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第二話 亡霊少女と妖怪少年

話を投稿したあと、何回か修正を加える事があります。何度も修正を加えたり、直したりすると思うので、ご了承下さい。

俺はあの後、美沙さんと仲良くなり、楽しく談笑を交わしていた。話をしたと言っても、俺が一方的に会話を持ち掛けているだけで、結局美沙さんからは、何かを聞かれた試しがない。

もう少しで話のネタが尽きそうな、そんな時だった。


美沙「…あの……。」


考心「?」


と美沙さんから初めて声をかけられた。俺はそれに、安心と喜びを感じ、美沙さんの言葉を聞く。

最初は弱々しく、か細い声だったが、だんだんとそれはハキハキと俺の耳へと届く。


美沙「考心さんは、妖怪なんですよね?もしかして、悪い方の妖怪なんですか?」


そう言って、首を少し傾けて視線をこっちに向ける。

俺は、少しだけ考え込む素振そぶりを見せた後、こう言い放つ。


考心「ちょっと違うかな〜?まあ、どっちかって言うと、良い妖怪かなぁ〜…?」


と、ハッキリとしない感じで返答する。


美沙「じゃあ、どんな妖怪なんですか?」


とまた言葉を返される。俺は、なんの抵抗も無く返答を返す。


考心「簡単に言うと、【幸福を与える程度の力】だ。戦闘向きじゃ無かった事は、悲しいけど。」


正直な気持ちを言葉にする。

美沙さんは、じゃあ、と一拍を置いて、こう言った。


美沙「考心さんはとても弱い妖怪なんですね!」


考心「げぶっ!!」


その瞬間、俺は口から血反吐ちへどを吐いた。

その子の毒舌どくぜつは、"ほとんど"俺に当てはまっていて、俺の心は削りとられた。その子は、満面の笑みで笑っているが、その笑顔に少し恐怖を感じてしまう。


考心「てっいうか、俺は弱く無いぞ……多分だけど?」


美沙「くすっ…あはははっ!冗談で言ったのに的中してるのが、くすくす……、あはははっ!」


自分にとって全く面白味のないことで、大いに笑い続ける美沙さんに、少しだけ苛立ちを覚える。

てっ言うか……、この子一切として俺を怪しんでいないですけど?!


考心「………。(ムカッ)」


そんな茶番を繰り広げていると、「ピリリリリッ!」っと、大きな電子音が鳴りひびく。俺は、その音の正体を取り出して、少しニヤけついた後、


考心「悪い、少し待っててくれ。」


と美沙さんにそう言葉を残して、神社の裏へと向かう。そして、俺は用を済ませにいくのだった。


□□□[美沙視点]


美沙「………。」


私は、待っていた。考心さんが戻って来るのを、ただただ待っていた。私は嬉しかった。声を掛けて貰えた事が、とても嬉しかったのだ。

亡霊となって2年、久しぶりに誰かと会話する事が出来た。それが、とても嬉しかった。最初は少し警戒したけど、接してみると結構面白い人だった。だけど……。


美沙「誰かに似てる様な………気がするけど…。まぁ〜……いっか!」


と能天気に空を見上げる。まだ、午後6時も回ってないというのに、もう空は紅く染まっていた。風と共に紅葉もみじの葉が、ちゅうに飛んでいく。それはまるで、なにかの始まりを示すかの様に、大きくあおられ飛んでいった。


□□□[考心視点]


俺は、用事が済んだため、美沙の元へと戻った。用事と言っても大した事ではないんだけどね。


考心「ごめんな。急に抜けちゃって。」


と美沙さんに向かって謝る。


美沙「いえ、気にしないで下さい!考心さんにも、何かしら訳があるからでしょうし、別に私は気にしてませんので。」


美沙さんは、気を使ってくれているのか、そう言ってくれた。俺はそれを聞いて安心したので、顔に笑顔を浮かべて謝礼しゃれいを述べる。


考心「ありがと!」


美沙さんもまた、俺の顔に合わせて笑顔を浮かべる。


美沙「そういえば、何をしていたんですか?」


考心「ん?」


俺は、なんのことやらと言わんばかりの素振りを見せる。実はこれ、からかう為にしてます。だが、なにを聞こうとしているのだろう、と気になっていると…。


美沙「ほら、機械みたいな音が出たヤツですよ!」


と美沙さんがもう一度尋ねる。俺は、あれか!、と言わんばかりの素振りをして、あの音の正体を羽織りのそでから取り出す。


考心「これの事か?」


と言って、美沙さんの目の前に突き出す。


美沙「えっとぉ〜……、紙…ですか?」


美沙さんは、困惑した表情でそれを視認する。それが少し可愛く感じたのは、俺の中で内緒である。

因みに、今俺が手元に持ってる物は、お札である。


美沙「それ、ただの紙で出来たお札ですよね?」


お札が紙以外になにがあると言うんですか?と聞きたくなったが、それを押し殺す。


考心「ふっふっふ……。」


と少しニヤついて笑った後、それがなんなのかを自信満々に明かす。


考心「実はこれ、一見ただの紙でできたお札に見えて、凄い便利な代物しろものなのだ!」


と勿体ぶりながら美沙さんにそう言い放つ。


美沙「凄い!どういう風に便利なの?!」


美沙さんは目をキラキラと光らせながら、そう俺に詰め寄って問い掛けてくる。


考心「これさ、電話の機能や音声メール、映像メールなどを送れちゃう優れものなんだ!」


美沙「すごーい!あっ……、でもここ電波がないのに、どうやってつなげてるんですか?」


考心「それはだな、辺りに充満する霊気や霊力なんかをつたって、繋げてるんだよ。」


美沙「霊力や霊気って、なんですか?」


考心「ーー……。」


美沙さんは首を傾げて、そう聞いてきた。俺は、さっきの物知りな態度と打って変わる。

その質問が飛んでくるとは思いもよらなくて、俺は少し考え込む。


考心「えーーっとぉ〜……、難しいなぁ…。」


頭をぽりぽりと掻きながら、黙って考える。

そして、出来るだけの知識で説明をする。


考心「霊力と霊気の違いはな……。霊力は、人間も妖怪も誰しもが持つ力だ。そして霊気は、その辺に漂う分子みたいな奴だ。」


考心「てっ言っても……、俺も明確な事までは知っているわけじゃないから、説明しづらかったんだけどな……。」


俺は少し体を伸ばして、欠伸あくびを欠く。そして、特に話題が思いつかぬまま、のんびりとした自然の音が、鳴り響き続けるのだった。


□□□


俺は気になった事があったので、無断で家の中へとお邪魔する。そして、台所を拝見する。


美沙「あの?何をしているんですか?」


と、美沙さんが聞いてくるが、その言葉が俺に届くことはなく、台所でうろつくきまわる。

ガスや水道は、一般家庭と変わらない感じだったが、冷蔵庫の中を拝見すると、やはり食べ物は無かった。なので、美沙さんにそれとなく聞いてみる事にした。


考心「美沙さんって、お腹空く?」


と聞くと、美沙さんは苦笑くしょうを浮かべながら、答える。


美沙「うん。亡霊だから、食べなくても良いんだけど、やっぱりお腹は空いちゃうかな…。」


考心「そうか……。」


するとその時、空から黒い物体が舞い降りてきた。


「どうもこんにちわ!黒羽くろはねカラス宅配便でーす!」


と、言って目の前に降り立つ、黒い羽を生やした妖怪。見る限りでは、カラス天狗の様だ。


カラス天狗「こちら、考心さんでお間違いないでしょうか?」


と、言って俺に確認を取るカラス天狗。俺はそれに対応をする。


考心「はい。間違いないです。」


カラス天狗「それではこれに、ハンコかサインをお願いします!」


ハンコがないので、その妖怪からペンを受け取り、「これ」という所にサインをする。


カラス天狗「それでは、ありがとうごさいましたぁーー!」


と、言って飛び立って行くカラス天狗。俺は、届いた荷物を持ったまま家の中へと再度入る。そして、その箱の中身を確認する為に、箱のガムテープに爪を立てる。


美沙「いったい何が入ってるんですか?」


と、後ろからヒョコッ、と現れた美沙さんが、そう聞いてきた。俺は、箱のガムテープをがしながら、こう返答する。


考心「中を見ればわかるよ。ちょっと今から必要な物をダチに頼んで、届けて貰ったからな…。」


張りついたガムテープを、綺麗にごっそりと箱から取り外して、ダンボールを開く。

すると……、色とりどりの野菜や食品、調味料などのたぐいが詰め込まれていた。それを視認した俺は、少し満足そうに笑みをこぼし、こう呟くのだった。


考心「アイツ……、用意周到過ぎるだろ。」


面白かったら、高評価とブックマークの方をお願いします。


キャラクター説明1


八頭 考心

ヤガシラ コウシン


難儀な性格の持ち主で、基本的に優しくて、お人好しで、甘い性格なのですが、たまにおかしな行動や言動をする傾向がある。戦闘になると、性格がまるで変わってしまう。誰とも仲良くなろうとする前向きなところが特徴とも言える。


見た目

ハッキリとした白色のロングヘアーで、赤紫色の羽織の下には、「幸」と書かれた白Tシャツを着込んでおり、藍色のモンペズボンと、特に紐の無い群青色ぐんじょういろの靴を履いている。目の色は青色である。

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