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ペットボトルの行方

明かりに吸い寄せられて私はコンビニに入った。


真夏に自転車で長時間走った喉は水を欲しがっていた。


仕事での疲れと自転車を漕ぐ疲れが合わさってかなりヘトヘトだった。


私はコンビニの奥にある冷蔵庫まで歩いていき扉を開けた。


そして、迷わずペットボトルに入った水を手に取ろうとした。


その時に欲が出てしまいペットボトルを二つ同時に取ってしまった。


その結果、二つのペットボトルの後ろで控えていたペットボトルが体勢を崩した。


そして、ペットボトルは冷蔵庫から勢いよく飛び出し床をころころと転がり始めた。


私はそのペットボトルをすぐに拾おうとした。


でも、そうはいかなかった。


二つ同時に取ったペットボトルのうちの一つを床に落としてしまったのだ。


それを拾っている間にもペットボトルは転がり続けていた。


私にはひとつだけ恐れていることがある。


それは転がるペットボトルが誰かに見つかること。


でも比較的、客が少ない時間帯なので見つかることは無さそうだ。


そんなことを考えている間もペットボトルは転がり続けている。


運が悪いことに陳列棚には当たらずに通路を転がっていた。


持っていたペットボトルを落とすタイムロスもあり、なかなか追いつかないでいた。


転がっているペットボトルはコンビニのだいたい4分の1を過ぎた。


ペットボトルが客に見つかるのはまだいい。


でも店員に見つかったりしたらもう終わりだ。


もう恥ずかしすぎる。


今までにコンビニの床にペットボトルを転がした人はいたかもしれない。


でもこんなに長い距離を綺麗に転がした人はいただろうか。


絶対いないだろう。そう断言できる。


そう考えてる間に転がるペットボトルは店の半分を過ぎた。


そして、もうすぐでペットボトルを拾えるところまで追いついた。


私は誰にも見つからずに済んだと思い、胸をなで下ろしていた。


でもその時、掃除をしている店員がペットボトルが転がる先に現れた。


思わぬ敵の登場に私はうろたえた。


店員は転がってきたペットボトルを拾うと不思議そうな顔で私に渡してきた。


「はい、どうぞ」


私は拾ってくれたお礼を言い、顔を赤くしてその場から急いで立ち去った。


欲張りすぎるとダメなことを思い知らされる出来事だった。


私はもう二度と欲張らない。

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