表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

街へ

……いや、分かってた筈だ。


昨日無駄にデカい、部屋いっぱいになるみたいなキングサイズベッド買ってたじゃないか。一人で買い物させたらヤバいヤツだ、こいつ!



「大丈夫、大丈夫。勝算あるから。さ、ご飯食べよ?」



歯噛みする俺をニコニコ見ながら、ゼロは呑気に食事を召喚する。その呑気な姿に俺は無性にムカついて、眉間に深い皺を寄せた。


昨日は、ポイント浪費するの怖い……とか言ってた癖に、なんなんだ、お前はっ!


そもそも大丈夫の理由に一切触れてないあたり、疑惑しかねえからな? 断言しよう、こいつに好きにさせてたら、絶対に一ヶ月ももたない。


マスターだろうが関係ない。ここは一発、ビシッと言ってやらねば!



「お前、俺に相談無しに召喚するの禁止!!」


「うん分かった。ハクとはこれから長い付き合いになるんだもんね、じゃあ召喚はハクに相談しながらやるね」



俺の怒りを知ってか知らずか、ゼロはニコニコしたまま了承する。そして俺が落ち着く暇すら与えずに、またもや突拍子もない事を言い出した。



「あ、そうだ。僕、午後から街に行って来るね」


「はぁ?」



え……ちょっと待て、どういう意味だ。街に行くって……このダンジョンってまだ開放すらしてないのに、そもそも外に出たり出来るのか?



「ダンジョンコアに聞いたらさ、場所は選べないけど、最寄りの街にランダムで行けるんだって。情報収集も兼ねて行ってみようかと思って」



俺の疑問が分かったのか、ゼロが軽く説明してくれる。なるほど、制限はあるが一応外には出られるって事か。



「ハクは僕の留守中、ダンジョンをしっかり守ってて欲しいんだけど」


「なんで一人で行くんだよ。俺も一緒に行くに決まってるだろ」



そう答えたら、明らかに微妙な顔で「あー……やっぱりハクも行きたい?」とか聞いてくる。


いやいや、行きたいも何も、まだダンジョン解放されてないし。ここはどう考えても絶対にダンジョンよりもマスターを守るべきだろう。


この貧弱っぷりじゃモンスターにエンカウントしなくても、治安が悪い街なら簡単にスられたりボられたり身ぐるみ剥がされたり奴隷商に売られたりしそうだしな。



「行きたいっつうか護衛だ護衛、マスターに何かあると俺が困るんだよ。ゼロ、見るからに弱そうだし、実際戦闘力ないしな」


「うーん……そっか、そうだよね」



ゼロは少しだけシュンとして、「じゃあ、悪いけどよろしく」と呟いた。弱い自覚はあるらしい。


それにしても、ダンジョン造るよりも先に街に行きたいとか……やっぱり人恋しいんだろうか。人間の考える事はやっぱちょっとズレてるんだな。


俺はちょっとしたギャップを感じつつ、街へ向かう準備を整えた。






ランダムで飛ばされた街は、この近辺では最もでかいらしい、アルファーナという街だった。


ここは冒険者が集まる街としても有名で、ギルドも多いし、エルフ、獣人、リザードマン、果ては魔族まで、様々な種族が闊歩している。冒険者目当ての商売も盛んで、あっちからこっちから、威勢のいい呼び込みの声が響いていた。


ゼロは最初はビビりまくって俺の後ろをおどおどしながらついてきていたというのに、慣れてきたのか今じゃ屋台を覗いてみたり、路地にちょっとだけ足を踏み入れてみたり、冒険者風の男に話しかけたりしている。


俺はもうゼロが冒険者に話しかけるたびに気が気じゃなくて、無駄にやきもきしてばかりだ。


頼むから、話しかけないでくれ……!


ゼロは自覚がないだろうが、ダンジョンマスターは人類の敵だ。ダンジョンを作ってモンスターを召喚し、あげくの果てには近隣の街を襲い始める。討伐されて当然の存在だ。


こんな冒険者の多い街で、正体がばれたらどうなるか。


恐ろしくて考えたくもない。まだ日も高いが、あまりのゼロの警戒心の薄さに、俺は一刻も早くダンジョンに帰りたくて仕方なかった。



「おい、もう満足しただろ?帰ろうぜ」



つい、そんな事も言いたくなる。


すると何を勘違いしたのか、ゼロは心配そうにこう言った。



「疲れたなら先に帰ってもいいよ? 僕、行きたいトコあるから、終わったらすぐ戻るね」



げんなりした。


アホか、ひょろいお前より先に疲れるワケがないだろう。



「俺、護衛だって言っただろ。俺だけ先帰るとかあり得ねぇし。行きたいトコあるなら、さっさと行って、さっさと帰るぞ」



俺は憮然とした表情で答える。ゼロは困った様に笑って、またきょろきょろと辺りを見回しながら歩き出した。


さっきからなんか探してるふうではあるんだけどな。聞いても笑ってごまかされちまうんだよな。二人で探せば早いと思うのに。



「……で? こんなトコになんの用だよ」



そんなこんなで街を連れまわされて到着したのは、なんと、今俺が行きたくない場所ダントツ1位の【ギルド】だった。


酒場も一緒になっているからか、昼間っからドンチャン騒ぎでうるさい事この上ない。ここはギルドが乱立するらしいこの街でも、トップクラスの有名ギルドだ。


一刻も早くでたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ