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第百二十三話「大地を揺るがす土と炎」

 フランシスの気持ちが落ち着くと、俺達は早速授業を始める事にした。授業の前に昨日植えたシュルスクを見てみると、もう既に芽が出ていた。生命力が高いんだな。魔力を込めて植えたからだろうか。


「サシャ! 今日は何をするの?」

「今日はマジックシールドの復習から始めようか。一度マジックシールド見せてくれないかな?」

「わかったわ!」


『マジックシールド!』


 エミリアが魔法を唱えると、昨日のマジックシールドとは比べ物にならない程立派な盾が現れた。エミリアは自慢げな表情で俺を見ている。凄いな……。短期間でここまで立派な盾を作れるようになるとは。


 エミリアが作り出したマジックシールドは、俺がエミリアにプレゼントした雷撃の盾と瓜二つだった。これならしばらくの間、マジックシールドの練習をしなくても良いだろう。防御に関しては雷撃の盾があるから安心だ。あとは敵の攻撃を咄嗟に盾で受けられるように練習をすればいい。武器を作り出す練習はしばらく控えさせて、攻撃魔法を中心に教える事にした。


「完璧だよエミリア。しばらくはマジックシールドの練習はしなくても良いよ。今日からは授業中に雷撃の盾を使う事を許可する」


 俺がそう言うと、エミリアは嬉しそうに背中に装備していた盾を左手に持った。余程俺が作った盾が気に入ったのか、エミリアは常に盾を持っている。勿論、業火の杖も肌身離さずベルトに挟んでいる。エミリアのベルトには業火の杖を仕舞うための専用の杖入れが取り付けられている事に気が付いた。いつの間にそんな物を準備したのだろうか。


 次はファイアの復習だ。マジックシールドの上達具合から察するに、ファイアもかなりの威力になっているのではないだろうか。 本当に優秀な生徒だな。


「エミリア、次はファイアを見せてくれないかな?」


 俺がエミリアに頼むと、彼女はすぐに業火の杖に魔力を込めた。


『ファイア!』


 エミリアが魔力を込めると、杖の先端が激しく燃え出した。合格だ。エミリアは将来、有能な魔術師になるのではないだろうか。エミリアの潜在能力は計り知れないな。エミリアの母が、エミリアを生んだ瞬間に命を落としたと言っていたが、その時にエミリアの母の魔力を引き継いだのだろうか。俺がデュラハンやヘルフリートから力を授かったように。


「エミリア、合格だよ。今日は早速新しい魔法を教えよう。その前に、頑張ったエミリアに良いものを見せてあげるよ」


 俺はエミリアに炎属性の魔法を見せてあげる事にした。どんな魔法が良いだろうか。エミリアが俺の魔法を見て、もっと上手に魔法を使えるようになりたい、と思えるような魔法……。


 せっかくだからメテオを見せようか。俺のメテオは巨大な土の塊を空中に作り出してヘルファイアの炎を纏わせる、俺の使える魔法の中で最強の攻撃魔法だ。メテオは室内では使う事も出来ないし、使える状況も限られている魔法だから、今まではあまり使わなかったが、新しい大地に一発お見舞いしてやろう。俺の魔力を感じ取れば、この土地に潜んでいる魔物達は慌てて逃げ出すに違いない。


「何を見せてくれるの?」


 エミリアは嬉しそうに俺の顔を見上げた。


「俺が使える魔法の中でも最強の炎の魔法だよ。厳密に言えば炎と土かな……さぁいくよ!」


 俺は右手を頭上に高く上げてありったけの魔力を体中から集めた。魔法のイメージは、巨大な球状の土の塊がヘルファイアを纏って大地に降るイメージ。俺はこれから使う魔法のイメージをはっきりと頭で意識すると、宙に向けて魔力を放出した……。


『メテオ!』


 思い切り魔法を叫ぶと、空中にはヘルファイアを纏った巨大な土の塊が姿を現した。俺のメテオを見るフランシスが恐怖のあまり表情が引きつっている……。自分が喧嘩を売った相手の実力を知って驚いたのだろうか。


 俺が放ったメテオは、超速度で落下して大地に激突した。森林で火災が有ってはいけないから、激突の瞬間に炎の魔力を解除した。地面に激突した土の塊は爆音を立てて大地を大きく揺らした。突然のメテオに驚いたのか、近くに潜んでいた魔物達は一斉に逃げ出した。エミリアの方を見てみると、目を輝かせて俺を見つめている。


「サシャって本当に凄いのね……! 召喚魔法以外にもこんなに強い魔法が使えるなんて!」

「さっきの魔法はメテオって言うんだよ。巨大な土の塊にヘルファイアを纏わせて大地に落とす、最強で最悪の魔法……敵以外にも自然を傷つける魔法だからあまり使いたくはないけど、さっきの一撃で隠れてた魔物は一斉に逃げ出したみたいだね」

「やっぱり私はサシャから魔法を教わる事が出来て幸せだわ……本当に良い先生」

「更に魔法を頑張りたくなったかな……?」

「勿論! 私は国のために! 民のために! 必ず立派な魔術師になってみせるわ!」

「よしよし、それでこそ俺の弟子だ!」


 エミリアは俺の魔法を見てやる気が出た様だ。この調子なら本当にすぐに偉大な魔術師になるかもしれない。だが、力の使い方を間違えないように、魔法以外にも精神的な面で鍛えてあげなければならないな。俺は早速次の魔法、ファイアショットを教える事にした。

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