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髪の毛

「お父さん、この人は私の彼氏の林くんよ」

彼女がお父さんに僕を紹介した。

「初めまして。里穂さんとお付き合いさせてもらっている林です」

僕は緊張で震えが止まらなかった。

「付き合っている人がいるなんて聞いてないぞ」

彼女のお父さんはスキンヘッドで眉毛がなくてかなり怖い。

「お父さん、どこ行くのよ?」

お父さんは僕たちを残して外出しようとした。

「散髪の予約しちゃったから行ってくるよ。来るなら前もって言ってくれよ」

スキンヘッドのお父さんに切る毛は一本もないので散髪に行くのはおかしい。

「お父さんの髪の毛は私と同じくらいの長さだから切らないとだね。行ってきていいわよ」

肩まである彼女の髪の毛とお父さんの髪の毛が同じ長さなはずがない。

僕がおかしいのか二人がおかしいのか分からないが、とりあえず聞いてみた。

「お父さんはスキンヘッドですよね?何で散髪しに行くんですか?」

すると二人は笑いだして、彼女は僕にこんなことを言ってきた。

「今、髪の毛を透明に染めるのが流行っているのよ。スキンヘッドの人はだいたい染めてるわ。林くん、そんなことも知らないの?」

髪の毛を透明に染めることが出来て、意味不明なオシャレが流行る。

そんな時代が来るなんて予想もしてなかった。

「お父さんも髪の毛が肩まであるんですね。失礼しました」

僕がそう言うと二人は再び笑いだして、彼女は僕にこう言ってきた。

「私もお父さんも髪の毛が腰まであるわよ。私は肩から先を透明に染めたの。触ってみる?」

僕は彼女の髪の毛の透明に染めたと思われる部分に手をやった。

すると確かに髪の毛が存在していた。

「本当だ」

彼女はまだいいが、眉毛まで染めているお父さんはやりすぎだと思う。

「お父さん、眉毛は透明に染めない方がいいですよ」

僕がそう言うと二人はまたまた笑いだした。

そしてお父さんは僕にこう言ってきた。

「眉毛は剃ってるぞ」

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