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第七話 甘い考え

話を投稿したあと、何回か修正を加える事があります。何度も修正を加えたり、直したりすると思うので、ご了承下さい。

鎌イタチとの戦いは、俺の逆転勝ちで幕を閉じた。だが、ソイツにつけられた傷が効いていないはずもなく……。


考心「……ッ…!」


急にかかる激痛と共に、俺の体はその場で倒れ込んだ。納得のいく状況だった。あれだけの傷が体に蓄積していたのだ。まるで効いていないはずも無く、四肢がもげそうな程の痛みが伝わってくる。


考心「グッ……がぁぁー…!」


痛みがくると同時に、俺の口からはもだえるような声が溢れた。

このままではまずい、俺まで気を失いそうだ。

と、俺が必死に意識を取り持とうとしていると……。


幽華「考心さん!?」


身に覚えのある声が俺の耳元へと反響した。それと同時に、沢山の人の足音も聞こえてきた。


白刃警部「考心殿!」


その足音の正体は警部達だった。警部は傷だらけの俺を見て、瞬時に口を開く。


白刃警部「皆、早く考心殿の手当を!」


白狼天狗部隊「はっ!」


警部が部下たちに呼びかけると、部下たちは一斉に返事をした。警部の指示により、俺の体はゆっくりと運び込まれる。だがその前に、俺は警部殿に声を掛けた。


考心「白刃さん…!」


白刃警部「どうした…?」


考心「そこに倒れてる鎌イタチ、早く捕らえて置いて下さい……。」


白刃警部「……うむ、わかった。そこに倒れてる妖怪を確保しておけ!」


俺が警部にそう伝えると、警部はすぐさま行動に移し、鎌イタチの身柄を確保した。俺は安心して、まぶたをゆっくりと閉じるのだった。


□□□


考心「……ん??」


横に置かれたランプの光を横目に、俺の意識は覚醒した。


「目、覚めましたか?」


と、優しげな声色で、横から話しかけてきたのは、

幽華だった。どうやら、俺の看病をしてくれたようだ。

俺は、まだ痛む体を頑張って起こしながら、辺りを見渡す。ベットや薬品、その他諸々の医療器具などが置かれてあった。


考心「ここは、テントか?」


どうやらここは、救護用のテントの中のようだ。


幽華「はい。そういえば、傷の方は大丈夫ですか?深い傷ではありませんでしたが、所々に傷がありましたので……。」


と、心配そうに俺の事を見つめてきた。

俺は、鎌イタチにつけられた傷の箇所を触って確認してみた。すると……。


考心「…むゅ?」


そんな突拍子もない声が、ふと俺の口から漏れた。


幽華「どうしたんですか?」


考心「いや……、なんか…治りかけてるなと、思って……。」


俺は素直にそう答えた。

やけに早く傷の治りが早いため、俺はそれに違和感を覚えた。


幽華「よかったじゃないですか!」


考心「うん…まぁ……。」


幽華「なにか思うところでも?」


俺は少しのあいだ考え込んだが、結局どうしてなのか分からず、考えるのをやめた。


考心「いや、なんでもない。」


幽華「そうですか…。あっ、そういえば!」


幽華は何かを思い出したのか、そそくさとテントを出た。それから5分も経たないうちに、幽華は誰かを連れてテントに戻ってきた。


白刃警部「意識が戻ったんですね!考心殿!」


そう言って警部は、俺の横に座った。


白刃警部「急に意識がなくなるものですから、心配しましたよー!」


考心「あはは……、けっこう体が傷んでたからかな?」


白刃警部「いえ、傷のせいではなく、ただ単に血が不足していたからだと思われます。あれだけの血が衣服に付着していたので、仕方ないかと…。」


警部は真面目な顔で、そう端的に言った。


考心「あっ、そうだ!」


ふと、ある事を思い出した俺は、警部に質問した。


考心「白刃警部!」


白刃警部「なんでしょうか?」


考心「鬼獄は!?鬼獄はどうしたんですか!?」


白刃警部「キゴク…?あ〜…、被害にあった妖怪のことですね!」


白刃警部「その妖怪なら、考心殿の隣のベッドで寝ておられますよ。」


と、警部が指す方向へと視線を向ける。

そこには、輸血パックを腕に繋げられた状態で、静かに眠る鬼獄が居た。


白刃警部「まさか罪のない妖怪にまで手を挙げるとは、ますます許せませんね!」


考心「………ん??」


俺はその言葉に疑問を抱いた。警部は、鬼獄が地獄落としであることを知らないのか?俺は幽華に話を聞くために動作を送る。やがてそれに気づき、俺の近くに寄って、顔を近づけた。


考心「警部は、鬼獄が地獄落としだって事、知ってるのか?」


俺はそのままの疑問を幽華の耳元で囁く。


幽華「いえ、まだ伝えておりません。」


端的にそう告げた。


考心「えっ、なんで?事情を説明したら、警部も納得して、鬼獄を捕らえないで済むだろ?」


素の疑問を言うと、幽華は呆れたようにため息をいた。


幽華「はぁ…。」


幽華「もしも言ったと仮定して、「はいわかりました」と納得すると思いますか?」


ーーしない。という言葉が脳裏に浮かぶ。


幽華「世の中はそう甘くは無いんです!それぐらいわかりきってください!」


幽華は小声かつハッキリとそう告げた。その言葉は、俺の心に強く響いた。

たしかにそうだ。すこし考えればわかる事だったのに、俺はその可能性を考えもしなかった。心のどこかで、なんとかなると思い込んでいた。だが、それがダメだった。

今更いまさらながら気づく。


幽華「まぁ……、もう終わったことなので、この話は終わりにしましょう。」


考心「うっ…うん……。」


そうして話は途端に移り変わる。

俺の顔は、まだ微かに下を向いていた。だが、下を見ていてもなにも変わらないと思った俺は、すぐさま頭を切り替える。


考心「本当……、切り替えの速さだけは、速いよな。」


考心「俺って…。」


誰にも聞こえない声量で、自分に対して、呆れ混じりに小さくそう呟くのだった。

面白かったら、高評価とブックマークの方をお願いします。


キャラクター設定


鎌倉 鬼獄

カマクラ キゴク


人を地獄に落とす妖怪、地獄落とし。作者オリジナル妖怪。大きな鎌を両手で軽々と振り下ろすその姿は、正に死神。だが、その分隙も大きく、遅い。走るのは速いが、反射神経はそこまででもない。

性格

結構大食いで、マイペースで、接しやすい。特に、人間味がある。


見た目

赤黒い髪の毛に、いびつに生えた小さな三本のツノを持つ。タンクトップのような服に、腰に巻かれた毛皮の様な腰巻きと、膨らみのあるモンペズボンを着ており、両足は包帯で巻かれている。

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