安請け合いのシンデレラ
「私の部屋の掃除しといて!ちゃんとお金払うから!」
「はい、分かりました」
「仕事あげてるんだから感謝しなさいよ!」
貧乏で醜い身なりの美女は何でも引き受けてしまう優しい心を持っていました。
誰も嫌うことなくみんなに平等に接していました。
「部屋掃除しておきました」
「ありがとう。はい、これっ」
貧乏な美女に渡されたのはコインの形をしたチョコレートひとつでした。
しかし美女は文句ひとつ言いませんでした。
美女の仕事は完璧と言えるものでした。
その後も見返りを求めず、理不尽な依頼にも完璧な仕事で応えました。
その仕事振りはほぼ便利屋といった感じで、世間にすぐ広まっていきました。
「ちょっといいかい?僕の手伝いをして欲しいんだが」
「はい、分かりました」
美女は今回も迷わず引き受けました。
その依頼者は王子様で、ガラスの靴が合う女性を探して欲しいというものでした。
美女は一日も経たない内に女性を見つけ出しました。
そして見つけ出された女性と王子様は結ばれました。
美女は幸せな二人を見て嬉しい気持ちになりました。
笑顔で二人を祝福する美女に王子様はこんなことを言ったのです。
「ねえ?僕のもとで働かないかい?」
思いがけない幸運が一生懸命な美女に降ってきたのでした。




