瓦礫の撤去作業
崩壊させてしまった建物の前に
私は再びやって来た。
理由はこの場所の修繕だ。
本来なら、私はこの場には居ないはずだった。
流石に怪我をした次の日に手伝うなんて
無理があるという訳だから。
でも、私の傷は完治したわけだし
私自身が手伝いたいと言ったから
この場所で手伝うことが許された。
「っと、リンちゃん、無理しないでね?」
「大丈夫、この程度なら」
「うー! うー! お、重いぃ!」
私が来るというなら自分もと言い
ナナちゃんも同じ場所へやって来てた。
だけど、私と違って力が余り無いリンちゃんは
瓦礫を運ぶのにかなり苦労してる。
「ナナちゃん、無理しないでも」
「だ、大丈夫! 私だって、が、頑張る!」
そう言って、さっきまで頑張って持ち上げようとしてた
そこそこ大きな瓦礫を少しだけ持ち上げた。
持ちかたからしても、ギリギリなのは分かる。
腕だって震えてるし、かなりギリギリなんだろう。
「そんなに無理しなくても……
小さいからまだ大丈夫だろうけど
無理しすぎちゃうと、腰が悪くなるよ?」
「だ、だい、じょう、ぶ!」
とても大丈夫には思えないけど、ゆっくりと歩き出した。
私達も心配しながらナナちゃんに着いていき
瓦礫を集める場所に瓦礫をおいた。
「はぁ、はぁ、はぁ、で、出来た!」
「あはは、頑張ったな、ナナちゃん」
「うん!」
「でも、あまり無理したら駄目だぞ?
怪我をしちゃったら大変だからな」
「う、うん」
瓦礫の整理をしてる他の騎士さん達が
ナナちゃんの頑張りを称えながらも
無理はしない方が良いと伝えている。
ナナちゃんも付かれてるからなのか
結構あっさりその言葉を受入れた。
「っと、ジージ、ここで良い?」
「あぁ、そこで大丈夫だ」
「ジージ、変わった名前、お爺ちゃんみたい」
「よく言われるよ……はは」
少しだけ笑ってるけど、気にしてるのかも知れない。
あまり良くないことを言った気がする。
ちょっと反省しよう。
「ま、小さい子にじーじって呼ばれるなら
それはそれで、孫出来た感じでよくない?
君は30代でしょ?」
「まだ俺は娘所か好きな相手も居ないって!
てか! 俺は年上だぞお前! 敬えコラ!」
「えー? 敬語は良いって言ったのそっちじゃん」
「お前の方が上だからなぁ、階級」
「じゃあ、実は僕に敬語使わないと
駄目なんじゃないのぉ~?」
「え? いや、それはまぁ……」
「はは! 冗談だよ冗談!
年上で先輩である君に敬語なんて使われたら
僕の方がちょっと困るからね!」
「くぅ、自分の才能の無さが辛いぜ…」
どうやら、この人はエディーより先輩らしい。
だけど、階級はエディーの方が上なんだ。
と言うか、階級なんてあったんだ、知らなかった。
「階級ってどんな感じなの?」
「え? 別に気にしないで良いと思うよ?
だって、僕達の階級ってあってないような物だしね。
全員、ソールティアス様の教えである
支えてくれる民達の矛であり盾であれという教えに従い
常に強くあろうとしてるだけだからね」
「階級は大事だと思うけどな」
「まぁそうかなぁ? 一応教えるとすれば
ここだね、ここ、見える?」
そう言って、エディーが自分の首元を指差す。
そこには星のマークがあって、エディーは4つだ。
「これが僕らの階級って奴だね。
最高は5つだから、僕は結構偉い方だね」
「俺は2つだからな」
本当だ、ジージさんの首元は星が2つになってる。
でも、意識しないと分からない程度だ。
「見えにくい、普通は見えやすい方が」
「僕らはそこまで階級に拘ってないからね。
全員、共にバナージを支える仲間だからさ。
仲間にあまり上下関係はない方が団結できるんだ。
でも、非常事態に対しての指揮系統は
階級で決ってる部分あるけどね。
そうじゃなきゃ、意見が食い違うことになった時
誰の意見に従うべきかってのが分からないからね」
「勿論、ソールティアス様の指示に従うのはそうだが
細かい部隊で編制された場合は階級通りの指揮になる」
「ふーん」
私達にはその星が無いけど、その内貰えるんだろうか。
私達の鎧が来たら、星とか書いてあるのかも知れない。
「君達の場合は、多分星は無しからかなぁ」
「そうなんだ」
「うん、騎士見習いだからね、君達は。
でも、正式に騎士になったら星1からか
いやぁ、案外リンちゃんは星3スタートかも?」
「え? どうして?」
「そりゃ、実力的にねぇ
ジージより絶対強いし」
「それは不味いんだが!?
流石に小さな子に負けるのは俺が困る!」
「じゃあ、君も強くなりなよ」
「当然だろ! だが、今は建物の修繕だな。
そう言えば、この建物は」
「うん、昨日私が吹き飛ばされたときに壊れて…」
「はぁ、負ける気しかしない……」
「僕も負ける気がするね、将来有望ってレベルじゃないよ」
だけど、きっとエディーならデミ・ビーストを倒せてた。
私はまともに戦えなかったけど
エディーなら確実に勝てたんだと思う。
「でも、エディーなら勝ててたはず」
「いやね? そりゃ、僕は勝ててたと思うよ?
勝てる自信があったから粘るように指示したんだし。
でも、絶対にダメージは受けてただろうし
1日で怪我は治らないからね。
それに、僕は魔法も使えないからね。
リンちゃんが魔法を使えるって事は
そりゃ、全属性を扱えるって訳だし」
「え? どう言う事?」
私は自分を直すことしかした事無いから良く分からない。
私が自分を治せるなら、私が全部使える理由が分からない。
「いやね、魔法って結構才能が重要でさぁ
種族によって使える魔法が違うって話だけど
確か人間なら全部の属性が使えるとか何とか」
「全部?」
「うん、適性ってのがあるらしいんだけど
僕は対して調べてないからよく分からないんだよねぇ」
「俺も知らないな、魔法は俺も無理だし」
「魔法……私、魔法について知りたいよ!」
ナナちゃんが魔法という言葉に反応する。
ナナちゃんも使ってみたいと思ってるのかも知れない。
「ん? どうして?」
「だって、魔法が使えたら怪我を治せるんでしょ?
リンちゃんが怪我をしたときに治してあげたいの!」
「まぁうん、でもねナナちゃん、魔法って凄く珍しいの。
そうだなぁ、確か人間は全体の1割とか?」
「1割?」
「うん、本当に一部しか才能が無いんだよ。
まぁだから、僕も諦めたと言う感じかなぁ」
そうなんだ、だから、私は凄く珍しい。
「あ、でも、ソールティアスさんも魔法を」
「うん、ソールティアス様はヒューマンビーストだからね。
ヒューマンビーストには確定で才能があるらしいんだ」
「そうなんだ」
「でも、確かソールティアス様が扱えるのは
回復する魔法……いや、人体に影響を与える魔法だっけ。
うん、そう……特殊属性魔法……の、前に
確か何かあったような気がぁ」
「体特殊属性魔法だって、そりゃ聞いたろ」
「あぁ! そうそれ!」
「体特殊属性魔法……他にもあるの?」
「うん、確か特殊属性魔法だっけ
これの前に何か一文字着くのが3つあるんだ。
そこまで覚えてないけどね
ソールティアス様が言ってたのは
一番得意なのが体特殊属性魔法って話しだし」
「じゃあもしかして、ソールティアスさんに聞けば」
「分かるんじゃ無いかなぁ、でも、ソールティアス様も
かなり忙しいから、話を聞く機会はあまり無いと思うね。
さ、その話よりもまずは瓦礫の撤去だね。
これ以上立ち話してたら遅れちゃうし」
「うん、確かに。お仕事頑張ろう」
「うん! 終わらせた後に調べれば良いもんね!」
魔法には興味あるけど、今は片付けをしないと。
瓦礫の撤去、私は力があるから結構簡単に運べるけど
ナナちゃんは苦労しながらも瓦礫を運んだ。
その甲斐あって、1日で瓦礫の撤去が出来た。
明日はこの建物の修復だ、全部終わってから調べよう。




