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第百三十九話「領主の屋敷」

 俺達がレイリス町から戻ると、本拠地には全ての仲間が集まっていた。俺がワイバーンの上から飛び降りるとクリスタルが俺の元に駆け付けてきた。


「師匠! 今日は復興の手伝いを休んでエイブラハムを手伝う事にしました!」

「そうだったのか! 皆! 新しい仲間が増えたよ!」


 俺はドラゴンの背中から元奴隷達を降ろした。


「ボリンガー様、ここが新しい町を作る場所ですか?」

「ああ、そうだよ。これから皆で協力して町を作ろう!」


 俺は本拠地を見渡すと、土の家が建っていた場所に新しい家を作っているエイブラハムの姿を見つけた。


「サシャ! ここにお前さんの家を建てるぞ! 領主であるお前さんが暮らす屋敷をな」

「楽しみにしているよ!」


 エイブラハムは既にフランシスやオーガが切った木や石を使って家を作り始めている様だ。流石エイブラハムだ、行動が早い。既に家の基礎は完成している。この調子ならすぐに家は完成するのではないだろうか。事前にパーツを切ってから魔法で組み立てる作り方らしい。驚異的な速度で家作りが進んでる。俺は元奴隷達、というか新しい市民達が住む家を作る事にした。


「クリスタル! ちょっと手伝ってくれないかな」


 俺はクリスタルと共に土の家を作る事にした。久しぶりにクリスタルの魔法を見たかったからだ。


「アースウォールを応用して家を作るよ」


 俺がそう言うと、クリスタルはすぐにロッドを取り出した。俺が卒業祝いにプレゼントした聖者のロッドだ。俺はクリスタルに元奴隷達が住む家を作るように指示をすると、クリスタルはすぐに製作に取り掛かった。アースウォールの家は本物の家が出来るまでの短い間しか住む必要が無いため、立派な家である必要はない。


 クリスタルはかなり土属性の魔法に慣れているのか、魔力をロッドに込めると、一瞬で土の家を作り出した。硬質化された土の家で、短期間住むだけなら十分な家だ。家と言うか、仕事が無い時に雨風を凌げればそれで良い。


 俺達はクリスタルが作った家の中に布団や食料等、その他生活に必要な物を運び込んで元奴隷達に提供した。皆にはエイブラハムが本物の家を作り上げたらすぐに引越して貰おう。きっとエイブラハムの製造速度ならすぐに俺が住む屋敷を作り終えて元奴隷達の家を作り出せるに違いない。兎に角、今日からすぐに俺達はエイブラハムを中心として町作りの手伝いをする事にした。



〈町作り〉


 奴隷達を開放した日から本格的に町作りが始まった。俺のスケジュールは、午前中はエミリアの魔法授業、授業が終わり次第、すぐに城に戻りフランシスと兵士に戦い方の稽古をつけた。


 元奴隷達には木の伐採とシュルスクの管理を任せた。シルフとシャーロットのシュルスクのパイ作りも順調で、料理長からパイ作りを習い始めて三日目で美味しいパイを作れるようになった。二人が作ったパイは本拠地で生活をしているエイブラハムや元奴隷達に大人気だった。


 エイブラハムは俺が住むための屋敷を作り始めて二週間程で完成させてしまった。屋敷は二階建てで、俺の要望通り、工房、厨房、寝室、客室、広間、応接間、書斎、宝物庫、食堂、浴室等が作られた。屋敷には庭もあり、広い庭にはユニコーンのための小屋もある。屋敷が完成してすぐに家具や洋服等の荷物を全て運び込んだ。


 それから更に二週間後、ゲルストナーとクリスタルが住む家が完成した。ゲルストナーの家が完成してすぐに、クラウディアが彼の家に滞在する事になったらしい。領主である俺が生活する屋敷と、ゲルストナー、クリスタルの家が完成した事を記念してパーティーが行われる事になった。



〈パーティー当日〉


 屋敷の完成パーティーには俺達騎士団メンバーとクラウディア、エイブラハム、エミリアが参加する事になった。俺はパーティーのためにお酒を買う事にした。料理は城の料理長が俺達のために特別に作ってくれるらしい。料理は俺が以前プレゼントした首飾りなんだとか。


 俺は買出しのためにシルフとシャーロットを誘った。屋敷は既に完成しているが、皆で同じ日に引越しをしようと言う事で、今日から城を出て屋敷で生活する事になった。今日は俺達の新しい生活が始まる記念すべき日だ。


「サシャ。やっと屋敷が完成したね。私、引っ越しが楽しみだよ」

「そうだね、シルフ。今日から俺達の新しい生活が始まる」


 シルフは引っ越しを楽しみにしている様だ。勿論、俺も楽しみだ。いつか田舎に居る母も招待したい。俺達は早速パーティーの準備をする事にした。

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