見回りの息抜き
治安がいいっていう話だったけど
やっぱり問題は起こるみたいだ。
「うぐ!」
「何かを買うときはお金を払う。
これは子供でも知ってるルールでしょ?
それとも知らなかったのかい?
じゃ、君は子供以下だというわけだね」
「クソ!」
泥棒を捕まえたりもした。
「はい、鞄とかは気を付けてね?
こう言うのも居るには居るからね」
「ありがとうございます!」
ひったくりをした人を投げ飛ばしたりもした。
「うぅ、ママー!」
「はいはい、迷子かな?
何処でママとはぐれたの?」
「うぅ、あ、あっち」
「じゃ、探そうね」
迷子になった小さい子に出会ったりもした。
人が多いから、迷うことがあるみたいだ。
「大丈夫だよ、絶対に見つけるからね!」
「う、うん」
子供の相手はナナちゃんが本当に上手だ。
同じ小さい子供だから、すぐに仲良くなるしね。
それに、ナナちゃんはお姉ちゃん気質でもある。
だから、迷子の小さな子をすぐになだめることも出来る。
「あ、ママー!」
「パック! 良かった!」
「あはは、見付かって良かったよ」
「ありがとうございます、エディーさん!」
「あ、僕の事知ってたんだ」
「知ってますよ! 有名人ですから!」
「あはは、それは嬉しいね」
都市の人達はエディーのことを知ってる場合が多い。
でも、エディーはあまり知らない場合が多いみたいだった。
やっぱり有名人だから知られては居るけど
知ってるって事はあまり無いのかも知れない
「気を付けるんだよー」
「うん! ナナもリンもありがとう!」
「元気でねー、お母さんを困らせたら駄目だよ?」
「うん!」
手を振られたから、私も慣れないけど
小さく手を振ってみた。
……ちょっとだけ、良い事をした気になる。
「いやぁ、今日は嫌に問題が多いねぇ」
「普段からこんな感じじゃ無いの?」
「普段はここまで忙しくは無いかなぁ。
迷子は多いけど、山賊はレアだよ。
まぁ、最近は色々と騒がしくはなってるけどさ」
ふーん、最近は色々と騒がしいんだ。
私はここに来たことが無いから知らなかった。
これが普通なんだと思ってたけど違うんだ。
「まぁ、問題が多い方が君達の研修が出来るとは言え
あまり問題は起こって欲しくないよねぇ」
「だね!」
そんな会話をしながら、私達は小さなお店に入る。
「じゃ、ちょっとお昼ご飯だ」
「もう3時過ぎだけど」
「食べそびれたしね」
「ここは?」
「僕が結構行くお料理屋さんって感じ?
ここのステーキは美味しいのだよ」
「ステーキなんて食べたこと無いや」
「じゃ、美味しく食べなよ。
勿論僕が全部払うからね、遠慮しないで?」
「うん、ありがとう」
「ありがとう! エディーお姉さん!」
初めて入ったお店で美味しそうなステーキを頼む。
チーズデラックスハンバーグってのを頼んでみた。
デラックスって何だか過ごそうな印象がある。
そして、チーズ。興味はあったけど食べたことが無い。
甘い物も食べたこと無いし、新鮮なことが多い。
「はい、どうぞ」
「わー!」
お店の人が運んできてくれた
チーズデラックスハンバーグ。
ジュウジュウと熱そうな音が聞えてきてる。
ソースもパチパチしてるし、熱いのが分かる。
でも美味しそうでもある、うん、美味しそうだ。
匂いもとても良い、
奴隷時代、よく厨房から漂ってきた匂い似てる。
これを作ってたのかも知れない、美味しそう。
「美味しそう! 白いご飯もあるんだ!」
「あぁ、チーズデラックスハンバーグはセットだしね。
白いご飯と美味しい野菜……
まぁ、僕はあまり野菜は食べないけど」
「いただきます!」
ナナちゃんが話を全部聞く前にハンバーグに手を伸ばす。
「熱い!」
「がっつきすぎないで? 体験したから分かるだろうけど
出来たてだから、凄く熱いんだよ。
鉄板も熱々だから、そこを触ったら危ないよ?
だから、ゆっくりと食べていくんだ。
ふーふーって、息を吹きかけてね」
「あはは! 温かいのを食べる事あまりなかったから
ちょっと忘れちゃってた」
残飯ばかりだったから、当然温かいのはあまり無かった。
勿論、私が作った料理は温かかったけど
それでも最近食べ始めたばかりだったし
少しだけ速く食べようとしすぎたんだと思う。
「そうなんだ、じゃあしっかりと食べてみてね!」
「うん! ふー、ふー」
今度はちゃんと息を吹きかけて少し冷ました後に
笑顔でそのハンバーグを食べ様とするけど
「待った! 全部は駄目全部は!」
「え?」
「そんな風に食べちゃったらお口が汚れちゃうよ?
それに全部落としたら大変だし熱いからね。
こうやって、お肉を小さく分けて
小さい方を食べていくんだよ」
エディーがナイフとフォークを使って
ハンバーグを小分けにしていった。
そして、小さい分のハンバーグを食べる。
「他にも、こんな風に」
他にも小さなハンバーグを白いご飯に乗せて
ご飯を口元にまで持っていき、箸で食べた。
「うん、実に美味しい!」
「おぉ! 私もやる!」
ナナちゃんも同じ様な手順で食べ始める。
私も……食べよう、そろそろ涎が出て来そうだ。
「おいひー!」
「美味しい……これがハンバーグ」
「あむあむ! あは! 白いご飯も美味しい!」
「ふっふっふ、喜んで貰えて何よりだよ」
私達がご飯を食べてる姿を
エディーがニコニコの笑顔で見守ってくれてる。
私も美味しいと感じながらご飯を食べてるけど
多分、うん、頬とかは緩んでない……筈。
「ふふ、リンちゃんも我慢する事無いんだよ?
笑顔で食べても誰も文句は言わない。
そんな無理して我慢しようとしなくても良いよ」
「うぅ……は、恥ずかしいから」
「恥ずかしがることは無いよ、美味しいご飯を食べて
美味しいと笑顔になるのは普通の事なんだ。
ニコニコ笑顔で何かをするのが1番だよ?
そりゃ、しかめっ面の君も可愛いけど
やっぱり笑顔が1番可愛いよ?」
「私は笑うの苦手だから」
「じゃ、練習だね!」
「う、うぅ……」
自分にあまり自信が無い私は感情を表に出したくない。
でも、実際美味しいから頬が緩んでしまいそうになる。
駄目なのに、恥ずかしいのに……うぅ
「えへへ! リンちゃん、恥ずかしがること無いんだよ?」
「……ふふ、うん」
満面の笑みを見せてるナナちゃんだったけど
その口の周りにはソースが付いていた。
ちょっとだけ髭みたいになってつい笑ってしまった。
「あはは! 笑ってくれた!」
「やっぱり笑ってるのが1番可愛いね。
まぁ、美味しいからと言うよりは
ナナちゃんが髭を生やしてるみたいだから
笑っちゃったって感じだろうけど」
「え!? どう言う事!?」
「はっはっは、ほい手鏡」
「あ! お口の周りが!」
自分の口の周りが汚いことに気付いて
ナナちゃんが袖で拭こうとしたけど。
「はい待った、袖でやったら駄目だよ?」
「むぐぐ」
エディーがナナちゃんの腕を掴んで止めた後
机にあったテッシュでナナちゃんの口を拭いた。
「はい、綺麗になった。
まぁまだ食べきってないから
また汚れるだろうけどね」
「ありがとう!」
「ナナちゃん、袖で服のは行儀が悪いよ?
ちゃんとテッシュでお口を拭こうね」
「うん! 気を付ける!」
本当に姉妹みたいに、2人は仲良く話をしてる。
私はあまり喋ってないけど少し微笑ましいと感じた。
「ごちそうさまでした!」
「はい、よく食べましたー」
一番最初に食べたのはエディーで次は私。
最後にナナちゃんが食べ終わった。
エディーは食べるのが早いって感じる。
「あはは! 美味しかった!」
「それじゃ、見張りを再開しようか」
「うん!」
お腹がいっぱいになったから私達は再び街を回るけど
ご飯を食べた後は、あまり大きな問題は無く
私達は今日の見張りを終えた。
少し楽しかったと思う。




