7/8
少年
アルバイト急募!
元気があって接客好きな方大歓迎!
「高校生は不可」
店の張り紙の前に立ち尽くす制服。
紺色の学ランはまだ自立していないそれを示していた。せっかく立ちどまり確認したのに、それが無駄だとわかり辺りをキョロキョロと見回す。
ふと、道路を挟んで歩いていた私と目が合った。
お姉さんは、働けるんでしょ。いいなぁ、
と言いたげな目が向けられ
私は、あんたはあったかいご飯があっていいわね。と心で呟いた。
きっとあの少年は1人なのかもしれない。
雨が降る中、わざわざ求人のチラシに食いつくもんか。家に帰っても1人で学校でも1人で孤独なのかもしれない。
アルバイトとは、時間と引き換えに給与がある。
時間は人それぞれに価値があるものであるし、高校生の時間は刹那的なものかもしれない。
私は孤独な少年の気持ちを思った。
そんなこと関係もなく、正しいかなんて確かめようがないことだが。