武器の疑問
騎士見習いとしての訓練。
必死に戦えば戦うほどに
私は成長を実感していく。
訓練をすればするほどに
不定期に剣が光って、強くなれた。
今、私の持つ剣はカラフルになってる。
1つの色では無く、色々な色が混ざり
それが奇跡的に調和した美しい宝石になる。
ただ、1番先端にある女の人が抱きかかえてる宝石は
未だに光ることは無かった。
この部分だけは完全な飾りなのかも知れない。
「リンちゃんの剣、かなりカラフルだね」
「うん、色々と光ってる」
「凄い綺麗だよね……」
「ん、綺麗」
自分でも見てて、とても綺麗に感じた。
剣も私が持ちやすいサイズで使いやすい剣。
宝石が綺麗になればなるほどに強くなる気がする。
きっと、この剣の宝石が綺麗になれば強くなれる。
「そうだ、手入れとかはしてる?」
「いや、やり方が分からないの」
「じゃ、手入れの練習だね。
刀身は綺麗なままだから気付かなかったけど
手入れをしてないと、あまり良くないしね」
「うん。何処でするの?」
「こっちこっち、手入れの道具があるから」
エディーに案内されて
ソールティアスさんの屋敷にある
武器庫の場所までやってきた。
そこでは、何人かの騎士達が武器を手入れしてる。
「っと、エディーも来たか」
「やっほー、ジャッキーもお手入れ?」
「あぁ、依頼があったからな」
「ふーん」
「でも、お前は最近依頼にでてないだろ?」
「まぁね、今の仕事は2人を育てることだしね。
まだ外に出る依頼は危ないって判断だろうし。
ま、僕としてはリンちゃんは十分強いし
依頼も可能だとは思うんだけどね」
「うぅ、わ、私は弱いから……」
「いやいや、ナナちゃんも筋が良いよ。
リンちゃんが凄すぎるってだけだよ」
「私の場合は祈りの剣があるからだよ。
だから、ナナちゃんは悪くない」
「うぅ……私もまだまだ頑張る!」
「うん、それで良いって」
ナナちゃんはやっぱり私よりもまだ強くなれないのが
かなり悔しいと感じてるみたいだった。
でも、ナナちゃんは私を妬んだりはしなかった。
ずっと私みたいになるって、ずっと頑張ってる。
「やっぱりリンちゃんの成長性は凄いんだな。
だが、ナナちゃんの成長性も凄そうだ。
俺だったら、絶対に折れてるだろうが
ナナちゃんは折れる事無く頑張ってるんだもんな。
はは、君は諦めなければ
きっと凄く強くなれるさ。
だから、結果を急ぐ必要は無い。
ゆっくりと確実に成長していくんだよ、
ナナちゃん」
「うん!」
ジャッキーに諭されて、
ナナちゃんも再び前を向いた。
逆に私の方は少しだけ申し訳無い気持ちになる。
私がナナちゃんと同じ様に
祈りの剣を持ってなかったら
きっと一緒に成長する事が出来るのに。
でも、私はこの剣を捨てる事は出来なかった。
私達を助けてくれた大事な剣。
それに、私は少しでも強くなって
絶対にナナちゃんを守りたいから。
デミ・ビーストに襲われたとき、
私は追い込まれるばかり。
もし、ソールティアスさんが来てくれなかったら
私は絶対に死んでた……
いや、それは良いんだ、それは。
私が死ぬだけなら、大した事じゃ無い。
でも、もしあいつが私じゃ無くて
ナナちゃんを狙ったら
私はナナちゃんを守れなかった……それは、いやだ。
絶対に守りたい。
だから、私は少しでも速く強くなりたい。
「ふふ、良い表情だね。君なら出来るさ。
さ、それじゃ本題に戻るが、
今日はどうしたんだ?」
「リンちゃんが持ってる祈りの剣の手入れだよ」
「手入れ? 今までしなかったのか?」
「うん、リンちゃん見せてあげて」
「分かった」
エディーに言われて剣を抜いた。
当然、私の剣は新品同然で刃こぼれすらしてない。
錆びてる様子もなく、輝きは一切曇っては無い。
「鏡の様だな、本当に手入れしてないのか?」
「あぁ、1度だって手入れはしてないよ」
「はぁ、それは凄いな、まさに宝剣って感じだ」
「祭壇っぽいところにあったわけだしね。
そりゃ、宝剣とかそう言う凄い部類なんだろう。
この持ち手の部分も滅茶苦茶綺麗だしね」
「あぁ……色が変わってるようにしか見えないが?」
「ん、色は変わるの」
「たまーにリンちゃんの宝石がピカピカ光ってね。
そして、剣を振ってると点滅が止まって
宝石に色が増えていって
ドンドン綺麗になっていくんだ」
「ど、どうなってんだよ、それ」
「分からない、
宝石の色が増えると強くなる気がするし」
「そんな事が……でも、リンちゃん以外が持つと」
「うん」
当然、ジャッキーが持っても宝石は消えるし
エディーが持っても宝石の輝きは消える。
ナナちゃんが持っても同じで宝石から色が消え
私が持つと、宝石が再びカラフルな色になる。
「やっぱり、リンちゃん以外は色が消えるな」
「うん、理由は分からないけど」
「ふむ、色が消える? どう言う事だい?」
私達が話をしてると、
後ろからソールティアスさんがやって来た。
「ソールティアス様!」
騎士達は全員、一斉に一歩下がり敬礼をする。
私達も皆の真似をして、敬礼をして見る。
「そう畏まらないでも良い、今日はオフだしね」
「いえ、仕えてる主に対して無礼な態度などは」
「はは、君達らしいね。さて、本題に戻ろう。
君達は先ほど、リンの剣を見ていたが」
「はい、実は」
私達はソールティアスさんに剣のことを話す。
そして、ソールティアスさんも剣に興味を持った。
「黒夢の洞窟に眠っていた剣。
そして、リンが持てば宝石が光るが
リン以外が持っても宝石は光らないと」
「はい……」
「いや、それはおかしいと思うが」
「え? どう言う……」
不意に言われた言葉、私も驚いた。
だけど、ソールティアスさんの方も驚いてる。
「いやね、私はリンの剣を握った事はあるんだ。
あぁ、デミ・ビーストの時にね」
「う、うん、助けて貰ったときに……」
「その時、剣は光ってたからね。
だから、それが普通なのだと思ったんだが」
「え?」
あ、そう言えば……確かにあの時
ソールティアスさんは剣が光るんだねって。
そう、私が持ったら剣が光るとは言って無くて
剣が光るんだねとしか言われてない気がする。
「気付かなかったのかい? いや、あんな状況だ
気付かないのも無理は無いか。
なら試してみよう、ナナ、良いかい?」
「うん」
少し疑問に思いながら、私はソールティアスさんに
祈りの剣を手渡してみた。
するとだ、私が持った場合以外で初めて剣が光る。
「ひ、光った! 真ん中の宝石だけ!」
私が持った場合と違うのは、
真ん中の宝石だけが光ったことだ。
私が持った場合は3つの宝石が光るのに対し
ソールティアスさんが持った場合は1つだけ。
「ふむ、リンが持ってる場合は
3つとも光るんだよね?」
「うん」
ソールティアスさんに返して貰った剣を受け取ると
私の場合はやはり宝石が3つとも光る。
「そして、真ん中の宝石の色……違うね」
「う、うん」
私が持ってる場合の真ん中の宝石は
青色が更に透明になってる色。
そう、1番分かりやすいのは空の色だ。
空の綺麗な青色が今の私が持ってる場合に光る
真ん中の色。青色に白色が色々と増えて行って
今は空色って感じの色になった。
だけど、ソールティアスさんが持った場合は白だ
最初、私が剣を見つけたときの色に似てる気がする。
無色、白だけどどっちかというと無色が近い。
「持ち主によって光り方が変わる宝石か。
ふむ、中々興味深いが……
いや、君達の話が本当なら、宝石が光るのは」
「はい、今の所はソールティアス様と
リンちゃんだけです。
我々は握らせて貰っても宝石は光りません」
「……ふむ、私とリンの共通点……
いや、宝石が光る数が違う訳だから
共通点などは関係無いのかも知れないが。
種族によって光るか光らないが決るとか」
「種族……」
「いや、私の場合は1つだからもしかすると
エルフかハーフエルフの場合は
3つとも光るのか?」
「え?」
「いや、もしかしたら純血統のヒューマンビースト
……いや、それもないか、
純血統のヒューマンビーストは
生まれたときから獣の耳が生えると聞くし。
なら、混血……
いや、その場合は私が1つしか光らない理由が。
やはりハーフエルフかエルフなら光る可能性が……」
ソールティアスさんがかなり悩んでる様子だった。
私達の事をかなり気にしてくれてるからなのかな。
「はぁ、分からないな。興味はあるが……
とにかく情報を集めてみるのも良いかも知れない。
種族的な特徴で変わるのであれば
鍛え方も大いに変わるはずだからね」
「うん、分かった」
「……うん、探そう」
その一言を呟いた後、ソールティアスさんは
考え事をしながら、武器庫からでていった。
「うーん、そ、ソールティアス様かなり悩んでるね。
武器の手入れに来たんじゃ無いのかなぁ…」
「ここに来たって事は、多分そうだが……
まぁ、それよりも気になったんだろうな」
「確かに僕も興味あるね、祈りの剣。
でも、今は武器の手入れだね、教えてあげるよ」
「あ、うん、教えて」
「ほいお任せ!」
そして、私はエディーに教えて貰いながら
剣の手入れの仕方を教わることが出来た。
必要無いかも知れないけど、何かあってからじゃ困る。
だから、しっかりと武器の手入れをしないとね。




