訓練と都市の勉強
ソールティアスさんに魔法の事を教えて貰って
私達は魔法について少しだけだけど
詳しくなることが出来た。
私にはほぼ確実に全属性の適性があるのが分かったし
魔法を鍛えるって言うのは重要なのが分かる。
でも、私はあまり魔法を極める必要は無い。
だって、私は身体能力が高いから。
「はぁ!」
「っと、良いね!」
今日は訓練をする事になった。
どうやら、ソールティアスさんの家では
騎士が訓練をする日が用意されてるようだ。
毎日の見張りで忙しい部分もあるけど
見張りでは無い日も当然あって
その日はこうやって鍛錬をする形。
私はエディーと打ち合いの稽古をしてる。
ナナちゃんは私との連携の練習だった。
「っとと、はは、流石の攻撃速度だね!
でも、僕も簡単に喰らってあげるつもりは無いよ!」
「分かってる!」
今回はエディーに攻撃を当てる事が出来れば勝ちだ。
つまりは攻撃の訓練をしてる感じ。
ナナちゃんと私の2人がかりで挑んで
どっちかが攻撃を当てる事が出来れば私達の勝利。
私達が体力切れで動けなくなった場合はエディーの勝ち。
勝敗という風に別れてはいるのだけど
負けたから何かしないと駄目とか
勝ったから何かをくれるとか
そう言う報酬とかは無い。
どちらにしても強くなる事が出来る。
それが、私達に取っての報酬と言える。
「っと! 良いね! でも攻撃が軽いよ?
連続攻撃を重要視してるからだろうけど
それじゃ、もし攻撃が当った場合に
相手に対して大きなダメージは与えられないよ?
そりゃ、今回は一撃決着だから良いけどね」
「うん、本命は私じゃ無いから」
「てりゃー!」
チャンスを察知したナナちゃんが柱から飛び降り
エディーに向って攻撃を仕掛けた。
周囲に展開してる柱を登って貰って
高いところからの不意打ち。
エディーは私と戦ってるから
下ばかり見ることになるから
上が疎かになるんじゃ無いかと思って
ナナちゃんと話をして考えた連携だった。
「っと、ほい」
「あぅ!」
だけど、エディーは即座に振り向いて
ナナちゃんの攻撃を片手で笑顔で受け止める。
「あっはっは! 甘い甘い! 良い連携だけど
何でかけ声出したの? バレるよ?」
「うぅ!」
「かけ声無くても気づいてたくせに!」
エディーがナナちゃんのかけ声で気付いたと言うけど
かけ声で気付いたにしては反応が早すぎる。
いくら何でも声が聞えると同時に表情1つ変えずに
即座に振り向いての防御はあり得ないし
わざわざ防げるように、私の攻撃をいなしてた。
完全に分かってたんだ! 私達の作戦は
エディーには筒抜けだった!
「おっと、気付いてた? 流石だねぇ」
「でもね!」
だけど、今なら攻撃が出来る筈だ。
ナナちゃんの攻撃を防いでる今なら!
上下からの同時攻撃なら防げないはず!
「これでどうだ!」
「うんうん、良い反応だ」
「な!」
だけど、私の仕掛けた攻撃は
エディーが片手に持ってた小さな武器で防がれた。
小刀サイズの木刀! 私が何処に攻撃するかも分かって!
「でもまだまだ2人は攻撃力が弱々なんだよぉ?
僕は片手でも十分防げちゃうんだよね、ほれ」
「うわ! あた!」
少し弾かれたナナちゃんが上手く着地できずに
尻餅をついてしまった。
これが実戦なら、絶対に追撃が来る。
「ほい、ちゃんと着地しなきゃ追撃が来るかもだよ?
高所からの攻撃を仕掛けるのは大事な事だ。
足りない攻撃力を補うことが出来るからね。
でも、失敗したときの対策もしっかり考えなきゃ
失敗したときに追撃を受けちゃって大惨事だ。
だから、まずは着地の練習をしなきゃね。
そう、リンちゃんみたいに吹き飛ばされながらも
上空で体勢を立て直すくらいにならなきゃ」
「う、うん、そうだよね」
今回は訓練だから、エディーは追撃をしないで
ナナちゃんが立ち上がるまで待ってくれた。
そして、ナナちゃんの攻撃を少し褒めてくれながらも
失敗したときの対策が重要だと言う事を教えてくれてる。
確かにそうだ、高所からの攻撃はちょっとだけ
私達の攻撃力を底上げしてくれるけど
弾かれたときに体勢を整えることが出来なきゃ
さっきみたいに大きな隙が出来て追撃されちゃう。
「リンちゃんの作戦失敗後の反応も悪くなかった。
少し動揺しながらも、即座に攻撃を選んだ
その判断能力は流石としか言えないよ。
でも、相手が悪かったね!」
「うぐぐ、え、エディー強い……」
「勿論さ、僕は最強の女騎士だからね」
ソールティアスさんの家に所属してる女騎士の中で
エディーが1番強いのは間違いないんだ。
「でも、正直……私はエディーより強い騎士は知らない。
ソールティアスさんが強いのは知ってるけど」
「ん? 僕より強い騎士を知らない? まぁそれもそうか。
僕より強い騎士は五つ星なんだけど、皆忙しいんだ。
最近は魔物の活性化もあって、王都に派遣されてるから」
「王都?」
「そ、王都。ユーランス王都って言うんだ。
このユーランス国の王様が居る場所だよ。
このバナージはソールティアス様が統治して
他の都市も貴族達が統治してるわけだけど
それらの都市、全てを統治してるのが王様。
まぁ、ユーランス王国で1番大きな都市だね」
「ふんふん」
「で、今は魔物が活発化してきてるからね。
特にユーランス王都には魔物が出てくるらしい」
「国の中なのに魔物が出てくるの? 王都って事は
きっと凄く大きいはずなのに」
「国と言っても、全てを城壁で囲えてないからね。
地図とかなら、こんな感じだけど」
そう言って、エディーが懐から地図を出してくれた。
大きな国が3つ描かれてる様子が見える。
大きな大陸に線が書いてあって、別れてる場所に
それぞれ名前みたいなのが表記されてる。
「これが現在の国達だね、3つほど国があるんだ」
「うん……」
「昔は戦争してたんだけど、今は戦争が無いんだ。
ただ昔は、ここの3国の中心に小さな国があってね」
「小さな国?」
「ここだね、ここ」
3つの線が交わってる場所をエディーが指差す。
「ここには昔、エルフの国があったらしいんだけど
今は滅んでて地図には描かれてないんだ」
「エルフって確か」
「うん、ソールティアス様が教えてくれてたね」
滅んでしまったらしいけど、何があったんだろう。
「まぁその話は今は良いかな。
とりあえず、ここの3本の線が
丁度交わってる場所を中心にして
右下に記入されてる国が
ユーランス王国で
すぐ上に記入されてるのが
ヴィードル王国。
で、左下にある場所がシュテール王国だ」
大きな大陸だけど、その3つしか表記されてない。
「この3つだけなの?」
「あぁ、ここ以外はほぼ魔物の地だからね。
開拓が全く進んでいないんだよ」
魔物の地……何だか恐い響きだ。
「3国がそれぞれ背中合わせになってる感じで
周囲の開拓されてない場所からは
魔物がやってきたりすることもある。
それだけならまだ良いんだけど
国の中でも完全に開拓が終わって無くてね。
ある程度の道は確保されてるけど
安全と確信出来る場所は少ないんだ。
だから、実際に安全だと保証できる場所は」
そう言って、エディーがユーランス王国当りに
何カ所か色を塗って見せてくれた。
「色が書いてる場所が安全な場所だよ」
国の3分の1程度しか記入されてない気がする。
「少ない……」
「国と言っても、ほぼ魔物の地だからね。
他の国も聞いた話だとこんな感じ」
エディーが他の国の分も書いてくれた。
五分の一程度しか記入されてない。
「もっと少ない……」
「あぁ、もっと少ないんだ。
ユーランス王国は力がある貴族に
周辺の安全確保と管理とかを任せてるから
三分の一は安全と保証できる状態だけど
他の国は王が管理をしようとしてたせいで
あまり進んでないんだ。
でも、今はユーランス王国みたいに
力ある貴族に管理させようとしてるみたいだけどね」
ふーん、中々今の状況は面倒な感じなんだ。
とても大変そうだという感想が出て来た。
私にはイマイチ分からないけど。
「ねぇねぇ、ユーランス王国の都市って
何処にあるの?」
「ちょっと待ってね」
ナナちゃんが疑問に思ったことを聞いて
エディーが再び何カ所か記入をした。
「ほい、この丸の場所が都市の位置だね」
「この大きな丸は?」
「ここは王都だね、結構下側にあるでしょ?
だから、王都は結構魔物が来るんだ。
そこから、北東と北西で都市が道みたいになってる。
ユーランス王国の都市は王都を除いて5つあって
力ある貴族1家で統治してる都市は3つ
複数人の貴族で統治してる都市は2つ」
それは、何処かで聞いたような気がする。
いつ聞いたかは、私は覚えてなかった。
「あ、最初に騎士さん達に案内して貰ったときに
そんな話をしてた気がする!」
「あぁ、ジャッキー達が教えたんだね」
ナナちゃんは覚えてたんだ、私は覚えてなかったのに。
「じゃ、ちょっと説明しやすいかもね。
王都の左上、すぐ辺りにある都市がビレッジ
ここはバジルラード家が支配してるね」
王都から少しだけ左上に行った場所にある。
全体的に隣の国に近い気がするけど
隣の国の安全と言える場所の近くでは無い。
「で、王都からすぐの右上にある国が
複数の貴族が統治してる国、ファンジーク。
何人かの力ある貴族が共同で支配してるから
明確な支配者は居ない」
ここはバジルラード家よりも王都に近い。
王都から少し右上に行けば辿り着けそうな場所だ。
「で、この中央付近にあるのがここバナージ。
知っての通り、ソールティアス様が支配してる」
完全に国の中央辺りにここってあるんだ。
大体の都市がここに隣接してると言える。
「で、バナージから右上に行くと
複数の貴族が統治してるもうひとつの国
シャリーズがあるね」
シャリーズ、結構隣の国に近い場所にある。
でも、周囲の安全が確保されてる場所では無い。
「で、この線が交わってる場所の近くにある都市が
ギフティー、レングラース家が支配してる」
「……」
私達が捕まってた場所だ、ここだったんだ。
魔物はあまり来なかったけど、理由も分かる。
ここは安全だと確証されてる場所の近くだった。
隣国も全て、この辺りは安全だと確証されてる。
「ここは安全な場所だけど、治安が悪い。
魔物があまり湧かない筈なんだけど
統治者が悪いとしか言えないね、あのレングラース家だし」
「うん……そうだね」
「ここはあまり深くは解説しない方が良いね」
私達がここで捕まってたことは知ってるから
あまり深くは解説しないようにしてくれた。
ただここは他の国と比べてちょっとだけ特殊に見える。
安全な場所から考えて、ビレッジが1番近い場所だ。
バナージに向うためには、危険な場所を抜けないと駄目。
でも、ビレッジに向うには安全な地域を進めるから
本当に楽なルートである可能性が高い。
「で、私達バナージの管轄だけど」
今度も大きな丸を書いて管轄を教えてくれる。
広い……あまりにも広い範囲に見えた。
ビレッジからギフティーの安全通路は
範囲には入ってない。
「広い気がする……」
「まぁ広いね、1番私達が動いてるし。
小さな村とかあるからね。
で、この円の範囲で起こった問題や依頼は
私達が解決することになってるんだよ」
「他の都市は?」
「ギフティーは動かないし
ビレッジは隣からの侵攻の対処だ。
シャリーズは立地的に魔物の襲撃が多い。
だから、防衛で手一杯だからね。
ファンジークはほぼ王都の防衛に力を貸してる。
だから、比較的安全な地域にあって
戦力を割いても防衛に大きな支障がない
私達が依頼を多くカバーしてる感じだ。
ギフティーの奴らがクソだけどね」
ギフティーの事、かなり嫌ってるのが分かる。
私も嫌いだ、あそこの奴らは大っ嫌いだ。
「でも、安全だからこそあいつらって
安定して稼いでやがるから腹立つね。
まぁ、資源確保も重要とは言え……はぁ」
「嫌ってるんだね」
「勿論だよ! 僕達は全員、あそこは嫌いだ!
リンちゃん達の話を聞いて、より嫌いになった!」
ギフティーは本当に嫌がられてる。
私も嫌だから分かる。
でも……うーん、実はビレッジとギフティーって
裏で繋がってる可能性がありそうで嫌だ。
「あ、そうだ、因みに」
そう言って、エディーが地図に再び丸を書いた。
丸を書いた場所は、
ギフティー、ビレッジ、バナージ3都市の
丁度中央辺りだった。
「これは?」
「ジャッキーが言う君達を見つけた場所だよ。
完全に中央辺りで、少し面白いと感じたんだ」
「そうなんだ……」
じゃあ、この近くにあの洞窟があるのかも知れない。
でも、私達はあの洞窟から抜け出して
結構歩いてたから、正確な場所が分からない。
「本当、よく合流出来たよ、素直に嬉しい」
「でも、普通に私達はバナージに来てたかもしれない」
「え? どうして?」
「剣が光ってた方向に進んでたんだ。
だから、ここに辿り着いてたと思う」
「え? そうなの? べ、便利だね……その剣」
「うん、それは自信を持って言える」
この剣のお陰で助かったのは間違いないから。
「あ!」
そんな会話をしてると、鐘の音が聞えてきた。
時間は12時だった。
「うは、話しすぎた、訓練の最中だったのに!
仕方ない、お昼から訓練を再開しよう」
「うん」
「勉強になったよ! ありがとう!」
「それはよかった」
うん、色々と理解できたから嬉しい。
今後必要になりそうだしね。




