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夜の見張り

騎士見習いになって2日目。

今日は夜の見張り番だという話を聞いた。

小さいからまだ止めた方が良いと言われたけど

それが理由でのんびりするのはあまり好かなかった。

新月の夜、私は都市の門で周りを見た。


「く、暗いね……リンちゃん」

「ん? そうでもない」

「え? 暗くない? 結構暗いと思うけどね」

「全く暗くない」

「え?」


私は夜目が利く、祈りの剣の効果でよく周りが見える。


「夜目が利くとか?」

「あ、そう言えばリンちゃんって

 真っ暗な洞窟も歩いてたよね。

 私は何も見えなかったのに」

「うん、この剣のお陰だと思う」


実際、この剣を握って周囲がよく見えるようになった。

やっぱりこの剣は便利な剣だって分かる。


「便利だねぇ、その剣。

 夜目が利くってのは羨ましいよ。

 ソールティアス様も夜目が利くらしいけどね。

 ヒューマンビーストの特徴らしいよ」

「ふーん、そうなんだ。

 でも、私の場合は違うと思う。

 だって、この剣の影響だから」

「その剣、羨ましいなぁ、僕も使えたり」

「……触ってみる?」

「あ、良いの? じゃ、ちょっとだけ」


少し不安だけど、エディーは悪い人じゃ無い。

それは分かるから、ちょっとだけ剣を渡した。

エディーが剣を握ると同時に

さっきまで光ってた宝石が消える。


「あ、消えた……これはつまり」

「駄目って事だと思う」

「そっかー、何か条件でもあるのかなぁ

 リンちゃん以外使えないとか?」

「分からないけど、今の所私以外は使えない」


ナナちゃんも駄目だし、ジャッキーも駄目で

エディーも駄目だったから、分からない。

私以外がもって、この剣が光ったことが無いから

私以外使えないのかも知れない。


「おっと、リンちゃんが握ると光ったね」

「うん、私が持つと3つとも光るの」

「私は駄目だったんだよね……何でだろう」

「特別な剣なんだっけ、それ」

「うん、黒夢の洞窟って所で拾った。

 多分、本来は台座か何かに刺さってたんだと思うけど」

「台座? と言う事は」

「私が拾ったときはそこら辺に転がってた。

 でも、すぐ近くに壊れた台座があったから

 多分、本来はそこにあったんだと思うけど」

「台座ねぇ、なんか特別な感じがして凄いね」


実際、特別な武器って感じは凄いする。

この剣を握って、私は異様に強くなったし

本当に凄い剣だって言うのが良く分かる。


「しかし、暗い洞窟の中にあるなんてね。

 そう言えば、暗かったって言ってたけど」

「うん、洞窟の崖下に落とされて」

「え!? だ、大丈夫だったの!?」

「死にかけたけど大丈夫だった」

「私の場合は……リンちゃんを助けようとしたら

 リンちゃんの上になって、その……

 助けようとしたのに、リンちゃんに酷い怪我を…」


ナナちゃんがかなり申し訳なさそうに呟いてる。

でも、私は無事だったんだし気にしないで良いと思う。


「私は生きてる、だから大丈夫」

「……でも、お腹も刺されてたのに」

「え……お、お腹刺されてたの?」

「うん、傭兵に刺されて血が出て痛かった」

「な、何で今無事なの?」

「祈りの剣を見つけてお祈りしたら治ったの」

「最初、怪我してたんだよね?」

「うん」

「近くにあったの?」

「ちょっと歩いた先にあったの」

「なんで動けるのさ、普通は動けないよ。

 傭兵って事は、刃渡りはこれ位でしょ?」


そう言って、エディーが剣を引き抜いた。

でも、あの時は渡された小さな剣だったから


「いや、多分短い、私の剣と同じ位」

「短刀サイズだね、それで刺されたんだよね?」

「うん、痛かった」

「リンちゃん、す、凄い血が出て……わ、私」

「あっと、ごめんごめん、泣きそうな顔しないで?

 ごめんね、もうこの話はしないから」

「うぅ……」


エディーはまだ気になることがありそうだったけど

これ以上話を聞くと、ナナちゃんに悪いと判断して

それ以上、この話をする事は無かった。


「本当に大変だったんだね、君達」

「……うん、でももう大丈夫」

「あぁ、僕達が君達を必ず守るからね。

 もう、君達は不幸になる必要は無いんだ」


決意を抱いたような表情を見せて

エディーは腕を組んで門の目の前を見据えた。

特に何かを見たわけでは無い。

強いて言えば、未来を見据えたんだと思う。


「……うん」


そして、私も同じ様に前を見たわけだけど

私には未来とは違う物が見えた。

いや、見ようとは思ったけど

実際に見えてしまった物の方が見える。


「……何、あれ」

「え? どうしたの?」


私が見たのは砂煙だった。異様な程の砂煙。

あんなの、普通じゃ無いってのは分かる。


「人じゃ無いけど……魔物?」

「魔物!? 何処に見えるの!?」

「見えないの!? あの沢山の狼みたいな魔物!」

「狼、集団で攻撃を仕掛けてくる狼型の魔物

 リストウルフか、でも活発な時期じゃ無いし

 そもそも人類に攻撃を仕掛ける事は稀だ!」

「でも、こっちに来てる!」

「小さな村が襲われたという報告は聞くが

 都市に向って来ることは今まで聞いたことが無い!」

「だけど、あれは絶対に!」

「とにかく状況を確認しないと不味いね!」


そう言って、エディーが城壁を駆け上がっていく。


「あ、エディーさん、どうしました?」

「今、リフトウルフがこっちに来てる可能性がある!

 何か、ここから見える!?」

「い、いえ! 何も!」


城壁の上から見ると、より一層よく見えた。

数は多い300匹くらいは居る様に見えた。

なんであんなに沢山、こっちに向ってきてるの?


「ここから見える? リンちゃん!」

「うん! 300匹は居ると思う!」

「な! リフトウルフの群れで300は最大規模!

 もしかして、デミ・ビーストが生まれたか!?」

「デミ・ビースト? 何それ」

「ヒューマンビーストに近い魔物だよ。

 でも、根本的には魔物であり

 ヒューマンビーストでは無い。

 魔物を率いて仕掛けてくる事もあって

 最大規模の戦いになりかねないんだ!」

「つまり、これって」

「都市の存続が掛かるレベルの戦いだろうね。

 急いでソールティアス様に連絡を!」

「はい!」

「リンちゃんとナナちゃんは避難し」

「いや、戦う!」

「何を馬鹿な! これはかなり危険な!」

「ここで逃げるのは嫌だ、戦えるんだから戦いたい!」


ここで逃げるわけにはいかない、戦えるんだから。

折角安心出来そうな場所に来たんだ!

ここに何かあったら、私が困る!


「ナナちゃんは避難して」

「いや! リンちゃんが行くなら私も行く!」

「でも!」

「行く!」

「……」

「リンちゃん、君が行こうとすれば

 ナナちゃんも行くのは分かったよね?

 ナナちゃんを守りたいなら、君も避難するんだ」

「……分かった」

「よし、良い子だ」


流石にナナちゃんを巻き込むわけにはいかない。

私が行こうとすれば、ナナちゃんも来ちゃう。

だから、私も避難するしか無い。


申し訳無いって気持ちを抱きながら

私は城壁から降りて、避難する事にした。

……本当は戦いたかったけど仕方ないよね。

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