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かお
目の前には、数分前までは生きていたであろう黒い物体。
まるで糊を塗りたくったかのように、
動かしにくい手。
赤い糊?
床も同じように赤かった。
ひとつ違うのはぬるぬると光ったところ、
固まっておぞましい香りを放つところ、
大きさの違う、それぞれの赤があった。
その中わたしは立っていた。
立っていた、恍惚と。
呆然と立ち尽くす姿とは違うものであった。
口に出した言葉、誰にでも伝える意思などないそれは
ぽろりと落ちた。
「×××××」
表情はスッキリとしていて
どこか笑っていた。