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第三十六話「再会」

 暫くワイバーンに乗ってレイリス町に移動し、町の外でワイバーンを待たせてから宿に向かう。宿では仲間達がアレラ山脈攻略のための会議をしていた。アイリーンは俺の姿を見るや否や、嬉しそうに俺に飛びついた。やはり獣人だからか、体はしなやかで抱き心地が良い。彼女は嬉しそうに頬ずりをし、暫く俺を抱きしめていた。


「サシャの帰りを待っていたの」

「ただいま。アイリーン」

「サシャ。隣に居る女の子は……? まさか、また仲間が増えたの?」


 俺はクリスタルとの出会いを仲間達に話した。クリスタルはキングを不思議そうに見つめていたが、キングがクリスタルの頭を撫でると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。簡単な自己紹介をしてから、早速アレラ山脈超えのための話し合いを始める事にした。


「ゲルストナー。アレラ山脈を越える方法は見つかった?」

「それがな……ブラックドラゴンが群れで行動しているという噂を耳にしたんだ」

「幻獣の群れか。果たして俺達が敵う相手なのだろうか」

「それは分からないな。山脈を超える以外にも、海路からアルテミス王国を目指す事も出来るが、それでは時間が掛かりすぎる。それに、海の中にも魔物が多く潜んでいるから、完璧に安全な移動方法は存在しないんだ。まぁ山脈を越えるよりは海路の方が安全ではあるが……」

「当初の予定通り、アレラ山脈を超えてアルテミス王国に向かおう。ブラックドラゴンに挑む前にパーティーでの戦い方をもう少し考えた方が良さそうだけど……」

「うむ。まぁそんなに深刻に考える事もないだろう。こちらには幻魔獣のルナ、キング、ワイバーン。それから幻獣のユニコーンも居る」

「そうだよ。俺達が更に強くなれば良いだけの事なんだ」


 この機会にワイバーンとの連携も学んだ方が良さそうだ。彼の背中に乗った状態で、ブラックドラゴンに対して攻撃魔法を使用出来れば、戦いが楽になるのだが、土をブラックドラゴンに当てても意味は無いだろう。破壊力のある魔法を習得する必要がありそうだ……。


「サシャ。ブラックドラゴンは高熱の炎を吐く魔物だ。ワイバーンのフレイムブレス程の威力ではないだろうが、火属性の攻撃魔法ではブラックドラゴンを仕留められないだろう」

「キングのヘルファイアは使わないでおうか……どう戦えば良いのかさっぱり分からないな」

「まぁ気長に考えようではないか」


 敵が一体なら、もしかするとワイバーンがブラックドラゴンを仕留めてくれるかもしれない。しかし、敵が複数体なら、地上に居る仲間達がブラックドラゴンのブレスを直撃する事になる。俺がワイバーンと協力してブラックドラゴンにダメージを与えられば良いのだが……。


 俺は仲間達の戦い方を思い出し、陣形を考える事にした。ゲルストナーにはいつも通り、前衛として仲間達を守って貰う。アイリーンはゲルストナーの背後で待機。攻撃の機会を伺いながら、安全に攻撃を仕掛ける。


 クーデルカのアイスフューリーなら幻獣相手でも通用するだろう。ただし、宙を舞う敵に当てるのは至難の技だ。一番攻撃が当たる確率が高いのはルナのウィンドアローだろう。パーティー内で最速の攻撃速度。威力も非常に高く、大抵の敵なら一撃で貫く事が出来る。


 キングはサンダーボルトをメインに使って貰う事になるだろう。サンダーボルトは騎士団のメンバーの中で最も破壊力が高い魔法だが、一撃で膨大な量の魔力を消費する。キングのサンダーボルトが当たれば、戦況が大きく変わるだろう。


 俺はというと、全く通用する魔法が無い。アイアンメイデンは抜群の攻撃力を持っているが、ブラックドラゴンが地上に降りた時にしか使えない。ユニコーンは回復係だ。クーデルカと共に負傷した仲間の回復を任せよう。クリスタルに関しては、マジックシールドの魔法で仲間をサポートをする事になった。


 やはり俺が新しい魔法を作り出し、ブラックドラゴンの動きを封じるしかない。明日からメンバー全員で、ブラックドラゴンとの戦いを想定した特訓をする事にした。


 ワイバーンのフレイムブレスを応用した魔法を作るのはどうだろうか。俺が空中に土の塊を作り上げ、ワイバーンが炎を吹き掛ける。すると炎を纏う土の塊が完成する。魔力によって土を制御し、ブラックドラゴンに落とせば、物理ダメージと炎のダメージを一度に叩き込む事が出来る。


 これは良いアイディアだ。俺は新たな魔法を「メテオ」と名付ける事にした。今までの俺は頭が凝り固まっていた。一人一人の技で倒さなければならないと思っていた。しかし、仲間の力を活かしながら、協力して更に強い魔法を作り上げる手段も存在する。きっとメテオは強い破壊力を持つ魔法になるだろう。俺は新たな魔法にブラックドラゴン討伐の可能性を見出した。


 仲間同士の技を組み合わせる事。これが団長である俺の課題だ。今までの俺達はパーティーとして戦っていなかった。強い個人が集まる集団だった。これからはお互いの長所と短所を把握しながら戦える様になろう。それ以外に群れで行動するブラックドラゴンを倒す手段は無いだろう……。


 俺が新たな魔法のアイディアを仲間達に伝えると、仲間達は大いに盛り上がった。これでなんとかアレラ山脈を越えられそうだ……。

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