自販機物語
僕の朝は早い。
みんながまだ寝ているなかお弁当を作る。
そして、全ての支度を終えると、車を走らせて会社へ向かう。
辺りはまだ薄暗い。
僕はあくびをしながら会社に入った。
そして、会社にある自動販売機に向かった。
僕は自動販売機の鍵を開けると、中に入っていった。
そう、僕の仕事は自動販売機の中で販売することである。
『自動』と名前には付いているが実は人が中にいるのだ。
飲み物を買いに来る人はまさか中に人がいるなんて思わないだろう。
朝日が昇り、辺りは明るくなってきた。
今日、誰が最初に来るかと考えていると課長が買いに来た。
いつも、最初に来るのは課長である。
毎朝買いに来てくれるので僕はちょっとしたプレゼントを考えた。
この自動販売機は数字が四つ揃うともう一つ貰えるサービスがあるのだ。
なので僕は数字を揃わせてあげた。
すると、課長は素直に喜んでくれた。
課長は目の前で一気にコーヒーを飲み干すと、もう一つのコーヒーを持って去っていった。
そして、しばらく経って次の客がやってきた。
その客の手には大量の十円玉が握られていた。
すると、一枚ずつゆっくりと十円玉を入れ始めた。
少しイライラした僕はあるイタズラを考えついた。
そのイタズラとは、飲み物を取り出し口の端に出して取りづらくするというものだ。
客が十円玉を入れ終えてボタンを押すと私は端に飲み物を出した。
「取りづらいわね」
その客はイライラしながら必死に取ろうとしてる。
僕は自動販売機の中でにんまりとしていた。
お昼になり、自動販売機にちょっとした行列が出来た。
そして、ペットボトルのお茶が飛ぶように売れた。
すると、横入りするおばさんが現れた。
そのおばさんは他の人を待たせているにも関わらず、ずっと悩んでいるのだ。
腹が立った僕はあるイタズラを思いついた。
おばさんはミルクティーのボタンを押したけど、僕はそのおばさんが飲まなそうなブラックコーヒーを出した。
「違うのが出てきたんだけど」
おばさんはそう言っていたが、渋々コーヒーを持って去っていった。
僕は自動販売機の中でニヤリと笑った。
そして夜になった。
残業の眠気覚ましにコーヒーを飲む人がいるので帰れない。
僕の夜は遅い。




