生卵
僕が愛している真奈ちゃんはたまごが大好き。
特に生卵をご飯にかけるのが好き。
それと同じくらいイケメンが好き。
僕は真奈ちゃんが浮気しているのではないかと疑っている。
誘いを断られることが増えたからだ。
でも男とは限らないし疑うのは失礼だろう。
「生卵ちゃん?凄く優しそうな彼氏ね!」
「うん、凄くいい人よ。あっ、トイレ借りていい?」
「いいよ」
真奈ちゃんの友達のパーティーに呼ばれている僕。
真奈ちゃんと友達がとても仲が良さそうで僕は楽しく過ごせていた。
「彼氏さん!真奈が何で“生卵”って呼ばれてるか知ってる?」
「卵かけご飯が好きだからですよね?」
「違うよ。昔、5股してたからなのよ」
「えっ、5股ですか?」
「私がかなり叱ったから今は大丈夫だと思うけどね。5股してたのは一年くらい前だったかな」
「でも、5股と生卵って関係ないですよね。何でそういう呼び方になったんですか?」
「生卵を逆さから読んでみて!」
「ご・ま・た・ま・な?」
「そう、逆さから読むと5股真奈になるの。少しは戒めにはなるかなって」
トイレから戻れず影に隠れている物悲しい顔をした真奈ちゃんを見つけてしまい悲しくなった。
生卵の白身のようにドロドロな空気になる予感は全くしていない。




