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【改訂版】ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの


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ダンジョンに侵入者が現れました

「まぁそんで今、オレ様達が困ってんのは他でもねぇ、ダンジョンの発生だ。潰しても潰しても新しく出来やがってキリがねぇ」


「やっぱり、つぶすんだ……」


「当たり前だ。初期はたいしたことなくても、でかくなりゃ近隣の村や町を襲ったりするからな」



ゼロの小さな呟きに、さも当然、といった顔で放たれるカエンの答え。


内心肝が冷えた。ここで出会ってなければ、むしろ俺達のダンジョンも近い将来潰されていたんだろう。



「ダンジョンが増え始めたのは、ここ数百年だ。しかも、人為的なニオイがしやがる」



誰が何の目的で作っているのか。


どんな仕組みでどんな事が出来るのか。


少しでも多くダンジョンの情報を得るために、カエンは冒険者が集まるギルドを運営していたらしい。


王様はカエンから俺たちの話を聞いて、「ダンジョンの仕組みを研究出来る、またとない機会だ」と、二つ返事で支援を約束してくれたそうだ。


ちなみに、訓練施設の構想については大絶賛だったらしい。



「冒険者の訓練施設を作るにゃ金と時間がべらぼうにかかるからなぁ。お前らが造ってくれるってんなら願ったり叶ったりってことだ。練兵場も出来るかも、って喜んでたぜぇ!」


なるほど、王様もなかなかちゃっかりしている。



カエンと王様にとって、俺達が利用価値が高いと分かり、とりあえず安心する。それならばきっと、そう簡単には殺されたりしないだろう。ある意味、心強い味方が増えたと言える。



「ゼロ、良かったな。カエンや王様のためにも、いい訓練所作らなきゃな」


「うん!」



ほっとしてゼロに話しかけたら、ゼロも嬉しそうに笑顔を見せた。


良かった、ゼロの目にも生気が宿ってきたな。



「ああ~楽しくなってきた!どうしよう、どんなダンジョンがいいかな?」



人を殺さなくていいと思った途端すっかり気が楽になったのか、ゼロも楽しそうにダンジョンの話をするようになってきた。


いい傾向だ。何よりやる気が出て来たってのがありがたい。



「冒険者のレベルアップが目的なんだろ? レベルに応じた難易度があるといいよな」


「初心者は結構、退き際の判断が甘ぇからな、お灸を据えるくれぇで丁度いい。実践で死なせねぇための訓練所だからなぁ」


「でもさ、クリアしたら、何かご褒美があると嬉しいよね」



思い思いの意見を言い合い、作りたいダンジョンの構想が朧気ながら見えてきた頃、ふと気付いたように、カエンが言った。



「そう言やぁ、このダンジョンって、街からは遠いのか? あんまり離れてっと、本気で低レベルのヤツぁ生きてたどり着けねえかも知れねえぞ」



カエンの言葉にぎょっとして、俺とゼロは顔を見合わせた。


俺たちのダンジョンが、どれくらいカエン達の街と離れてるかなんて知らねえし。だいたいこのダンジョンが今どこに位置しているか自体わからない。


ゼロが慌ててダンジョンコアに確認する羽目になった。



「えっとね、現状アルファーナから結構離れた場所にあるみたいなんだけど、ダンジョンを解放するまでは場所を変えられるんだって」


「へえ、便利だな」



素直に感心した俺と違って、カエンは苦い顔で眉をしかめている。



「チッ、とんでもねえな。どうなってんだ」


「あとね、ダンジョンの入り口も好きな場所に設置出来るんだって」


「……ほう」



それを聞いたカエンはニンマリと笑う。何か思いついたらしい。



「よし、そんならオレ様のギルドの中に入り口を繋げ! 絶対に安全だぜぇ? お前らもいつでも街で遊べるじゃねぇか」



確かにギルドの中なら、 カエンが門番をしてくれるも同然だ。これ以上安全な場所はないかもしれない。


さりげなくゼロを見たら、ゼロもしっかりと頷いた。


早速ゼロが、ダンジョンコアに指示を出し、ダンジョンコアからは、機械的なアナウンスが流される。



『ダンジョンが開放されました』



その途端。



ビーーーーッ

ビーーーーッ

ビーーーーッ



けたたましく警報がなり響き、さらに冷静なアナウンスが流れる。



『ダンジョンに侵入者が現れました』



ええっ!? 今ダンジョン開放したばっかりだぞ!?


慌てふためいたゼロが、ダンジョンコアにとびついて……気が抜けたようにため息をついた。



「なんだ、カエンだ」


「へ? さっきからいたじゃねえか。なんで急に……あっ、入り口繋げたから、ダンジョンとして機能しはじめたってことか?」


「たぶん」



ビビった。いきなり戦闘かと思った。


俺も密かにほっと胸をなで下ろしていたら、カエンのニヤニヤ顔と目があってしまった。



「侵入者らしく、軽~く手合わせしてやろうかぁ?」



め、めっそうもない!


俺は全力で固辞する。冗談で一撃くらっただけで、軽く死ねるっつーの!


なのに、カエンは肩眉をあげて威嚇してきた。



「言っとくがシャレじゃねぇぜ? このダンジョンはもう開放しちまってるからなぁ。ほぼ唯一の戦力にしちゃあ、お前はまだ弱過ぎる」



俺様がいねぇ時どうすんだ、と言われると返す言葉がない。



「おっしゃ、じゃーやるかぁ!」



上機嫌のカエンに引き摺られ、いやいやながら組手を始める。


ゼロが「いいなぁ、僕も……」と呟いたのが聞こえたけど、お前ふざけんなよ。一歩まちがったら死ぬからな?


2時間近くも鬼のようなしごきを受け、ガックリと膝をつく俺。



「しょーがねぇなぁ、続きは明日な」



そう笑うと、カエンは足取りも軽く帰っていった。そして、カエンの姿が消えるなり、高らかになるファンファーレ。



「侵入者を撃退しました!」



ああ、そう言えば侵入者扱いだったな……。そんな事を考えながら、俺は意識を手放した。

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