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マジか。バカなのか。

翌朝起きると、ゼロはもうダンジョンコアに向き合っていた。


水晶玉みたいにも見えるダンジョンコアに限りなく顔を寄せて、なにかブツブツと呟いている様子はなかなかにショッキングだ。ちょっと怖い。



「……おはよ、何してんだ?」


「あ、おはようハク」



既にしぱしぱしているのか、目をこすりながらゼロは笑顔を見せる。



「今インフォメーションのチェックしてたトコ。なんか新しいお知らせがあると、ダンジョンコアが教えてくれるみたいだよ」


「へぇ、そりゃ便利だな」



ゼロと一緒にインフォメをチェックしていく。ゼロが気を利かせて音声案内にしてくれたおかげで、ダンジョンコアに表示される小さい文字を二人して覗き込まずにすんだ。俺は文字読むのあんまり好きじゃないから、地味に助かる。



『召喚によりポイントが減少しました。現在985Pです』



いくつか案内される中で、そのアナウンスに「あれ?」と思う。



「なんか思ってたより減ってる?」



俺の部屋で10P、ゼロのベッドで2P、昨日使ったのは以上だ。あとの3Pはなんなんだ? 1日経過するごとに一定ポイント減るとかだったら怖すぎる。


つい心配になって聞いてみれば、ゼロはああ、とひとりごちた。



「朝からトイレ召喚したから」


「へ? なんか昨日、トイレと風呂は共用って言ってなかったか?」



今んとこ、このダンジョンには二人しかいないのに、トイレふたつは要らんだろ。そう思ったのに、ゼロはなんだか微妙な顔をしている。



「うーん。朝さ、すごいトイレ行きたくなったんだけど、ハク、まだ寝てるみたいだったから。なんか勝手に部屋に入るの悪いな、と思って」


「え、いやいやいや、マスターがそーいうの気にしなくていいから!」



神経質なのか気にしいなのか、えらく細かいことを気にするゼロに、驚きを隠せない。そもそも俺、なんも気にせず問答無用でマスタールームに入って来たし。


もしかしてノックとか必要なのかと聞いたら、それは気にならないらしい。今イチ基準がわからない。


トイレはモンスターがこれから増えてくれば追い追い必要になるんだろうし、まあいいかと思い直し、ダンジョンコアのアナウンスに再び耳を傾ける。



『ハクに新しい称号がつきました』


『新しいモンスターを召喚出来るようになりました』



おおっ!? 俺、なんか称号ついてる!


うっわ、なんの称号がついたんだろ、なんかテンションあがるなあ。なんか特別なことをした覚えもないのに、こんなに簡単にスキルや称号が身につくなんてこと、聞いたこともない。これはやっぱり、ダンジョンモンスターになったからこそなんだろう。


ひととおりインフォメを聞き終わったら、何の称号がゲットできたのか聞いてみよう、なんてウキウキと考えていやら、隣でゼロがボソリと呟いた。



「モンスター、召喚してみようかな」



昨日はポイント使うの怖いから、まだ召喚しないとか言ってた気がするけど。そういやさっき、新しいモンスターが召喚できるようになったとか、インフォメで言ってたっけ。



「まぁ、侵入者を殺すつもりがなくても、防衛力は要るもんな。味方の数は多い方がいいんじゃないか?」


「うん、やっぱりそうだよね。今の僕が召喚出来るモンスターってまだ種類もすごく少ないけど」



だろうな。初っ端から激レアの強いモンスターばっか召喚できたらとっくにこの世界はどっかのダンジョンに支配されているだろう。



「ただ、ポイントもそんな多くないからな、ダンジョン出来てからでも良いとは思うけど」


「それなんだけど」



ゼロはちょっと言いにくそうに続ける。



「僕、侵入者殺す気ないから、この先ずっとポイント貯まりにくいと思うんだ。そう考えるとモンスター召喚のコストもなるべく節約したいし、自分で増えてくれないかと思って」


「繁殖させる気か」


「うん。ダンジョンコアに聞いたら、自然にも繁殖するし、繁殖強化するようにも設定出来るっていうから」



なるほどな。


まぁ、ポイントが稼ぎ辛いのは確かだ。俺も死にたくないし、戦力を強化出来るならそれもいいかも知れない。


即座に同意する俺を見て、ゼロも意を決したらしい。



「ハク、これ今召喚出来るモンスターの一覧なんだけど、この中で、繁殖力強いの教えて」


「わかった。でも初期レベルで召喚出来るヤツなんて、ほぼ繁殖力強いけどな。弱いから、数増やす方向で進化したんだろ」


「そっか、そういうものかも知れないね」



俺の答えを聞いたゼロは納得したように頷いてダンジョンコアに向かうと、意外とサクサクとダンジョンを作り始めた。



『中サイズの部屋を3点、120Pを消費して設置しますか?』


「承認!」


『スライム6体、ポイズンスライム6体、ゴブリン6体、オーク6体、コボルト6体。いずれも交配強化付与で、220Pを消費して召喚しますか?』


「承認!」



慌ててゼロの口をふさいだ。



「おまっ! いきなりどんだけポイント消費してんだ!」



驚愕だ。思わず口調だって乱暴にもなる。


一気に440P消費だぞ!? 昨日の分と合わせて、もう455Pも使ってしまった。


ほぼ半分。


マジか。バカなのか。

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