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第百四十一話「新たな旅立ち」

 パーティー参加者:サシャ、ルナ、キング、クーデルカ、シルフ、シャーロット、ゲルストナー、アイリーン、クリスタル、クラウディア、オーガ、ガーゴイル、エイブラハム、エミリア。


「皆、今日は集まってくれてありがとう。今日は俺達がこれから新しい人生を始める記念すべき日だ。大いに楽しんでくれ」


 俺が簡単に挨拶をするとパーティーが始まった。サイクロプスもパーティーに参加したがっていたが、体が大きすぎて家の中には入れなかった。どうやらワイバーンが捕らえてきた獲物をユニコーンとドラゴン達と一緒に家の外で食べている様だ。俺はクリスタルの隣に座る事にした。


「クリスタル! 新しい家はどうだい? ガーゴイルと二人では随分広いんじゃないかな?」

「師匠! 立派な家をありがとうございます! 師匠の屋敷ほどではありませんが、とても広くて満足しています!」


 クリスタルは美味しそうに料理を食べながら葡萄酒を飲んでいる。


「それは良かったね! クリスタルはこれからどうするつもり? 冒険の旅に出るのかな?」

「はい、実はそろそろ冒険の旅に出たいと思っています。師匠の様な優れた召喚士になるために!」

「俺が優れているかは分からないけど、クリスタルは既に立派な召喚士だと思うよ」


 クリスタルが召喚したガーゴイルとサイクロプスはクリスタルに従順で、常に人を助けようと頑張って生きている。


「ありがとうございます! 師匠はこれからどうするんですか?」

「俺はしばらくここで町作りをするよ。屋敷は完成したけど、まだまだ町とは言えないからね。そろそろ復興の手伝いも終わると思うから、復興が終わり次第町作りを本格的に始めようと思う。町作りが終わったら……俺達も旅に出るかもしれないね」


 そうか、やはりクリスタルは旅に出る様だ。クリスタルの旅の出発までにフランシスを育てる事が出来るならそれが一番良いが、今のフランシスでは従者としての任務を果たせないだろう。ゆっくりとフランシスを育てるとしよう。俺がクリスタルと話をしていると、エミリアが隣の席に移動してきた。


「サシャ。屋敷の完成おめでとう。これからは本格的に町作りをするのかな?」

「ありがとうエミリア。そうだね、復興の手伝いもそろそろ終わりそうだし、これからは本格的に町作りをするよ。勿論、町作りをしながらエミリアの魔法授業もするからね」

「勿論よ。これからもよろしくね、私の勇者様」


 エミリアとは最近随分親しくなった。毎日のエミリアとの魔法授業が楽しくて仕方がない。エミリアはすぐに優秀な魔術師になるだろう。この大陸に住む民を守れるような偉大な魔術師に……。俺達はそれから夜遅くまでパーティーを楽しんだ。俺はエミリアを城に戻してから屋敷に戻った……。



〈サシャ達の寝室〉


「サシャ。今日は楽しかったわね。クリスタルもゲルストナーも居ないと何だか不思議な気分だわ」


 クーデルカは紫色のネグリジェに着替えてベッドに横になっている。


「そうだね。同じ家に居ないだけでこんなに寂しいとはね。でも、いつでも会いに行ける距離に居てくれるのは嬉しいよね」

「そうね。これからは本格的に町作りが始まるのね……」

「あぁ、これから俺達の新しい人生が始まる。町を作って冒険者を呼んで……俺達もいつかまた冒険の旅に出よう」


 俺はベッドで横になるクーデルカの隣に座った。


「今まで色々な事があったわね。山脈を越えたり、魔王を倒したり。サシャは少し頑張りすぎじゃないかしら? もっと私達を頼って良いのよ」


 俺は冒険の旅に出てから仲間を守るために必死で生きてきた。これからは少し楽に生きても良いのではないだろうか。この町で落ち着いて暮らすのも良いかもしれない。俺は十五歳の成人の日に冒険の旅に出た。父の様な偉大な冒険者になるために……


 旅に出て多くの仲間が出来た。俺は今日まで余りにも忙しく生きてきた。これからは少しゆっくり生きよう……。以前から考えていた事だが、いつか俺に子供ができたら剣術と魔法を教えて立派な冒険者に育てたい。いつか結婚をして子供が欲しい……。旅に出てから今までずっと一緒に居てくれた彼女の子供が……。


「ルナ、一緒に寝ようか」


 俺は今日もルナを抱いて眠りに就いた……。




〈十六年後〉


「お父様! 俺、今日出発するよ!」


 そう言ったのは俺の息子、レオンハルトだ。息子の名前は俺に勇者の剣を託した魔王、レオンハルトの名前を付けた。今日は彼の十五歳の誕生日、俺と同じ成人の日に冒険の旅に出る事を決めたらしい。


「お母様! 俺、手紙を書くからね! お父様をよろしく!」


 俺の息子はルナに別れの挨拶をした。俺は旅のパートナーとして特別にユニコーンを貸してあげた。


「ユニコーン、レオンハルトをよろしく頼むよ」


 俺がユニコーンのたてがみを撫でて別れの挨拶をすると、レオンハルトはユニコーンに飛び乗った。


「それでは、お父様、お母様、立派な冒険者になったら帰ってくるよ! 俺はお父様を超える冒険者になる!」

「ああ、楽しんでこいよ!」


 俺は大きくなった息子を見送って屋敷に戻った。


「サシャ、レオンハルト、大丈夫かな……」

「大丈夫さ。俺とルナの息子だ。すぐに立派な冒険者になるさ」


 俺は屋敷が完成した翌月、ルナと結婚した。俺がずっと好きだった女性だ。勿論、俺とルナが結婚してからも他の仲間達と同じ屋敷で暮らしている。


「息子も旅に出た事だし、これからはゆっくり過ごそうか……」



 フランシスは立派な従者としてクリスタルと生活をしている。


 ゲルストナーとクラウディアは、俺達が結婚した翌年に結婚をした。ゲルストナーは夢だった『人間と魔物が共存できる町』を作り上げた。町には彼が育成した魔物で溢れている。俺達の町は魔物と人間が暮らす町だ。


 エドガーとアルベルトは、魔大陸から戻ってすぐに俺の町にギルドを建てた。召喚士ギルドと海賊ギルドだ。


 シルフとシャーロットは二人で店を開いた。シュルスクのパイとポーションの専門店だ。


 エイブラハムの店は大盛況だ。エイブラハムの武器を買うためにわざわざ遠方から訪れる冒険者も多い。


 キングは毎日のんびりと暮らしている。たまにレオンハルトに魔法を教えている事もあるが、息子には幻魔獣の魔法は使いこなせない様だ。


 クーデルカとアイリーンは俺がルナと結婚してからもいつも一緒に居る。きっと俺達は死ぬまで仲良く暮らすに違いない。


 オーガはエイブラハムに弟子入りし、武器や防具の作り方を学んでいる。レオンハルトが冒険で使う装備は彼が全て作り上げた。


 こうして今日、十五歳の成人の日に、レオンハルト・ボリンガーの冒険が始まった……。俺は息子の旅立ちを見送ると食事の準備に取り掛かった。


「ルナ、今日は何を食べようか」

「う~ん、肉が良い! サシャ! ドラゴンの肉とってきて!」


 俺は今日もルナの無理な願いを叶えるためにワイバーンの背中に飛び乗った。


「ワイバーン! 今日も頼むぞ!」


 息子は立派に成長し、冒険者として旅立った。これからは俺達の人生を楽しもう……。



 ー完ー

召喚物語が完結しました。

誰か一人でも楽しんでもらえたら、と思い二カ月程前から小説を書き始めましたが、今日やっと物語が完結しました。

最後に、この小説を気に入って下さった方は是非、評価をお願いします。

今後の執筆活動の原動力になります。

※11/6 召喚シリーズ第二弾『召喚幻想紀』を公開しました。召喚物語と同じ世界の別の時代の物語です。

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