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魔法の鍛錬

復興作業の合間にエルフの人に

魔法の使い方を教えて貰った。

ナナちゃんはハーフエルフという特徴からか

本当に短い間で才能が開花していく。


「これが、風属性魔法!」

「はい! 流石です!」


だけど、私が扱えるのは炎と氷だけだった。

特殊属性魔法は専門外らしいし

そこを鍛える事は出来ない。


「……」


その光景を見ているエディー達が

私の姿を見て、考え込んでるのが分かる。


「ねぇ、これ……」

「あぁ……可能性は」


このままだと駄目だ、頑張らないと!

ナナちゃんを守る為に頑張ってきたんだから!


「はぁ、はぁ、はぁ」

「リンちゃん……」


魔法を教えて貰って、1ヶ月。

私は火属性魔法と氷属性魔法の

2属性の魔法しか扱う事が出来なかった。

でも、掴めそうなんだ、何かをあと少しで!


「氷属性魔法と火属性魔法の扱いは完璧です。

 その高い魔力量で何故この2属性しか扱えないのか。

 ……いや、もしかして」


あと少し、あと少し……そう、感覚があと少しで掴める!

諦めない、諦めてたまるか! 今度こそ!


「風属性魔法はこう」

「うん、うん、こう……」

「そう、イメージして、魔力の変化を」

「魔力の変化……」


ナナちゃんとピンカーのアドバイスを聞く。

2人が感じてる、魔力の感覚。

それを私が掴むのは難しかったけど

1ヶ月も色々と教えて貰って、分かってきた。

その間にギフティーの騎士は帰ったから

今は堂々と魔法の訓練が出来る。

そのお陰か、ある事に気付いた。

それは魔力の匂いだった。

そう、魔力を変質させると

少しだけ、匂いを感じるのが分かった。


それぞれの匂い、草は木の匂い。

水は川の匂いに近くて

光りは甘い匂い。

闇は腐ったような臭い。

風はすり抜けるような、爽やかな匂い。

地はそのまま、土の匂い。


普通に扱えてる氷と火の魔法は

それをイメージするだけで放てた。

匂いなんて関係無く、出来ると思えば出来た。

だから、匂いを考える必要は無い。


今は使えない魔法の匂いを感じて分布させる。

そして、その匂いが私の手を洞窟の様に通り、

掌という出口から放出される様にイメージした。


「リ、リン」

「これ!」


不意に小さな声が聞えたような気がしたけど

私は最初に、私が出来ることをしてみた。

爽やかな匂いを掌に移動させて、放出する。


「キャー!」

「あ、だ、大丈夫!?」


私が魔法を出そうと掌を掲げた瞬間に

私の周囲に強風が吹き荒れ

足下から風が出て来たことで

ナナちゃんがちょっとだけ驚いたようだ。


「だ、大丈夫。でも、出来たね! 魔法!」

「う、うん!」


魔法が使えたと、私が喜んだ時だった。

何かが落ちるような、小さな音が背後から響く。


「え?」


後ろを振り向くと、そこにはソールティアスさんが居た。

ソールティアスさんは私を見て

諦めたような笑みを浮かべる。


「……よく、頑張ったね」

「あ、え、えっと……」


褒められたはずなのに、何故か嬉しくなかった。

普段ならとても喜べたはずなのに

何故か、今のソールティアスさんの言葉からは

覇気のような物も無く、小さく震えてるようにも見えた。


その光景を見たエディー達がソールティアスさんに駆け寄る。


「す、すみません、ソールティアス様……

 私達の……は、早とちりだったみたいで」

「……いや、良いんだ。はは、私は本当に」

「ど、どうしたの?」

「いや、私が勝手に期待しただけだ。

 本当に当主となったくせに、私はこんな……」


私達の方を向いてたソールティアスさんが

私達から目を背け、後ろを向いてしまう。


「……作業に戻るよ、リンちゃん、ナナちゃん。

 これからも君達は魔法を極めてくれ。

 それは、君達にしか出来ない事だから」

「……う、うん」

「ピンカーさん、2人をお願いします」

「えぇ、魔法に関してはお任せください」


その一言の後、ソールティアスさんは

シャリーズに向けて歩き出した。

普段、ソールティアスさんが纏ってる覇気は

今のソールティアスさんの後ろ姿には無かった。


私が風属性の魔法を使ったことがショックだったの?

それは、どうして……あ、いや。


「……もしかして、ソールティアスさん」


私がもしかしたら、

ヒューマンビーストなんじゃ無いかって。

そう、思ったのかも知れない。


私がさっきまで使えてた魔法は……炎と氷。

そして、各特殊属性魔法だけだった。

ヒューマンビーストはその5つの魔法しか扱えない。


ピンキーの評価だと、私の魔法の才能は凄いのに

扱える魔法は氷属性が増えただけだった。

それからは、1ヶ月努力しても成果は出なくて。


「私、今……ソールティアスさんの希望を……

 きっと、壊しちゃったんだ」


私がもしかしたら、失った妹だったかも知れない。

そんな淡い希望を抱いて、やって来たのに。

私が目の前で風属性魔法を使ってしまった。


それは、私がヒューマンビーストでは無い言う

証拠になったのかも知れない。

ヒューマンビーストは風属性の魔法を使えない。

使えるのは氷と炎、そして特殊属性魔法。

なのに私は今、風属性魔法を使った。


「ど、どう言う事?」

「……リンちゃんが自分を責めることは無い。

 悪いのは僕達だ……ソールティアス様に

 もしかしたらリンちゃんが

 ヒューマンビーストかも知れないと、言ってしまった。

 長い時間を掛けても、氷と炎しか扱えなかったから

 もしかしたら……って、あぁ、僕が愚かだった。

 もう少し様子を見てたら、こんな事には」

「いや、俺が悪いんだ、俺が早合点してしまった。

 少しでも速く、ソールティアス様の悲願を達成したいと。

 そんな独りよがりな思いのせいで……すまない」

「もしや、ソールティアス様は……」

「うん、攫われた妹様を、今でも探してるんだ」


ソールティアスさんは私に妹さんを重ねてた。

私が失った妹だったらと、きっとそう思ってたのに

私は目の前で、その希望を容赦なく砕いてしまった。

……ごめんなさい、ソールティアスさん。

だけど、許して欲しい。

私はもっと強くなりたいから、大事な人達を守るために。

救われたこの命で、1人でも多くの命を救う為に。


「……ピンカー、もっと教えて欲しい。

 少しでも強くなるんだ……私が強くなって

 1人でも多くの命を救うために」

「……はい、お任せください」


私も魔法を極める。それが、多くの命を救う事だと信じて。

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