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お金の使い方

毎日の訓練は大変だったりもする。

毎日の見張りも少しだけ大変だけど

とてもやりがいを感じる時間でもある。

でも、私達が今、楽しいのは休みの日だ。


「よーし、今日はお休みだね!」

「うん」


定期的に来る、休みの時間だ。

3日から5日くらい頑張ったら

こうやって、休みの時間を貰えた。

この時間は何をしても良い時間。


騎士見習いとしてソールティアスさんから

手渡しされてるお金を使って

自由に遊んでも良い時間だ。


「昨日、ソールティアスさんから貰った

 このお小遣いで、今日は沢山遊ぶぞー!」

「おー」


ナナちゃんが嬉しそうに貰ったお金を掲げて

ニコニコと遊ぶ事を考えてる。

私も少し嬉しいけど、実はお金の使い方は知らない。


「よーし! エディーお姉さん!」

「ん? どうしたんだい?」

「お金の使い方を教えて欲しいの!

 貰ったけど、これ、どうすれば良いか分かんない!」

「あー、そ、そうだよね、うん。

 初めてのお給料だしね、知らないよね…」


ちょっとだけ悲しそうな表情を見せるけど

ナナちゃんの笑顔を見たエディーは

すぐに笑顔を取り戻した。


「それじゃあ、お金の使い方を教えてあげよう」

「はーい!」

「じゃ、一緒に買い物をしようね」

「うん!」


私達はエディーに案内されて、街へ出た。

ゆっくりと歩いて、ナナちゃんは

とある場所で足を止める。


「可愛いー!」

「ん? あぁ、ペット」


ナナちゃんが止まったのは犬とか猫が居るお店。

檻に掴まってて、少しだけ可哀想に見える。

でも、ちょっとだけ嬉しそうにも感じた。

こんな風に囚われてはいるけど

私達とは違って、幸せな時間を過ごしてたんだと思う。


「あん!」

「リンちゃん! ワンちゃんだよワンちゃん!

 可愛いー! とても可愛いー!」

「……うん」


ナナちゃんは飛び跳ねて喜んではいるけど

私はそこまで嬉しいとは感じ無かった。

だって、私、犬に何度も襲われてたわけで。

いや、うん、ナナちゃんは知らないけどね?

ナナちゃんが寝てる時に襲われてただけだから。

何とか撃退出来たからよかったけど

あまり良い思い出はない。


「あれ? リンちゃん、どうしたの? 恐いの?」

「あ、いや、そんな事は無いけど……」

「まぁ、ワンちゃんが恐い場合もあるしねぇ。

 もしかして、噛まれちゃったりしたとか?」

「……20回は噛まれた気がするけど」

「多すぎじゃ!?」

「そ、そんなに噛まれちゃったの!? 大丈夫!?」

「大丈夫、お祈りすれば治るから」


あまり戦うのが得意じゃなかったから

ナナちゃんを守りながら戦う時に

何度も何度も噛まれてたからあまり良い思い出はない。

でも、あの毛むくじゃらと比べればマシだ。

あれは本当に死ぬと思った。


「それに、首を噛まれそうになったけど噛まれてないし

 うん、だから、そんなに恐くは無い。

 少なくとも今は恐くない、確実に倒せる」


ちょっとだけ得意気な表情になってしまった気がする。

あの時の私なら苦戦してたであろう犬。

でも、今の私なら無傷で倒せる間違いない。

私は強くなってる。だから、犬を恐れる必要は無い。


「何でちょっと得意気なのさ」

「昔の私よりも今の私は強い、絶対強い。

 1ヶ月で強くなった、だから犬は恐くない。

 噛まれても大した事無いし、もし殺されそうになっても

 今の私なら余裕で倒せる。多分剣が無くても倒せる。

 首を掴んでボキッと出来る!」

「そんな事しないよ! こんなに可愛いのに!」

「でも、犬は噛んでくる」

「いやー、その、僕は思うんだけど……

 リンちゃん、それ多分犬じゃ無いよ、狼でしょ」

「同じでしょ? 見た目は同じだし」

「違う違う、色々と違うし。

 まぁうん、僕もハッキリとこう違うとは言えないけど

 犬は狼ほど凶暴じゃ無いから噛まれはしないよ」

「……?」


正直、同じにしか見えない。

この小さな犬が大きくなったら

あの大きな犬になるんじゃ無いの?

でも、小さい犬なら十分対処出来るに違いない。


「でも、小さいなら対処出来るから大丈夫。

 でも、ナナちゃんが襲われたら困る」

「襲われたりしないよぉ!」

「躾次第だとは思うけどね……まぁいいや

 一応、ペットを飼うのは自由だと言われてるしね。

 欲しいなら買ってみるのも良いかも知れないよ?」

「え? 買えるの?」

「あぁ、ここに数字があるでしょ?」

「うん、ゼロが沢山ある! 1が1つと

 ゼロが2個あるよ!」

「そ、だから、これは100ユースだね」

「ユース?」

「まぁ、お金の単位だね、ユーランス王国の。

 国によってお金の表示の仕方は違うが

 ユーランス王国なら、全てユースだ」

「うん!」


100ユース、あまり良く分からないけど

エディーに色々と買って貰ったお店でも

この数字は見たことがある気がするし

店員の人がユースとか言ってた気がする。


確か前に行った服のお店が服を買うときに

私達の服を何着か買ったとき

50ユースって言ってた。

エディーは結構高いねぇとかいってた気がする。


「で、今、ナナちゃんとリンちゃんに渡された

 お給料……いや、お小遣いは1人100ユースだ」

「じゃあ、買えるね!」

「でもね、ナナちゃん。今は大丈夫かも知れないけど

 そのお小遣いで2人は1ヶ月過ごさないと駄目なんだよ」

「え?」

「だから、すぐに全部使っちゃうと場合によっては

 ご飯を買うことが出来なくなっちゃって

 お腹を空かせてしまうことになるんだ。


 それに、ワンちゃんもちゃんと育てるのに

 お金が要るんだよ?

 だから、全部をすぐに使っちゃうと

 ワンちゃんもお腹を空かせちゃって元気じゃ無くなるんだ」

「うぅ、そ、そうだよね、お腹が空くのは辛いもんね……

 私もいつも辛かったもん……

 ご飯を食べられなくなっちゃったら嫌だよね……」

「うん、その通り。ご飯はちゃんと食べないと嫌でしょ?

 それはワンちゃんも同じだからね。

 だから、今あるお小遣いをすぐに全部使って

 ワンちゃんを買ったとしても

 ワンちゃんのご飯もナナちゃんは用意できなくなって

 ワンちゃんに辛い思いをさせちゃう事になるんだ」

「そうだよね……」


エディーの言葉を聞いて、少し悲しそうな表情で

ナナちゃんは自分が貰ったお小遣いを見ていた。


「大丈夫、私のお金があるから、それで」

「いーや、すぐにお金を沢山使うのはよくないよ?

 ふふん、1ヶ月頑張れば、またお小遣いを貰えるんだ。

 使わなかったら、2人のお小遣いは減らないからね」

「え?」


今回だけじゃ無いんだ、このお小遣い。

また頑張れば、お小遣いを貰える……

今まで、頑張ってもお小遣いを貰った事は無い。


「例えば、また1ヶ月いつも通りに頑張れば

 また100ユースのお小遣いが貰えるんだ。

 で、1ヶ月の間だ、お金をあまり使わないで

 そうだね、30ユースだけで抑えたら

 次にお小遣いを貰ったら、170ユースが

 ナナちゃんとリンちゃんのお金になるんだ」

「あ! じゃあ、それでお金を貯めたら!」

「そう、ワンちゃんを買っても

 ワンちゃんがお腹を空かせちゃって

 辛い思いをしなくても済むんだ」

「わー!」

「で、もっと頑張ってお金を貯めて行く。

 最初と同じ様に30ユースだけで1ヶ月頑張って

 今度、もう一度お小遣いを貰う日になったら

 今度は240ユースが

 リンちゃんとナナちゃんのお金になるんだ。

 これなら、ワンちゃんを買っても

 140ユースもお金があるから

 もう無駄遣いをしなければ

 ワンちゃんがお腹を空かせることは無くなるでしょ?」

「うん! じゃあ、私、頑張って貯めてみる!」

「そう! それが1番さ!」


お小遣い……頑張れば増える、お小遣い……

色々と買うことが出来る、美味しいご飯も食べられる。

昨日、ソールティアスさんから手渡された

この封筒を見て、自分も色々と想像しちゃう。


「更にだ、君達が騎士見習いとして頑張れば頑張るほど

 毎月貰えるお小遣いはどーんと増えるのだよ!」

「え? どう言う事?」

「ふっふっふ、2人のお小遣いは今は100ユースだけど

 一杯頑張ってきた僕のお小遣いは何と!

 毎月400ユースなのだ!」

「えー! す、凄ーい!」

「まぁ、僕は君達のお世話もあるから

 ソールティアスさんから多めに貰ってるのもあるが」

「そうなんだ」

「てか正直、僕に2人分の生活費を渡して

 更に2人に100ユースの大金を

 滅茶苦茶当たり前の様に渡すソールティアス様が

 少し過保護じゃ? とは思うけど。

 まぁうん、それは良いか」


結構小声で呟いてたけど、私には聞えた。

100ユース、実は凄い大金なんだ。

あまり実感は無いけど、凄いんだね。


「あ、因みにユースって高いお金でね。

 実はもうひとつ、小さなお金があるんだ」

「どんなの?」

「じゃ、こっちに来てね」

「うん」

「でも、ワンちゃん……」

「あん!」

「うぅ……お金をしっかりと貯めた後に

 買ってみせるから待っててね!」


ナナちゃんを見てたワンちゃんに

お別れの言葉を告げた後に

ナナちゃんは私と一緒に

エディーの後に付いていった。


「じゃ、頑張ってお金を貯めようね」

「うん!」


そして、私達が案内されたのは

前にご飯を食べに来たお店に似た場所。

前はステーキだったけど、ここは違うんだ。


「はい、ここはラーメン屋さんだ」

「ラーメン?」

「そ、細い麺の美味しい食べ物だよ。

 で、これが値段だよ」


そう言って、値段を指差してくれた。

そこには800チックと書いてあった。


「あれ? ユースとは違うの?」

「そ、ユースはこのチックが1000になったら

 1ユースになるんだ」

「じゃ、この800チックって

 1ユースで良いんだ。

 でもエディー、この封筒は1ユースが無い。

 10ユースって書いてるのしか無い」

「これはお札の中で結構大きな額だからね。

 因みに紙幣は1ユース、5ユース、10ユース、

 100ユース、1000ユースがあるんだ」

「うん」

「で、チックって言うのはこう言う硬貨だよ」


そう言って、エディーが懐から金属の円盤を出した。

そこには500チックと書いてある。


「これが硬貨、このちょっと大きいのが500チック。

 少し小さい円が100チック。

 で、この長方形が50チック

 長方形の小さい奴が10チック

 そして、正方形の大きいのが5チック。

 正方形の小さいのが1チックになってるんだ」


それぞれ特徴的な形と一緒に数字が書かれてる。

これが硬貨って言うお金なんだ。


「何でこっちは硬そうなの?」

「んー、さぁ? 流石にそこまでは知らないかなぁ

 多分、作りやすいんじゃ無い?

 あ、因みに紙幣なんだけどこの紙幣の特徴は

 描かれてる人物が違うって感じなんだ」


そう言って、今度は何枚かの紙を取り出す。

私達が貰ったお金と同じ物だ。


「まぁ、流石に100ユース紙と

 1000ユース紙は無いけどね。

 そんな大金、僕が持ち歩くわけ無いし」

「うん」

「じゃ、話すけど、1ユースは現国王が描かれてる。

 5ユースは国を繁栄させたという

 ユーランス王国の2代目国王が描かれてて

 10ユースは初代国王が描かれてて

 100ユースは国の安全を作ったとされる3人の英雄。

 その中でユーランス王国の出身とされる

 ヒューマンビーストのバラドーザ様が描かれてて

 1000ユースには3人の英雄が同時に描かれてる。

 最高紙幣は他の国でも共通らしいね。

 因みにユーランス王国では

 人間、エルフ、ヒューマンビーストだ」

「え? でも、エルフって」

「そう、何故か迫害の対象になってるんだ。

 ユーランス王国はそんな差別はしてないんだけど

 他国では差別されてるみたいでね。

 いや、他国ではヒューマンビーストも差別対象だ」

「ど、どうして?」

「さぁね、流石に僕にも分からない。

 ヒューマンビーストである

 ソールティアス様に仕えてる僕らからすれば

 ふざけてるとしか思えないけどね」

「そもそも、俺達バナージの住民全員からしても

 ふざけきってるって話だがな」


ラーメンを運んできた店員さんが会話に参加してくれた。

それだけ、ヒューマンビーストが差別されてるのが

この街の人達は嫌だと感じてるらしい。


でも、それは当然だってのは分かる。

だって、ここを統治してくれてるのは

ヒューマンビーストであるソールティアスさんだ。

だれも、ソールティアスさんを悪いようには言ってないし

皆、心の底から信頼してるのが分かる。


「サンキュー、ま、僕らからしてみれば

 エルフが迫害対象ってのも腹立つけどね。

 ソールティアス様は迫害を心の底から嫌悪してる」

「あぁ、ソールティアス様が嫌悪してるんだ

 俺達だって、迫害ってのは大っ嫌いだ。

 奴隷ってのも心底嫌っててね、はいおまけだよ」


そう言って、ラーメン屋さんの親父さんが

おまけで私達に炒飯を差し入れてくれた。


「おっと、太っ腹! 流石だね親父さん!」

「勿論だ、エディーちゃんには世話になってるしな」

「でもー、騎士全員におまけなんてしてたら

 お金とか困るんじゃ無い?」

「俺達の為に命を張って戦ってくれてる

 騎士さん達の為だ

 ちょっと赤がでる程度、なんてこたぁねぇよ」

「じゃ、潰れないでおくれよ?

 おまけしてくれるお店が潰れちゃったら

 僕達が困っちゃうからね!」

「はは! うち以外にも負けてくれる店は多いだろ。

 まぁ元より、俺はこの店を潰すつもりは無いから

 安心して食ってくれよな!」

「はは! そこまで言うなら安心だね!

 じゃ、遠慮無くいただくよ!」

「おう! 君達もしっかり食べて元気に育てよ!

 エディーに負けねぇ位のスゲー騎士になって

 ニコニコ笑顔で毎日を生きてくれ!」

「うん! ありがとう髭のおじさん!」

「おじさんかぁ……」

「老け顔だしね」

「髭が悪いだけだ!」


そんな会話の後、親父さんは笑顔を見せて厨房に戻る。

実はナナちゃん、ちょっと失礼な事を言ったのでは?

でも、私もあの人の事、おじさんって思った。


「うー、悪い事言っちゃったかな」

「いやいや、気にすることじゃないさ

 僕も親父さんはおじさんだと思うしね。

 まぁ、無精髭生やしてるのが悪いって思うね」

「うー」

「まぁ気にしないで食べなよ。

 親父さんも美味しいって食べて貰えるなら

 それに越したお礼は無いだろうしね」

「う、うん! 食べるよいただきます!」

「いただきます」

「あ、あちゅい!」

「ハンバーグの時と同じ様に

 ちゃーんと、ふーふーしないとね?」

「う、うん!」


そして、私達は出されたラーメンを食べた。

美味しい……これがラーメン!

これなら一杯食べられる! 食べやすいのは良いね。


「じゃ、ごちそうさま」

「ごちそうさまー!」

「それじゃ、お金を払ってみようか」

「うん!」

「おう、美味く食って貰って嬉しいぜ」

「うん! ありがとうおじさん! 美味しかった!」

「はは! そりゃ良かった」

「じゃ、親父さん、会計は別々でおねがーい」

「はぁ? お前さんが払うんじゃねぇのか?」

「今回は2人の社会勉強も兼ねてるからね。

 お金を払うって事を勉強させてるんだ」

「うん、色々と知りたくて」

「ふーん、お前さんも賢いことをするんだな」

「僕は結構真面目だからね、じゃ、お会計をどうぞ」

「あぁ、今回は800チックだ」

「はい!」


私とナナちゃんがそれぞれ10ユースを渡す。

少し動揺しながらも親父さんはお釣りとして

私達に5ユース1枚と

1ユース4枚と200チックを手渡してくれる。


「……何で10ユース? 大金だが…」

「お給料でね」

「え? 10ユースがかい?」

「いや、正確には100ユース」

「な! 子供に持たせて良い値段じゃ無いだろ!?」

「いやほら、ソールティアス様の手渡しだし」

「あ、はは、か、過保護だなぁ、ソールティアス様も…」

「まぁうん、僕に2人の生活費も手渡しててこれだからね。

 ま、ソールティアス様は2人の事、

 大事に思ってるみたいだし」

「あぁ、そうか……そうだよな」


親父さんもソールティアスさんが妹さんを失ったことを

知ってる様子を見せてる。

そして、その話を聞いた後に私達の方を見た。


「元気に育ってくれよな、2人とも」

「え? うん! 元気に育つよ!」


親父さんが優しい笑顔を見せてくれた。

そして、私達はお店を後にする。

今回も色々なお勉強が出来た。

今まで知らなかったことがドンドン分かっていく。

知るこ事がこんなに嬉しい事なんて、知らなかった。

頑張ろう、もっと頑張って元気に成長しよう。

今まで出来なかった分、幸せに成長しよう!

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