親友の秘密
唐突に出会って、唐突に告げられた言葉。
私とずっと一緒に居たナナちゃんを
姫と言う謎の人物。
その人物は耳も長く、人とは違う気がした。
あまりにも白い肌と美しい金色の髪の毛。
特徴的な長い耳、今まで見たことが無い種族。
もしかして、もしかしてこれが。
「ま、待って! 姫って何!? 何の事!?」
「あなたは我々エルフの姫ですよ!」
「エルフ!? な、何を馬鹿な! エルフは滅んで!」
「えぇ、エルフの国は確かに
10年前に滅んでしまいました。
ユーランス王国を除く、二ヶ国に襲われて」
「な! どう言う事だよそれ! そんな話は聞いてない!
僕達が聞いた話は、魔物の襲撃で滅ぼされたと!
そう、ギフティーから聞いたんだぞ!?」
「いえ、事実です! 我々エルフは
我々を忌み嫌い、滅ぼそうとした人間達に襲われ
国を滅ぼされてしまいました。
我々の王家である、リンリース家も姫君を除いて全滅。
生き残った一部のエルフは唯一侵攻が無かった
ユーランス王国へ退避し、身を隠してたのです!」
エルフ、ほ、滅んだと聞いてたエルフが目の前にいる。
それに、エルフは自分達の国は周辺国によって
滅ぼされてしまったと、そう言ってた。
でも、ソールティアスさんから聞かされた話では
魔物によって滅ぼされたと、そう聞いた筈だ!
「どう言う事だよ、そ、そんな話は知らない!
そ、そもそも! ナナちゃんがエルフの姫だって!?
そんな証拠が、一体何処にあるって言うんだ!」
「魔力です」
「魔力!?」
「はい、我々エルフは魔力を見て
その血筋が誰の物か、理解する事が出来ます。
我々は魔法に長けた種族。
エルフは高い魔力量を持ち、我々の目であれば
その魔力の色というのを見分ける事が出来ます」
「そ、そんなの信じられるか! 証拠とかあるの!?」
「証拠ですか……うーむ、ではこれはどうですか?
姫は魔法を使えて、そちらの幼子も魔法を使えますね」
「な……い、いやいや、それが証拠にはならない。
シャリーズの住民は2人が魔法を使えるのを知ってる。
そりゃ、2人とも体特殊属性魔法で治してたし」
「体特殊属性魔法!? ま、まさか、姫が?」
「え? あ、う、うん……え? いや、お姫様じゃ」
「流石はリージェル様の血を引くだけはありますね!」
「え、あの……」
「して、リージェル様は!」
「し、知らない、私は何も知らないの!
わ、私は奴隷で、お、お母さんの顔も
お父さんの顔も、何も知らなくて」
「な! 奴隷!?」
その言葉を聞いて、エルフと思われる人は
即座にエディー達の姿を見る。
「いや、違う違う! 僕達じゃ無い!」
「しかし、今奴隷と! 一緒にいると言う事はあなた達が!
我々の姫を奴隷として扱うなど!」
「違うって! 僕達じゃ無いんだ!」
「うん、私達は元奴隷だけど、今は違うの! 今は騎士で
この人達は私達を助けてくれた人達で!」
「なる程……あなた達が奴隷にしたわけでは無いと」
「そ、そうだよ」
「では、誰が姫様を奴隷に!」
「いや、それは……」
「教えてください!」
かなりの怒りを見せてる彼女の瞳。
出来れば伝えない方が良いかもと言う表情を見せてる
エディー達だったけど、彼女の圧に負けたみたいだ。
「ぎ、ギフティーの主、レングラース家だよ」
「ギフティー!?」
その言葉を聞いて、エルフは大きく反応した。
どうやら、場所を知ってるようだ。
「あの場所か……もしや、リージェル様はそこに」
「さぁね、僕達はそこまで知らない」
「で、でも……私はお母さんを知らないの。
私は気が付いたら奴隷だったんだ。
お母さんが誰で、何処に居るかは知らない。
も、もしかしたら、
お母さんはもう死んでるかも知れない」
「……そうですね、半不死であるエルフであれど
死んでしまう傷を放置では命を落とす」
「え? ど、どう言う事? 半不死って?」
「エルフは半分以上は不死なのです。
例え即死級の傷を負っても
回復の魔法で治療してもらえば完治する。
しかしながら、エルフは特殊属性魔法を扱えず
他種族の助けが無ければ何も出来ません」
逆を言えば回復の魔法を使える誰かが居れば
ほぼ不死身って言う事なの? え、エルフって。
「はぁ……不死って、てか何で知ってるのさ」
「英雄の話は知ってるでしょう?
3人の英雄が協力して魔王を封じた」
「あぁ、そりゃ有名な話だからな。
他の国は3人とも人間だけど」
これはエディーにお金の使い方を教わった時
紙幣の由来を話してたから私達も覚えてる。
3人の英雄、人間、エルフ、ヒューマンビースト。
ユーランス王国はその話をしっかりと繋いでいき
ヒューマンビーストもエルフも差別などはしてない。
確かユーランス王国の英雄はバラドーザだったはず。
「我々エルフは長寿であるため
歴史をより正確に紡ぐことが出来ます。
その為、代々その伝承を紡いできました。
その際に語られてるのがエルフの不死性。
例え即死級の傷を受けても
回復の魔法を受ければ即座に治癒が出来る。
例え心臓が止まっていようとも
例え全身の骨が折れていたとしても
回復の魔法さえ受ければ、一瞬でね。
それは、ハーフエルフも同じです」
「……」
その事を聞いて、不意にあの時の事を思い出す。
骨折してて、ボロボロだったはずのナナちゃんが
私が回復の魔法を使って一瞬で回復したのを。
そうだ、気付かなかった。
そうだよ、子供は骨折を治せなかった。
でも、ナナちゃんの骨折は治せた。
私の魔法で子供を回復しても骨は治せなかったのに
ナナちゃんの骨折は……治せてた!
「……だから、あの時。
私はナナちゃんを治せたんだ」
「え?」
「崖の下に落とされたとき、ナナちゃんは骨折してた。
体中から血も出てて、とても治せる怪我じゃ無い。
何でか治せてた、子供だったからって思ったけど
子供の骨折は治せなかったのに
ナナちゃんの怪我は治せてたんだ」
「そ、そうなの? 私、目が覚めたときには
全く痛くなかったから、リンちゃんを
下敷きにしたんだって思ったんだけど」
「いや、私が回復したからだと思う
きっと、本当は私が下敷きにしたんだ……」
「そうなんだ、なら良かった!
私、ちゃんとリンちゃんを守れたんだ!」
私がナナちゃんを下敷きにしたかもと感じて
申し訳ない気持ちになったけど
ナナちゃん笑顔で私の手を握ってくれた。
やっぱりナナちゃん優しい。
「一体何があったのですか?」
「崖から突き落とされた時に
ナナちゃんが助けてくれたの
その時にナナちゃん、酷い怪我をして
私が回復の魔法を使ったら
一瞬で治ったんだ」
「なる程、それは間違いなくエルフの特徴です」
あれがエルフの特徴だったんだ。
本来は治せなかったはずの怪我が治せたのは
ナナちゃんがエルフだったから。
「あっと、つまり……
ナナちゃんは間違いなく
その、エルフだって事かい?」
「うん……そうじゃ無いと、あの怪我は治せなかった」
沢山の人を回復したことで分かった異常性。
急いでたり、焦ってたから気付かなかったけど
改めて言われて、そう言う事かと分かった。
「え? わ、私……え、エルフなの?」
「はい、あなたは間違いなくエルフ。
ですが、身体的特徴的にはハーフエルフです」
「ハーフエルフ……」
魔法の話を聞いたときにソールティアスさんから聞いた。
ハーフエルフ。
そのハーフエルフが、まさかナナちゃんだったなんて。
「はい、ハーフエルフは人とエルフの間に生まれる。
そして、あなたの魔力は間違いなく
リンリース家の魔力です」
「で、でも、私は特殊属性魔法を使えて。
た、確かエルフは使えないって、そう聞いて!」
「ハーフエルフは全属性を扱う事が出来ます。
特殊属性魔法も全属性魔法も。
純血エルフよりも適性レベルは本来は下がります。
ですが、あなた様はリージェル様が身ごもった娘様。
エルフの女性が他種族の男性と交わり、
身ごもったる事は奇跡の様な確率ですが
その奇跡の様な確率を引寄せた場合
魔法の才知は親の才能を遙かに凌いで生まれます。
これも、長い歴史の中で見付かった事実です」
「つ、つまり私は」
「はい、全属性をレベル10以上で扱える可能性がある
全属性をレベル10で扱えた前例は
ヒューマンビーストにもおりますが
レベル10以上は恐らく、あなた様が初となるでしょう」
全属性レベルを10以上!? そ、そんな話は知らない。
だって、適性レベルの上限は10って、そう聞いた!
「え? レベルは10が最高なんじゃ」
「はい、正常であれば。しかし、リージェル様の適性は
特殊属性を除く属性魔法全てがレベル10です。
そんなリージェル様が身ごもり、生まれたのがあなた。
その魔力量は間違いなく、お母様を越えています。
なので、適性のレベルも限界を越える可能性がある。
しかし、まだ先の話でしょう」
あくまでその領域に居たる可能性があるというだけで
そう簡単には辿り着けない境地なのだろう。
でも、ナナちゃんの将来性が凄い事になる可能性は高い。
「ナナちゃんの将来性が凄いってのも分かった。
そして、ナナちゃんがハーフエルフだってのも
まぁ、リンちゃんの話を考えても確定だろう。
でも、今はその話は良くてだね、君は何が狙い?」
「ナナ様に我々の新たな国の女王として
君臨して貰いたいのです」
「え!?」
「何を言ってるんだ!?」
「ナナ様は我々の王家、リンリース家の血筋。
もはや、その血を引いてるのはリージェル様とナナ様だけ。
我々エルフを新たな国家として確立させ
決して武力で負けぬ強い国家として蘇らせたい。
その為には、リンリース家の力が必要なのです!」
「我々って言うけどさ、君は1人しか」
「いえ、エルフはまだ100名程存命。
テレパシーにより意思疎通は出来てます」
「え? テレパシーって……はぁ?
何だよそれ、ま、魔法なの? 何それ。
特殊属性魔法? でも、君達は使えないって」
「テレパシーは種族特性です」
「はぁ、エルフってのは便利ね……」
テレパシーって、魔法じゃ無くて種族特性なんだ。
と言うか、種族特性って何だろう。
あ、ソールティアスさんが夜目が聞くらしいけど
そう言う感じ? でも、あれは多分体特殊属性魔法だ。
なら、耳と尻尾が生えるとかのかな?
「なので、ナナ様、我々と共に」
「……いや、行きたくない」
「え? ナナ様……」
だけど、ナナちゃんは行きたいとは言わない。
「私はリンちゃん達と一緒に居たい」
「であれば、彼女達も連れて行きましょう。
新たなエルフの国へ。
ナナ様のご友人であれば、喜んで受入れます」
「うん、リンちゃん達と一緒に居たい。
でも、お姫様になるのも……違うの」
「と言うと?」
「私は1人でも多くの人を救いたいの、騎士として。
辛い思いをしてる人達を、1人でも多く。
その為に、私は頑張ってきたんだ、努力したんだ。
だから、私は……バナージで頑張りたいの」
「……」
エルフの人はナナちゃんの手に触れた。
そして、意識を集中して小さく頷く。
「……心の底から、そう思ってるのですね」
「え?」
「分かりました、ナナ様の意思を尊重します。
ですが、その夢が叶った後、我々を導いて欲しい。
それともうひとつ、よろしいでしょうか」
「何?」
「魔法をお教えしましょう」
「本当!?」
「はい、強くなる為には必要でしょう?」
「う、うん! 教えて欲しいの!」
「お任せください、魔法は我々の得意分野ですので」
「……じゃ、じゃあ、わ、私も教えて欲しくて」
「あなたもですか? 確かに魔法の才能は相当ですね。
ナナ様程では無くとも、かなり圧倒的な才能です。
あなたの努力次第であれば、
全属性魔法を完璧に扱えるでしょう」
「本当!? お願い、私も強くなりたいの!
ナナちゃんを守れるくらいに強く!」
「えぇ、分かりました。お教えします」
唐突に判明した事実は驚きだった。
ナナちゃんがハーフエルフだってのはあまりにも驚きだ。
でも、それを知って色々と納得も出来た。
同時に努力をすることも出来るようになる。
魔法の達人が魔法を教えてくれるんだから
私達は大きく成長出来る。私は目指す、先を。
私は諦めない、私も強くなる、少しでも強く!




