!」


当然、今回私達は休む事無く馬を走らせた。

それは、少し前にあったシャリーズの襲撃。

あと少し速ければ救えたかも知れない多くの命。


休む事も無く、ひたすらに走り続けていれば

もしかしたら、救えたかも知れない命は多い。

そう思ったから、誰も休むことを選ばなかった。


「ソールティアス様、それはあまりにも。

 無理に走らせれば馬が疲弊し、動けなくなる」

「だが、もうあんな思いはごめんだ!」


ソールティアスさんの焦りが後ろからでもよく分かる。

ランバースさんの忠告を聞かずに進むことを選んだ。


「落ち着いてください! 今回のエルフの襲撃は

 前回とは違い、急ぐ必要は無いはずです!

 推定でも1ヶ月は戦ってるのですよ?

 それに、相手はエルフであり、魔物では無い。

 シャリーズの様に悲惨な事態にはならない筈です」

「いや、そう楽観的には考えられない!」


余裕が無いのが遠目でも分かった。

ソールティアスさんは今、全く余裕を持ててない。

追い込まれてるのがよく分かる。

きっと冷静な判断が出来ないんだ。


「ソールティアス様!」

「黙ってろ!」

「……」


明らかな焦り、色々な感情に追い込まれてるのが分かる。

ランバースさんもそんなソールティアスさんを見て

諦めて進言を止めた。


「ランバースさん、その、今は」

「あぁ、分かってる。ソールティアス様は

 全く余裕がない。

 無理も無い、あの悲惨な襲撃から僅か数ヶ月。

 更には妹君を諦めると決めたのに

 まだ、完全には未練を捨てきれても無い。

 そこに追撃として、味方だと思ってたエルフが

 ギフティーを襲撃。焦るのは仕方ないだろう」


ランバースさんも少しだけ焦りの表情を見せてる。

そう、今のソールティアスさんは明らかに冷静では無い。

きっと、長い間仕えていたから分かるんだろう。


「だが、対策は……よし、こっちに」


ランバースさんが1人の騎士に近付き耳打ちをする。

蹄の音で何を言ってるかは聞えない。


「はい、最後尾だけですか?」

「あぁ、最悪に対処する為だ」

「了解です。しかし、勝手に行動しても

 よろしいのですか?」

「もしもの場合は俺が全て責任を取る。

 何かあった後では遅いからな。

 ソールティアス様の為だ、俺の指示に従ってくれ」

「……了解です、ランバースさん」


どんな命令をしたのか分からない。

流石に耳が良いソールティアスさんにバレないように

耳打ちをしてるから、指示は聞えなかった。


ソールティアスさんは焦ってるからなのか

ランバースさんの行動には気付いて無かった。

そのまま、私達はギフティーに到着する。


「よし、着いたぞ!」


到着と同時に、私達は馬から下りた。

馬は疲労してるからなのか、これ以上は進まない。

周囲は暗くなってる。

戦闘音も聞えてるけど、門は壊れては無かった。


ギフティー、私達が奴隷として過ごしてた場所。

私達からしてみれば最悪の場所だったけど

流石に都市に対しての恨みは無い。

恨みがあるのは、あのクソ貴族だけだ。


「これは……」


ギフティーは酷い有様だ。

壁の外に沢山のテントみたいなのがあった。

そこには兵士も居ないし、小さい子達や

ボロボロの衣服を着てる人達が

必死に身を寄り添い、恐怖してる。


「騎士……な、何故都市の外から…」

「君達はギフティーの住民では無いのか?」

「は、はい、私達はギフティーの……」

「な、何故外に」

「都市の中……住めないのです。

 一部の裕福な人間しか過ごすことが出来ず」

「なんだと……」


都市からでて、黒夢の洞窟へ連れて行かれたとき。

私達は一応、この光景を見ていた。

でも、ここまで大規模だったなんて知らなかった。

一部だと思ってた、一部だけが外にあるって。

でも、そんな事は無い……凄い数だ。


「馬鹿な、ギフティーからこんな情報は聞いてない」

「隠してたのでしょうか」

「確かに……ギフティーに干渉は殆どしてこなかった」


でも、大きな戦闘音も聞えてる。


「動揺はあるが、今は急ごう。

 まだ戦闘してるらしいからな。

 一部の騎士はこの民衆の保護をしてくれ」

「はい!」


私達は急いでギフティーに近付く。

見張りの兵士が私達に気付いた。


「なん! その鎧、バナージの連中か!」

「なんだ!? 我々が来たら困るのか!?

 救援要請をしたのはお前達の方だろう!」


あきらかに不機嫌なソールティアスさんが

ギフティーの騎士を大声で怒鳴る。


「い、いえ、なんでも」


その圧に押されて、

ギフティーの騎士の態度が変わった。


「その、まさか来るとは思わなかっただけです

 その、レングラース様と仲が悪いんで」

「ふん、確かに仲が悪いのはそうだ。

 だが、民衆を見捨てることはしない」

「はぁ」


軽く貶すような表情を見せる。

その表情にソールティアスさんはムッとするが

その表情に気付いたギフティーの騎士達は黙る。


「てか、なんでこんな所にいるんだよお前ら。

 さっさと応援に行けよ!」

「はん! 俺達は俺達の仕事してるんだよ!」

「……じゃあ、仕事してよ。

 ほら、僕らを入れなって。

 応援に来たんだからさ」

「そうだな、ほら、楽させてくれよ」

「ふん」


少し不機嫌そうなやり取りの後、門が開く。

どうやら、都市の中に甚大な被害などは無いみたいだ。

狙いはレングラース家だけであって

別に都市に興味があるわけでは無い。


ただ侵入を防ごうとしたであろう騎士は倒れてる。

だが、全員息はある、死んでるわけじゃ無い。


「門を突破されたというのに被害は無し。

 どうやら、狙いはレングラース家だけらしい」


倒れてる騎士達の中に鎧が違う騎士も居る。

これがビレッジの鎧なのかも知れない。


「ビレッジの騎士か、結構な数がいるな。

 流石に仲が良い、結構な数を応援によこしたのか」


倒れてる騎士の半数はビレッジの騎士だった。

相当な数の騎士が来てるのが容易に分かる。


「まぁ、問題はレングラース家よりも

 城壁外の民衆達だな、急ごう」

「うん」


私達が最初に優先したのはレングラース家では無く

外で過ごしてた住民達だった。


「ん!?」


反対側に急ごうとしたとき、沢山の市民達が

雪崩のようにこじ開けられた門を通り都市内へ。


「き、騎士! た、助けて!」

「どうした? 何があったんだ?」

「殺さないで! お、お願いします!

 許してください! ま、魔物が、魔物が来てて!」

「殺す? 何を馬鹿な、いや、それよりも魔物!?」

「は、はい! 大きな魔物の群れが!」

「ギフティーは安全なはずなのに! とにかく急ごう!」

「はい!」


住民達の声を聞き、急いで私達は魔物を探しに進んだ。

そう、一目で分かる巨体がこっちに来てる。

人型では無い、どちらかといえばドラゴンみたいな魔物。

翼は無いけど、2足歩行で歩いてきてる!


「オールドドラゴン!」

「オールドドラゴン? 危険なの?」

「あぁ、ドラゴンの原種とされる地上を走るドラゴン。

 翼は無いが、鱗はドラゴンよりも硬い危険な魔物!

 物理攻撃はほぼ通らず、魔法に弱いらしい」

「魔法!?」

「正確な情報は分からないけどね、私も初めて見た」


かなりの大群だ、1体や2体じゃ無い!

数百、数千は確実に居る!

それに、一緒に小さい人型も居るし!


「あの小さいのはアンデッドじゃ?」

「あぁ、ゾンビだな、単体であれば弱いが

 都市内に侵入され、民衆を襲われたら不味い!

 全軍! ゾンビの迎撃を!

 オールドドラゴンは私達が対処する!

 ナナ、リン、お願い出来るか?」

「うん! 魔法なら任せて!」

「私も出来る!」

「よし、オールドドラゴンは魔法に弱い!

 物理攻撃はほぼ通さないから魔法が生命線だ!

 ゾンビも個体としては弱く、広範囲攻撃である

 魔法とも相性が良い!

 攻撃を喰らわないように立ち回れ!

 君達がやられたら、この戦いは負ける!」

「うん!」


この戦いの肝は私達だ、私達が重要な立ち位置。

オールドドラゴンを倒せるのは私達魔法使いだけ。

ソールティアスさん1人だと、あの数は魔力が足りない。

だから、私達も居ないと押し込まれる可能性が高い。

数が数だし、油断しないように立ち回らないと!

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