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【改訂版】ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの


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スライムたちの可能性

『ゼロ、ハク、ルリ、ユキ、のレベルが上がりました』



おお!? ゼロもレベルが上がってる! ダンジョンマスターはダンジョンを造るとかなのか召喚するとか、多分そういうのでレベルが上がっていくんだろう。



『レア度2の妖族を全て召喚したため、レア度3の召喚が可能となりました』


『ゼロが、新たな称号を入手しました』


『ルリが、新たなスキルを入手しました』



感心する俺をよそに次々と流れていくアナウンス。皆のステータスを見るのが楽しみ過ぎるな、これは。


そこに、驚きの情報がぶち込まれる。



『分裂によりスライムが1匹増えました』



えぇ!?  スライムがもう増えた!?



「うわ、予想より早いね! 交配強化が効いてるのかな?」



ゼロも驚いてはいるが、何か思いついたのかブツブツ呟き始めた。


新着情報はこれが最後だったようでダンジョンコアは黙ってしまったが、ゼロは考えに没頭してしてまっているようでトリップしたままだ。仕方がないので、ゼロが落ち着くまで、ルリとユキに「モンスター勝手に増殖作戦」実行中である事を説明してやった。



「職場結婚、推奨って事?」



小首をかしげたまま、そう解釈したらしいルリ。まぁ、そうとも言うのか。


そんな馬鹿話をしていたら、突然ゼロが目の前でパシン! と手を合わせ、いきなり俺を拝んできた。



「ハク、お願い! 僕、回復の温泉造りたい! 召喚してもいい!?」



さっきから何か真剣に考え込んでいた結論がそれか。何をどう考えたらそこに行き付くんだよ。俺は若干脱力した。



「お願い! どうしても、ど~しても! 実験したい事があるんだよ! 回復の泉と、聖なる泉だけ召喚させて?」



なんか増えてるし。


でも、マスターの癖に俺に必死で哀願しているのを見ると、不憫にも思える。まあ、ポイントもまだあるみたいだしな。俺は快く許してやる事にした。



『地下三階の壁に、聖なる泉:小を設置しますか?』


「承認!」


『地下三階床中央に、回復の泉(温泉タイプ) :大を設置しますか?』


「承認!」



素早く設置を済ませると猛ダッシュで走り出すゼロを追って、俺たちも行き先もわからないまま、ただただ走る。いきついた先は、地下三階のご褒美ルームだった。


殺風景な岩肌のダンジョンの中、ほんわかと湯気が立ちのぼる温泉が湧き出ている。なんとも気持ちよさそうだ。そして部屋の奥には透明な水をたたえた清廉な泉もある。あれが多分『聖なる泉』なんだろう。



「きゃ~! 回復の温泉なんて素敵! ねぇゼロ、入ってもいい?」


「ゴメン……ルリはあとで入って」



多分本気じゃないだろうルリの言葉を真に受けて、ゼロはまた真っ赤になっている。


ああやってすぐ赤くなるからルリにからかわれる羽目になるんだと思うが、こればかりはガマンしろっつっても無理だろうなぁ。



確かにいくら同じモンスター扱いとはいえど、ユキと同じようにはできないよな。


ちなみにユキはすでに心のままに温泉に飛び込み、ひとしきりじゃぶじゃぶと遊び、いまは濡れた体をブルブルと思い切りふって水を飛ばしている。こちらも相変わらずかわいい。


それからゼロが始めたのは、思いもかけないことだった。


いま俺達の前には、今日生まれたのも含め、7匹のスライムがプルプルしている。そしてゼロの目はキラキラしている。いったい何をやらかすつもりなんだよ……。


時々とんでもないことしでかしたりするから、若干不安なんだが。心配しつつ見ていたら、ゼロは一歩前へ出てスライムたちに語りかけた。



「それではスライムの皆さーん! この中でずっと水の中でも平気な子、いますかー?」



プルプルっと顔を見合わせた? スライムたちの中から、おずおずと2匹が前にでる。



「じゃあ、魔法に興味ある子、いますかー?」



ま、魔法!? うわ、驚いた事に1匹だけ前にでてきた。ていうか、スライムって言葉通じてるんだな。



「はい、じゃあ他の子はダンジョンに戻っていいからね。ありがとう」



4匹のスライムはぽよぽよと跳ねながらダンジョンに戻っていく。それを満足げに見送ると、ゼロは残ったスライムたちに指示を与えた。



「君は回復の泉、君は聖なる泉を住みかにしてね。僕がいいって言うまでは、誰か来ても攻撃しないように!」


さっき水の中でも平気だと答えていた2匹のスライム達は、ゼロに返事をするようにプルプルっと体を震わせると、各々の泉に入る。


それを見届けた俺たちは、最後の1匹を連れてようやくマスタールームに戻ったわけだが。



「ええっ!?私がぁ?」



ルリは「そんなの、無理よ~」と嘆きながら、ベッドに突っ伏している。


ゼロから、このスライムに魔法を教えるように頼まれたからだ。まあ確かに相当なムチャぶりではあるよな。



「だってこの子、明らかに脳みそないじゃない? 賢さとか、ちゃんと数値見た?」



言いたい放題だな。


心なしかスライムもしょんぼりしている。ユキがスライムのプルプルボディをペロペロ舐めて、慰めているっぽいのが微笑ましい。



「お願いだよルリ。教えるの、すごい上手だったし、おかげで僕も回復魔法が覚えられたんだし」


「だから脳みその量が違うの!」



頑なに拒否するルリを困った顔で見おろし、ゼロは「しょうがないなぁ」と呟いているけれど、この場合、しょうがないのはお前だ。



「じゃあ、教えてくれたら王子様に紹介してあげる」



うわ、餌で釣ろうとしてやがる! 意外と腹黒い。


ろくでもないこと言い出したな、と思ったけれど、俺の考えのほうが甘かったらしい。ルリはおもむろにベッドから起き上がった。



「……じゃあ、頑張ってみるけど」



そうしてルリは、案外チョロくスライムの先生になった。

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