表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

きたいの悪女は処刑されました

作者: トネリコ

 

 

 

 

 むかしむかし ある所に とても栄えた王国がありました。

 王国が栄えると 人々は 益々集まりました。

 王国には 王女様がおりました。

 王女様はある日言いました。

 「この人々を全員残らず処刑なさい」

 人々は混乱しましたが、命令には逆らえません。

 大勢の人が殺されました。

 ある日 王子様が聖女様を見付けました。

 それは女神様に生き写しの美しい容姿でした。

 王女様はある日言いました。

 「あの聖女に血を流させなさい」

 王子様は言いました。

 「お前は血も涙もないに違いない」

 聖女様は言いました。

 「私が幾らでも流します。ですが神はあなたを赦しはしないでしょう」

 涙を流す聖女に心を打たれた王子様は希代の悪女を処刑しました。

 すると 王国は益々栄えました。

 二人は仲良く国を治めましたとさ


 おしまい


 エルバニア王国絵本


 



「ねぇ先生」

「何だい」

「今度の課題はこれにするよ。希代の悪女がどんな人だったかを纏めるやつ」

「それはいい。では、また来週」


 現王子さまは色々な人から話を聞き、色々な資料を漁りました。


 


 悪女は最後まで謝罪一つ零さなかった。血も涙もない冷血な女だ。

 悪女は死者を纏めて焼き払いました。

 聖女様は私たちと真逆の肌の色と髪の色でそれはそれは美しい方でした。

 王国は栄光溢れ人々で満ちていました。

 王子様は心優しい方で人々の意見によく耳を傾けました。

 悪女は命令ばかりしていました。

 王様は聖女様の涙で元気になりました。

 悪女は潔癖でした。

 ご主人様は国の為に生きた方でした。

 王様は悪女処刑の日に一言残しました。「英断、大儀であった」

 王子様は誇らしくなり胸を張りました。

 以来、自分に自信を持ちました。

 聖女様は胸を痛めながら涙を零しました。

 以来、一層国の為にと祈りと身を捧げました。

 悪女は静かに首を垂れました。

 斬首を待つようにも、騎士の礼にも、敬虔な信者の様にも見えました。


 こうしてきたいの悪女は無事処刑されたのです。


 

 

 王子様は何かが引っ掛かって首を傾げますが、何かが分かりません。


 結局、おとぎ話はおとぎ話として、古びた絵本を閉じるのでした。


 



 おしまい

 



 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いいお話しで、思わず感想を書かせて頂きました。 王様と聖女は、誰に向かって…
[一言] なんて素敵なハッピーエンドなんだと思わせないちょっと後に引く感じめっちゃ好き。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ