表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/100

水たまり

私の名前は水田まり。



水溜まりが出来やすい梅雨の時期に生まれた。



名前は気に入っていない。気に入る訳がない。



水田まりと名付けた父を一生恨むかもしれない。



『水田』という名字と『まり』という名前は絶対に一緒にしてはいけない。



混ぜたら危険である。



この名前のせいで雨の日が嫌いになった。



それは子供の頃、雨の日の帰り道にからかわれたからだ。



「水田まりちゃんはこの汚い水溜まりから生まれたんだよね」



そう友達に言われた。



私があんな泥のまじった水の中から生まれるわけがないのに。



私の性格は思ったことを何でも言うタイプである。



豪雨のように激しく罵声を浴びせることが多々ある。



子供の頃、からかった友達にも罵声を浴びせたのは言うまでもない。







ある日、ファミレスで友達と話をしていた。



そうしたら言わなくていい過去のことを掘り返した。



踏み込まれたくない領域に踏み込まれてしまった。



私はテーブルに置いてあった水を思い切り友達にかけた。



「水田まりに踏み込むとびしょびしょになるよ」



そう言って私はその場から立ち去った。



友達は動きが止まったまま呆然としていた。







私にはひとつ悩み事がある。



名前のことではない。



それは顔が怖いことである。



怒っていないのに「怒ってるでしょ」と聞かれたこともあった。



私もたまに笑うことがあるが笑っている顔も怖いらしい。



顔のせいで私はかなり損してきた。



もっと可愛い顔に生まれたかった。



だが、この顔が嫌いなわけではない。



もちろん好きなわけもない。



何でも言う性格と怒ってるように見えてしまう顔のせいで人はみんな近寄って来なかった。







ある日、姪と公園で遊んでいた。



すると姪の友達の子供が私のところに来た。



その子供は怒っているような顔の私をじっと見つめていた。



そして少し経ってこう私に言った。



「おばさんブランコ押して」



おばさんは余計だが、とても嬉しかった。



子供は私が放つ近づくなオーラをものともしなかった。



その後もなぜか私の周りには子供が集まった。



子供というものはよくわからない。







みんなは私を避ける。



でも、子供だけは私を避けたりしない。



まさに水溜まりである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ